1.はじめに

ある日aitendoの広告を見ていて、ポリバリコンの中にDSPを入れたユニットを見つけました。しかも480円で、中波、短波、FMを受信する事ができます。これはもう作るしかありません。このような勢いで、通販で5個も入手してしまいました。

とりあえずFMはパスする事とし、写真1のような中波と短波のラジオを作りましたので紹介します。

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写真1. 作成した中波と短波のラジオです。

2.このユニットについて

写真2のようなユニットです。ポリバリコンの背中に基板を乗せて、この中にDSPを使ったラジオの回路とAFアンプまで入っています。極端に表現すれば、スピーカだけ接続すれば鳴る、という事になります。

どのような仕掛けで受信しているのか? ポリバリコンをどのように使っているのか? 全く解りません。コイルの切り替えなしで中波〜短波のラジオになるというのは不思議な感じです。中波の場合はバーアンテナを接続しますが、FMと短波の場合はアンテナ端子にロッドアンテナを接続します。WEBの説明書ではFM ANTとなっていますが、短波の場合も同じ端子のようです。

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写真2. ポリバリコンの背中にDSPを付けたユニットです。

3.回路

まず写真3のように実験を行い、動作する事を確認しました。基本的にはWEBにある回路とあまり変わりませんが、図1のような回路に決めました。AM専用とする場合には、FMを表示するLED端子をショートします。つまり、AM選択時のスイッチを押した状態となります。AM専用としたため、AMのLEDは省略しました。TUNEのLEDは受信状態のチェックのために付けてありますが、特に必要という事もありません。

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写真3. このようにバラックで実験し、動作を確認しました。

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図1. 回路図になります。(※クリックすると画像が拡大します。)

音量調整用のVRは省略しました。スピーカが小さいためか少し歪む感じだったので、50kΩVRの代わりに33kΩを入れて、少しだけ音量を制限しました。ボリュームとするにはWEBの取説のとおり50kΩがちょうど良く、50kΩ以上では音量の変化はありません。

取説ではスイッチを難しく表していますが、多段のロータリースイッチを使ったのでは、ラジオのユニットよりも高価になってしまいます。また、スペース的に本体ユニットの数倍になってしまいます。基本的にはヘキサで設定するようなものなので、回転式のDIPスイッチが一番良いと思います。4ビットで0〜8バンドを切換えますので、0〜9表示を使いました。また、一番低い周波数がHHHHの中波なので、正論理のリアルコードタイプが一番使いやすくなります。すると、0が中波で、1が短波の6MHz帯と続き、8が21MHz帯と放送バンドが周波数順に並びます。9だけは欠番となるのは仕方ありません。これが一番使いやすいと思います。

4.作成

写真4は単3×4本用の電池ボックスで、この中に入れる事としました。DSPユニットは単3が2本で使えますので、電池ボックス半分のスペースが使えます。電池ボックスの電源スイッチはそのまま使う事としました。

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写真4. 単3×4本用の電池ボックスをケースにしました。

まずは仕切板をニッパとラジペンで剥ぎ取り、紙ヤスリで平坦に仕上げます。写真5のようにDSPユニット、アンテナ、スピーカ、LED、DIPスイッチの穴を開けます。プラスチックですので工作は簡単です。DIPスイッチは正方形ですので、ハンドニブラとヤスリで穴を開けました。固定する時にはエポキシ系の接着剤を使っています。写真6が固定したところです。

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写真5. 内部をこのように工作しました。

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写真6. DIPスイッチとスピーカ,LEDはエポキシ系の接着剤で固定しました。

中波用のバーアンテナは、小型でないと入りません。最後に隙間に押し込みます。全長35mmのものがありましたので使ってみました。取説では400μHとなっていましたが、実際には800μHありました。これでも問題なく動いています。スピーカの裏側でガタついては困りますので、ホットボンドで簡単に固定しました。外す事がありそうで、テンションの加わらないような場所には、ホットボンドを使っています。エポキシ系では壊さないと外れません。要は使い分けです。

各部品の配線を間違えずにハンダ付けすれば完成します。多少ワイヤー数がありますので注意して下さい。写真7が配線の終わったところです。

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写真7. 配線が終わったところです。

5.使用感

良くラジオや受信機を試す時、適当な周波数で受信しながらSGの周波数を変えて感度などをチェックしています。しかし、このユニットではうまくできませんでした。中波は9kHzステップで、短波は5kHzステップで、しかも電波のあるべき周波数に先に信号を作っておいて、その受信を試みないと受信できないようです。確かに、それが普通の受信状態です。もちろん、ソフトがどのようになっているのかは全く解りません。

何と言うのか、同調が今までと異なるフィーリングです。ポリバリコンを回しているのですが、デジタル的に周波数がステップで変化するという、妙な感じです。フェージングやラジオの方向を変えたとき、どこかへ周波数がジャンプしてしまう印象です。ところが、受信中にバンドを変えて、戻しても受信できるようですし、POWのOFF/ONでも受信継続できます。どうもこのユニットの不思議というのか、良く解らないところです。

中波は少々使い難い感じでした。私の住んでいる地域が弱電界で、元々受信し難いためかもしれません。思ったよりも短波の方が扱いやすい感じでした。感度も問題なさそうで、海外からの放送やラジオジャパン、ラジオ日経、に加えて「しおかぜ」までも受信できました。

受信中に電波の状態が少し変わると受信モードが変わるのか、急にノイズが増えたり、音量が変化したりします。このフィーリングはもう少しアナログに近い方が良いと思いました。少なくとも聞きやすいとは思えません。

受信している周波数が良く解りません。ダイヤルに目盛を振ってよいものか良く解っていません。今のところはバンドの中をカンだけで受信していますが、特に不便もなさそうです。あまりに目盛がゴチャゴチャになりそうですし、このままでも十分と思っています。

音量は小さく、静かな場所でないと使えません。自動車の中などでは騒音で聞こえないと思います。多少音量は絞りましたが、それは関係ありません。

6.終わりに

発展途上を感じる、面白いラジオでした。これからのラジオはこのようになってしまうのでしょうか。