1.はじめに

最近の自作では、電源にAC100Vを使う事が少なくなりました。大体は直流の12Vや13.8Vなどを電源とし、トランシーバや周辺機器を作るからです。しかし、安定化電源やトライアックなどを作る時は、AC100Vが電源となります。最初の「火入れ式」では、文字通りに火が出て家のブレーカを飛ばすのではないかと、緊張の瞬間となります。もちろん、このようなものにはヒューズを入れるのですが、それだけでは安心できません。電源スイッチやヒューズなどの配線にエラーがあると、トラブルとなってしまいます。私自身も、どのようなエラーをするのか想像もできない事があります。特に年齢を重ねて不安になって来ました。

そこで、このような「火入れ式」が安心してできるように、写真1のようなサーキットブレーカ盤を作ってみました。「電子工作」というよりも、ほぼ「日曜大工」の世界で、気楽に作れるものです。

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写真1 このようなサーキットブレーカ盤を作製しました。

2.ブレーカについて

見たとおりですので、回路も何もありません。どのような実験をするかでブレーカの容量が決まりますが、なるべく小容量を使うのが良いと思います。10Aや20Aでは、上位にある家庭のブレーカが先に飛んでしまう可能性があります。ブレーカには反限時特性がありますので容量だけではなく、下位にある本機のブレーカを先に遮断するように検討します。写真2のような3Aのものを入手しましたので、これを使う事としました。300Wとなりますので、私の自作はほとんどカバーできると思いますし、小容量の方が安心です。

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写真2 モノタロウで購入したテンパールのブレーカです。

このようなブレーカは一般的には上からAC100Vを入力し、下側に負荷を接続します。但し、ブレーカによっては両方向で使える製品もありますので、購入時に良く確認して下さい。どのような製品であっても、正しく配線する事が重要です。

なお、MCCB(モールドケース・サーキットブレーカ)とかNFB(ノンヒューズ・ブレーカ)など様々な呼び方がありますが、NFBは三菱電機の商品名です。

3.電気工事士

一般に屋内でブレーカの配線をするには、電気工事士の資格が必要です。しかし、テーブルタップの配線には不要ですし、このような可搬型の盤についても不要と解釈して良いようです。もちろん不要といっても、いい加減な配線は危険ですので十分な注意が必要です。電気工事士を持っていない私には、これを壁に固定する作業はできません。

写真3は、ずい分前に息子が中学校の技術家庭で作ったテーブルタップのプラグ部分です。しかし、ネジの緩みに気が付かずに使っていたため、ある時ジーという音と、ネオン管のような光と、何ともいえぬニオイを発してしまいました。これは十分に注意しろという戒めです。同時に中学生に作らせるものか?という疑問もあります。まあ、私も中学生の頃は自己流でこのような配線は平気で行っていました。自作といえば真空管でしたので、ラジオでもAC100Vの配線をしていました。その頃は怖いもの知らずだったのでしょう。資格の有無は別として、慎重に作るのは当然の事です。

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写真3 今でも臭いの残る焼けたプラグです。

4.作成

普段は購入した事のないブレーカを近くのホームセンターで探しましたが、あるのは10~20Aだけでした。需要が少なく売れ筋ではない2~3Aが入手し難く、高いのは当然の事でしょう。試しに、小容量のものを秋葉原で探してもありませんでした。これは普段と違う慣れない買い物ですので、探し方が悪かったのでしょう。そこでネットを使い、モノタロウでテンパールのB-1EA 3Aを1290円で購入しました。送料や税は別です。同じ製品で10Aは639円ですので、2倍以上も高い3Aです。私は3Aを使いましたが、使う目的によって変わると思います。2Aもありますし、場合によっては5A,10Aが適する事もあるでしょう。2Aでも良いのですが、3Aにした理由は特にはありません。

前述のようにブレーカは一般的には上側が入力となりますので、間違いのないように組み立てます。台は写真4のような、専用のボードを用いました。ホームセンターで見つけたもので、スマートで簡単に工作できます。まずはブレーカとコンセントをネジで台に固定します。コンセントは、写真5のようにホームセンターで売っている普通のものです。ネジは当然ですが台の厚さにも関係します。しっかりと固定でるものが必要となります。しかしブレーカ付属のネジを使ったのですが、写真6のように裏に木ネジの先が少しだけ出てしまい、手に触れてしまいました。これでは痛いので、写真7のようにホットボンドでネジの先を覆うようにしました。この台は可搬型として使う事を考えてないのでしょう。普通はボックスの中にネジ止めするのでしょうから、当然のことです。もちろん木材でも作成可能です。

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写真4 このような専用のボードを使ってみました。木材の板で十分です。

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写真5 コンセントはこのような一般的なものです。

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写真6 裏側にネジの先端が出てしまいました。普通はこのままボード自体を固定するので問題にはなりません。

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写真7 ホットボンドでネジの先端を隠しました。

配線後の処理も慎重に行います。ブレーカの配線部分を手で触れたり、針金の類が触れて事故の元になったのでは何にもなりません。ブレーカの入出力は端子が見えてしまいますので、ホットボンドで隠しています。ネジの方は付属していたカバーと紙で隙間を完全に埋めました。ビニールテープでも何でも良いので、とにかく触れないようにしておきます。写真8のように完全にカバーしました。

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写真8 接続部分に金属片が侵入しないように、ホットボンドで埋めています。

ACプラグ側のコードは、ブレーカに直付けとなります。ここは一般的にテンションが加わるところです。引っ張ってみたら外れてショートした、では洒落にもなりません。移動して使う事も当然あるでしょうから、ネジはしっかりと締めておき、コードの出口はインシュロックなどでしっかりと固定しておきます。もちろん配線部分には触れないように対策をしておきます。

5.使用感

まずは過電流でOFFになる事を確認しようと、春だったのですが電気ストーブを使ってみました。300Wでは切れません。600Wでは16秒で切れました。反限時特性がありますので電流が多いほど早く遮断し、3Aでは遮断しません。もちろんショートなどの危険なテストはしていません。

これで少しだけですが安心感がUPし、電源の投入ができるようになりました。もちろん油断して良いと言うものではありません。自分で作ったものが一番危なく怪しいと思っていても、これで少しだけ安心して電源が入れられるようになりました。