エレクトロニクス工作室
No.142 デジタルオシロスコープキット(DSO138)
1.はじめに
No.70では超小型のオシロスコープキットを紹介しました。64×32ドットのLCDに波形を描くもので、波形が荒いのが欠点でした。その点このDSO138は2.4インチのカラーTFT LCDを使っています。解像度の表示は書いていないのですが、間違いなく格段の差があります。
9V、つまり単3×6本で動かす事ができますので、写真1のように裏面に電池ホルダーを載せて、屋外で使えるようにしてみました。
写真1 このように作成しました。表面のアクリル板は加工したものです。
2.このキットについて
秋月電子で3780円で入手したJYE Tech製のキットです。秋月電子のHPでは見つけ難く、キットから入ると見つかりません。測定器から入ると、オシロスコープのカテゴリーにあります。
同じDSO138でも3種類あるのですが、あまり深く考えずに基板が赤で3780円のタイプを購入しました。後で気が付いたことですが、基板が赤で3400円のものは回路的には同じで、SMDのICを自分でハンダ付けするタイプです。基板が黒いのは3300円で最も安いのですが、JYE Tech社のHPを見ると「ニセモノ」でコピー品とされています。秋月電子はJYE Tech社の日本での代理店のようですが、この関係は良く解りません。取りあえず、私の購入したのは正規品のようですので、安心して紹介できます。
中国から直接購入する事も可能なようですが、No.100で使った中華DDSと状況が異なります。日本に代理店があるのですから、リスクは背負わず国内で調達するのが良いと思います。
3.作成
作成マニュアルは、思ったよりも丁寧に作られていました。英文ですが英語の苦手な私でも大丈夫な程度で、写真を見れば解ります。実際に役に立つかは不明ですが、トラブルシューティングのフローと各部の電圧も書かれています。秋月電子のHPには日本語マニュアルがありますので、参考にできます。
写真2がキットを開けたところです。写真3が袋に入った部品です。抵抗から付けるようになっていますので、その通りに作り始めました。ハンダ付けは順調に終わりましたが、この後で苦労したのがLCDの取り付けです。ソケットを差し込むだけで簡単に入るはずなのですが、一部のピンが入り難く最も苦労してしまいました。どうやらピンの加工に問題があったようで、ヤスリでピンを削る羽目になってしまいました。手順どおりに作っただけですが、この他には問題なく一発で動作しました。基板完成時のハンダ面が写真4です。試しに動かしたところが写真5になります。
写真2 キットを開けると、このように取説と各部品が入っています。
写真3 袋に入ったパーツです。
キットには白い足が付いており、一応これを付けて完成となります。写真4,5では付けていますが、この後で外しています。さて、このままでも良いのですが、屋外で使いやすいように少し手を加えました。基板をアルミ板に載せて、裏側に単3×6本の電池ホルダーを付けました。更にLCDの前面をクリアーのアクリルで覆い、スイッチの前だけ切れ込みを入れました。このアルミ板とアクリルを加工したところが写真6になります。アクリル板は糸鋸で切れ込みを入れていますが普段はやらない工作で、今ひとつの出来栄えと思います。写真7のように組み立てました。電池ホルダー側から見ると写真8のようになります。基板には電源のDCジャックの他に、2ピン端子がパラにあります。ここにコネクタを使って電池を接続しました。困ったことに電源スイッチが基板上にないので、仕方なくアクリル板にトグルスイッチを取り付けています。スイッチ付きの電池ホルダーを使いたかったのですが、単3×6本用というのは意外に種類が少なく入手できませんでした。これで屋外での作業に役立つのは間違いないでしょう。
写真4 基板完成時のハンダ面です。四隅の白く丸いのが「足」です。
写真5 このように動作チェックはOKでした。
写真6 左下が加工したアルミ板、右下が加工したアクリル板です。まだ保護フィルムが貼ってあります。
写真7 このように工作しました。
写真8 背面の電池ホルダーです。
4.使用感
9Vで動く小型オシロですので、屋外で使えるようにと考え、このような工作にしました。もちろん、屋外で使う事に意味がない場合は、電池で動かす必要はありません。LCDですので、ピーカンの屋外では見にくくなるのは仕方ないとしても、屋外で使えるオシロがあれば心強いと思います。テスターだけの場合と大違いで、波形を基にトラブルを探せます。これは何かのトラブル時には格段の差となります。
小型なのですが操作は単純です。特に難しい点もありませんし、モードを細かく追う事もありません。No.70のときには機能が多く苦労したのですが、これは逆のようです。使いやすいように、シンプルですが良く練られたソフトだと思います。
誰もが想像する事ですが、これからの表示はこのようなLCDになって行くのでしょう。自作とはいえ、早く対応できるようにしたいものです。