エレクトロニクス工作室
No.143 ウィンドファンもどき
1.はじめに
No.106では「おやすみタイマー」を作製し、市販のファンを静かにON→OFFできるようにしました。今では夏の必需品になっています。次に不満のあったのが写真1のファンでした。風量はあるのですが、ファンの騒音が気になる事と、窓の上側が素通しになってしまう欠点がありました。しかもウィンドファンではなく、勝手に窓際に置いているだけですので、雷雨時などには片付けてから窓を閉めなくてはなりません。安定を網戸に依存するのも危険です。とにかく窓を閉めようとすると、結構面倒でした。
写真1 今までは、このような市販のファンを置いていました。
そこで写真2のような電子機器用の冷却用ファンを用い、自分で「ウィンドファンもどき」を作ってしまう事にしました。時々あるのですが、電子工作と言うよりも写真3のような日曜大工に近いものです。
写真2 入手した山陽のサンエースです。工作する前に写し忘れました。
写真3 障子を閉めると、ピタリと合うように作った「ウィンドファンもどき」です。
2.ファン
パソコンでもCPUを冷やすのにファンを使っていますし、大きさも電圧も多彩です。しかし、DCファンは小型で、風量が少ないようです。風量を重視する場合は、AC100V用が良いと思います。このようなファンを探していたところ、ハムフェア2014でサンヨーの製品を300円で3個入手できました。
端子にACコードをハンダ付けしても良かったのですが、専用のコネクタをモノタロウで探してみると500円でした。見つけると購入したくなります。という事で、仕方ないのですが、コネクタのほうがずっと高くついてしまいました。このコネクタを使って回してみると、それなりの音は出るのですが風量はあります。
余談ですが、モノタロウで購入したものに、写真4のような100個入りのシリカゲルがあります。いろいろなサイズのビニール袋と組み合わせて、作製後の作品の保管に使っています。一応送料がかかりますので「抱き合わせ」という事です。
写真4 100個入りのシリカゲルです。
3.回路
AC100Vで回る冷却用のファンを、個々にスイッチを付けて回すというだけです。最初はトライアックで制御する事を考えたのですが、スムースに制御が出来ませんでした。そのようなファンなので仕方ありません。それならば面倒な回路は止める事とし、電源スイッチを並べるという、単純な回路にしました。しかし風量があるため、それなりの騒音を出します。そこで夜モードとして上下のファンをシリースにする事で電圧を下げてマイルドに使い、昼間は100V直結の中央をプラスして使う事にしました。このようにして図1の回路となりました。ほとんど回路といえるレベルではありません。
図1 回路図になります。(※クリックすると画像が拡大します。)
窓の高さは91.5cmありますので、ファンは3個並べる事としました。4個でも良かったかと思いましたが、重さを考えると妥当なところでしょう。
4.作成
窓の高さとファンの幅に合わせて、写真5のように5mm厚のベニヤ板を切りました。障子の溝を使って固定する事とし、写真6のように2枚の板を組み合わせます。写真7のように4mmネジとチョウネジを使い、写真8のように障子の上側で固定しました。取り外しは簡単で、上下のガタがないように、写真9のように固定します。
写真5 長さ90cmのベニヤ板を幅20cmに切ります。
写真6 2枚合わせて障子の溝に合う長さにします。
写真7 反対側から4mmネジを入れて固定します。
写真8 障子の上側での組み立て状況です。手前のチョウネジを説明用に外しています。
写真9 このように締め付けます。
ファン用の丸穴は、ドリルで穴を一ヶ所開けて、木工用の「引廻しの鋸」で写真10のように丸く開けます。写真11のように案外と簡単にできました。私は木工の工作が小学校の頃から苦手で、決して上手な出来栄えとは思えません。
写真10 ファン用の丸穴を開けているところです。
写真11 木材の加工が一応できたところです。
ファンは3mmネジで固定しました。全体に細長いため、どうしても板がたわんでしまいます。そこでアルミLアングルを加工し、写真12のように外側を固定しました。これでペナペナしませんし、ワイヤーを止めるにも便利です。
写真12 Lアングルでファンの外側を固定しました。風を遮らないように削った部分があります。
AC100Vを扱いますので、配線や実験時の感電、長期的には漏電などにも十分に注意して下さい。配線には写真13のような閉端接続子を使用し、コードを接続しました。電源スイッチは、写真14のスイッチボックスの中でハンダ付けしています。
写真13 AC100Vですので、このような閉端接続子で接続しています。
写真14 電源はスイッチボックスの中で配線しています。
5.使用感
前回7月のNo.131「ペットボトルクーラー」に引き続いて、完全に「季節もの」になってしまいました。私の住むところは標高400mの那須高原で、冬は寒いのですが夏は涼しく、ほとんどこの程度の仕掛けで過ごす事ができます。「おやすみタイマー」をかけながら、この「ウィンドファンもどき」を使うと静かに眠れる事でしょう。