エレクトロニクス工作室
No.145 2バンドラジオキット
1.はじめに
aitendoで2バンドのラジオキットを見つけました。最近ではラジオのキットもSDR方式が増えていますが、これは完全なアナログ方式です。中波と短波の2バンドというのが気になり、早速入手して作ってみました。普通は2バンドというとAMとFMですので、珍しいと思います。K-623という型番で、当然のように中国製のキットです。このキットを組み立てたところが写真1です。
写真1 このような中波と短波の2バンドラジオです。
2.キットについて
写真2のような部品が入っていました。使用しているメインのICはD7613で、東芝TA7613のセカンドソースのようです。FMにも対応しているICですが、この機能は全く使っていません。細かい部品を出してみたところが写真3です。このようにバラバラですので、部品が解らないと作れません。
写真2 入っていた部品です。
写真3 全て袋から出すとこのようになります。部品の知識が必要になります。
aitendoのキットは取説が入っておらず、WEBからダウンロードしなくてはなりません。従って、ネットをしない方には不向きとなってしまいます。但し、取説といっても回路図と部品表程度のもので、丁寧に作られたものではありません。あるべき情報がない場合もありますので、そのつもりで作製する必要があります。
3.組み立て
取りあえず図面等をダウンロードして印刷し、CR類のハンダ付けから始めました。取説には作製手順についての説明等は全くありません。作ってみて気になったところは、C13は140pではなく120pが入っていました。IFTはピンクではなくダイダイが入っていました。この程度は当然のつもりで、臨機応変に対応します。
中波用のバーアンテナはABCDの端子があり、取説には接続用の図があります。しかし、見ただけでは構造的にBとCとの区別ができませんので、テスターで導通を確認して判断しました。これを誤ると中波は動きません。
ポリバリコンの取り付け方向が図面では解りません。これが一番困ったところです。図面にも容量の記入はないし、どちらの方向でも入ってしまいます。仕方なくCメータを持ち出し、容量の大きい側を中波としました。しかし、値についてはメモを忘れてしまい不明です。
写真4のように、スピーカを押さえる金具を加工する必要がありました。この構造では、ほぼ水平にしないと押さえる事ができません。ラジペンで押さえて平らにしました。
写真4 スピーカを固定する金具は平らに加工しました。
バーアンテナの取り付け用のプラスチックは形状で解るのですが、この使い方が解りませんでした。そこで適当に付けていましたが、もうひとつスッキリしません。最後の方になって、「あーポリバリコンに付けるんだ」と気が付き、ハンダ付けしたポリバリコンを外し、バーアンテナを取り付けました。当然ハンダ付けはやり直しです。基板とポリバリコンとの間に取り付け用のプラスチックを入れると写真5のようになりました。これでスッキリしました。
写真5 ほぼ基板が完成したところです。
WEBの仕様では単3が2本となっていたのですが、どう見ても単1用サイズの電池ボックスです。この構造も写真6のようになってしまい、今ひとつと思っていました。これは間違いで、金具の使い方が逆でした。入れるのは無理と思っていたのですが、少々強引に押し込むと写真7のようにキレイに入りました。しかし、単1電池を使う必要があるのかは疑問があります。最近では単1を使う事が減りましたので、手持ちは少ししかありません。
写真6 電池の金具の構造がおかしいとは思っていました。
写真7 無理と思っていたのですが入りました。
短波の周波数はWEBの仕様で5.95~17.9MHzとなっていましたが、ダイヤルの目盛を見ると写真8のように15.0~16.5MHzです。SGの信号を受信しながら調整してみると、すぐに後者が正しいと感じました。もちろん広く受信できる方が良いとは思うのですが、仕方ないので目盛に合わせる事にしました。しかし、それでも合わせる事はできず、15.0~15.6MHz程度とかなり狭くなってしまいました。調整方法が正しいかは不明ですし、もう少し追い込める可能性はあります。局発を受信周波数の下になるようにしていますが、上側にすると多少広がるのかもしれません。アンテナコイルの同調も怪しいように思えますし、何が正しいのか良く解りません。ポリバリコンの容量が小さすぎるようですので、抜本的に見直しをする必要がありそうです。あまり追求する気力も無くなってしまいました。
写真8 目盛は15.0~16.5MHzです。
このような紆余曲折はありましたが、一応中波ラジオとしては写真9のように完成しました。短波ラジオとしては、まだまだ考える必要がありそうです。
写真9 完成した状態の内部です。
4.使用感
中波は普通に入ります。短波も普通といえば普通ですが、6~11MHzの放送バンドが受信できないのは不都合です。15MHz帯も放送バンドですが、IFが455kHzのためイメージの分離は期待できません。IFを455kHzとするならば低い周波数をターゲットにするのが普通と思います。短波ラジオとしては、改善の余地がありそうです。
今年のハムフェアの某ブースで、偶然このラジオを見せて頂きました。やはり同じように問題を感じ、コイルとスイッチを交換する等の改造をされていました。短波で使おうとするなら、この位の気合が必要でしょうか。