エレクトロニクス工作室
No.150 実験用AFアンプ
1.はじめに
スピーカを鳴らすAFアンプというのは、実験専用に一台あると便利なものです。No.76でもLM386を使ったアンプを紹介しました。秋葉原のaitendoでブラブラと物色していると、小型で使いやすそうなアンプキットを見つけました。580円とQRPな値段ですので、早速入手して作ってみました。「スピーカホルダ式アンプキット」という名称です。写真1のようにスピーカとVRが付いていますのでケースの加工が不要で、電源と信号を入力するだけで動作します。
写真1 このようなスタイルのキットです。
2.回路
写真2のような部品のキットです。アンプのICにCSC8002が使われているキットと、HT6871が使われているキットがあります。基板にはボリュームも付いていますので、面倒な配線をしなくても作れます。
写真2 部品の入っていた袋です。
どちらのキットも見た目は同じで、少しだけ回路の定数が違います。どちらも中国製のICのようで、データシートが中国語です。一部英語もありますが、CSC8002は中国語だけで私には読めません。両方作ってみましたが、後述のトラブルでHT6871のキットは動いていません。最近になって良く使われる「個人の感想」ですが、両方試した結果としてCSC8002の方がお勧めと思います。
CSC8002が使われているキットは、図1のような回路になっています。どちらのキットも基板は同じようですし、抵抗とコンデンサの値が若干異なるだけです。
図1 回路図です。(※クリックすると画像が拡大します。)
3.作製
まずは表面実装のICであるCSC8002のハンダ付けをします。ICは最後にハンダ付けを......と言われますが、他の部品を先に付けてしまうと基板が傾いてしまい付け難くなってしまいます。それでもハンダ付けができない事はありませんが、表面実装部品のICだけは容易な方が良いでしょう。この位の足の間隔であれば「ハンダ吸取線」を使うまでもなく、1ピンずつのハンダ付けができます。ICの後で抵抗とコンデンサをハンダ付けする方法が、このキットを作るコツと思います。
入力には写真3のように手持ちの2.5mmピッチのコネクタを用いました。スピーカへは直接ハンダ付けをし、電源と入力用には2ピンのコネクタを付ける事にしました。中央の白い2本線が、スピーカへの配線です。もちろん全部を直付けにしても問題はありません。
写真3 電源と入力にはコネクタを使いました。中央の2本はスピーカ用です。
キットに入っているカラーを使って組み立てると写真4のようになりますが、個人的にはちょっと背が高過ぎるように感じます。これを見ると常に思い出すのが、青森県にある写真5の「三内丸山遺跡」でした。少し背が高過ぎるという事です。そこで下側のカラーを短いものに変更し、写真6のように少しだけ小型化し、ゴム足も付けました。この位の方が安定して良いと思います。更にスピーカを固定するカラーも短くしたいところですが、これは入手できませんでした。ノコギリで切ってしまいたいです。
写真4 キットどおりに組み立てるとこのようになります。
写真5 三内丸山遺跡です。いつも思い出してしまいます。
写真6 このように少々変更するだけで、雰囲気が変わります。
電源には写真7のように単3×2本のスイッチ付きの電池ホルダーを用い、入力にはクリップを使っています。このままだとコネクタの根元に負担が集中しますので、写真8のように結束バンドでカラーに固定しました。また、VRには回しやすいように、手持ちのツマミを付けてみました。これで実験時にさっと持ち出して使う事ができます。
写真7 電源ボックスと入力にはコネクタを使いました。
写真8 コネクタの圧着部分にテンションが集中しないように、結束バンドでカラーに固定しました。
4.使用感
立派なスピーカなのですが、構造的に裏からの回り込みが漏れ漏れです。開放され過ぎているので、音量も音質も今ひとつと感じます。しかし実験用とするならば問題もなく、簡単に使用する事ができます。ただ、音楽鑑賞をするにはちょっと・・です。
手で覆うだけでも音質が改善しますので、ここに厚紙などの遮蔽物を入れるだけで良くなりそうです。少々大きくなってしまいますし、そのようなキットではなさそうです。音質を重視するなら最初からスピーカボックスに入れるべきでしょう。
5.トラブル
HT6871のキットは、電源をONしても全くウンともスンとも言いませんでした。写真9のように見た目は全く同じです。電圧等をチェックしてもICには電圧がかかっていますし、入力信号もICに入っています。これはICの不良しかないと考えて交換しましたが、全く同じでした。
写真9 右側がHT6871を使用したキットです。
次に1ピンの電圧を変えたり、データシートと同じ回路にしたりしましたが、今でも動いていません。
6.終わりに
トラブルはありましたが、CSC8002の方は動き始めると軽快に音を出します。AF絡みの実験には便利に使えると思います。HT6871の方は、良く解らないままになってしまいました。