1.はじめに

ハムフェア2006では、多くの方とアイボールをさせて頂きました。その中で、「ユニセフハムクラブ」の原恒夫さん(JA8ATG)ともアイボールしました。原さんはBEACONの「アマチュア無線人生いろいろ」でも登場されています。16回目の4球スーパーの製作時には大変お世話になりました。

今年は写真1のような6石スーパーのキットを買ってきましたので紹介します。このキットはラジオ少年のWEBからも購入する事ができます。

写真1 これが6石スーパーです。

2. このキットについて

このキットはケース付きの写真2~10に示すようなキットです。どのようにまとめるかを考える必要はありません。ハンダ付けをするだけと言ってしまえばそれまでですが、6石のトランジスターラジオとしては「日本製にはないキット」という話も聞きました。韓国製ですので、もちろん説明書もハングルで書かれています。私には全く読めませんので、回路図だけを見て作りました。肝心なポイントについては、日本語の補足説明も入っていますので大丈夫です。しかし、これを中学2年の息子に作らせようとしましたが、ハングル文字を見て諦めてしまいました。現実的には、初心者にとってはポイントだけではなく、説明書の完全和訳がないと敷居が高く感じられるのでしょう。その気持ちも理解できます。

写真2 キットの箱です。青色のもあるようですが、売り切れていました。

写真3 箱を開けると、このように部品が梱包されていました。

写真4 左側はオリジナルの説明書(10ページ)です。右側が日本語の補足説明です。

写真5 箱の中にはこのように部品が入っています。

写真6 なぜかトランジスター2個だけは基板に差し込まれた状態です。

写真7 もちろんケース付きのキットです。

写真8 アンテナコイルやイヤホンジャック等です。アンテナコイルは予め端子に線がハンダ付けしてありますので、端子を基板に入れるだけで全て正しく入ります。

写真9 IFTです。

写真10 トランスです。緑はアンプの入力側で赤は出力側で使用します。

また、トランジスターの電圧の測り方(たぶん?)が図面入りで詳しく書いてあります。これは日本語で読んでみたいところです。このままではもったいないですし、教材としても最適かと思います。日本でもこのようなキットが出ないかと考えてしまいますが、部品数が多いものは敬遠されてしまうのでしょうか。

3.組み立て

まずは抵抗の取付けを始めました。カラーコードが読めなくても、写真11のように紙に差してあり、更に取付け位置まで表示してあります。場所を探す事はありませんし、間違えようがありません。紙に差してあるのは良くあるのですが、場所の表示まであるのは初めてみました。

写真11 抵抗はこのように整理されていました。見やすく使いやすいです。

抵抗に方向はないというタテマエですが、基板の表示方向に合わせて左側に第一数字を持って来ると読みやすくなります。写真12は5.6kΩの表示方向に合わせて、左から緑青赤と並ぶようにしているところです。カラーコードは読みやすいように方向を統一する、と本には書いてありませんが、一般的には読みやすいように同じ方向に並べます。外国の工業製品で、天地両用に付いた基板を見た事がありますが、目が回るようで非常に見難くなります。

写真12 抵抗の表示方向と色の方向は、統一しておくと見やすくなります。緑は5、青は6、赤はkΩの単位です。(正確には10の2乗です)

トランジスターやコンデンサも同様に写真13のように整理されています。国産キットでは見かけませんが、とても作りやすいです。トランスやIFTは、日本語のコピーで色が指定してありますので安心です。もちろん、指定された色を確認して取り付けます。

写真13 コンデンサやトランジスターもこのとおりです。

基板もケースもありますので、何も考える事はありません。単にハンダ付けの練習になってしまいますが、そう思いながら基板は一時間程度で組み立ててしまいました。次はスピーカと006Pスナップのワイヤーを、ハンダ付けします。これもすぐに終わってしまいます。基板を作り終わったところが写真14です。ひと呼吸おいて、じっくりと確認しましょう。その後で電池を入れて、電源を入れます。

写真14 基板が完成したところです。

この後で、前回に続いて大失敗をしてしまいました。(実は良くある事です。)写真15のような状態で電源を入れると音がするのですが、音が小さく歪みとノイズの多いひどい音しか出ません。しばらく悩んでしまいましたが、2SC1959の片方の配線に間違いのある事に気が付きました。表示のとおりに入れれば良いトランジスターなのですが、なぜか足が交差していました。完全な不注意ですが、基板を見てもこのようなミスは見つけ難いものです。前の方で「確認しましょう」と書きながら、実は本人も確認できてないのでした。このミスを修正すると、十分な音量で受信できるようになりました。その後基板をケースに固定し、SGを使ってトラッキング調整を行っています。写真16のようにピタリとケースに収まりました。

写真15 スピーカと電池を仮付けして試しに受信しますが・・。

写真16 ケースに入れるとピタリと決まります。

キットの裏面は写真17のようになっています。ロッドアンテナが付くようになっていますが、キットには入っていませんし、回路図にもありません。中波ですので無くても良いのですが、持った時に何となく違和感を持ってしまいます。単にデザイン上だけといえば、それだけの事ですが、今ひとつのところです。

写真17 裏側にはアンテナのスペースがありませんので、何となく妙な感じです。

4.おわりに

考えてみると、私が6石スーパーを初めて作ったのは最近の事です。中学の頃には真空管ばかりいじっていたため、作る機会はありませんでした。たぶん機会があっても、技術も知識も無く成功はしなかっただろうと、昔のラジオ少年は思うのでした。いずれにしても、このようなキットが技術のすそ野を広げる事は間違いありません。
トータルとしてハンダまで入っている、組み立てやすいキットですが、ハングル文字だけはネックでした。2400円ですので、「キットを楽しむ」と考えないと高く感じてしまいますが、充分に楽しむ(苦しむ?)事ができました。