エレクトロニクス工作室
No.49 どこでもアンテナ
1.はじめに
7MHzの波長は40mでλ/4としても10mですので、簡単、気楽にアンテナを作って受信するのは慣れないと困難かと思います。この『どこでもアンテナ』は、超小型で簡単に作成できる写真1のような受信用のアンテナで、なかなか面白く受信できます。アンテナというよりも、アンプという部分もあります。
もちろん屋内でも屋外でも使用できます。実質的には室内用アンテナといえるでしょう。送信はできませんので、間違っても送信にしてはいけません。素子が壊れてしまいます。
写真1. 室内が散らかってるのがバレバレですが、こんな感じのアンテナです。
2. 回路
サイテックのキットですのでこちらのHPで確認して下さい。もっと沢山の情報をこのHPから得る事ができます。図1がどこでもアンテナの回路図になります。実に簡単な回路です。
図1. このようにループアンテナとトランジスタを使ったアンプです。(※クリックするとPDFが開きます。)
7MHzで作成しましたが、巻数を増やす事で3.5MHzでも同調が可能です。もっと高いバンドでも可能ですし、切り替えスイッチとかトリマーを工夫すれば多バンド化も可能でしょう。ケースの大きさもこの大きさにする必要もありません。最終的にはカットアンドトライで同調点を合わせる事ができればOKです。
3.製作
写真2がキットに入っている部品です。製作は写真3のようにハトメから取り付けました。フェライトビーズにコイルを巻くのは、慣れないと面倒かもしれません。説明にあるとおり、マジックで線に黒と赤の区別を付けて巻いてみました。もちろん、テスターで確認しても同じことです。理想的に言えば、3色のワイヤーが揃っていると簡単ですが、同じ太さの線種で3種類の入手は大変困難でしょう。写真4がコイルを巻いたところです。写真5がハンダ付けを終わったところです。写真6が部品面になります。
写真2. キットの内容になります。
写真3. ハトメを取り付けた後の基板になります。
写真4. コイルは説明書のとおりに巻いてみました。マジックでワイヤーに色を塗るのがミソです。
写真5. 基板はすぐに完成します。
写真6. 部品はこのように取り付けられます。
次の作成ポイントはアンテナになるコイルの巻き数になります。コイルの巻き数はケースの大きさで変わってきます。写真7のような10cm×15cmの枠型のケースを、100円ショップで買って来ました。このサイズは葉書を入れる大きさになりますので、多種のものがあります。ハガキの整理用・・というケースなら縦横の大きさは大丈夫です。この大きさで指定どおりに6回巻きをしたところ、トリマーの中央付近で見事に7MHzに同調しました。
写真7. 100均で購入した入れ物です。フタのないものを選びました。
100円のケースに穴あけを行い、基板を取り付けたのが写真8になります。なお、電源スイッチは基板に直接スライドスイッチを取り付けてしまいました。この作り方なら、スイッチが外に出るとかえって邪魔になるかと思います。アンテナ用のコイルは外側に写真9のように巻いて束ねました。固定しないと同調がずれてしまいますので、捕縛用のワイヤーで固定兼束ねています。
写真8. このようにケースに入れました。電源スイッチは、ハトメにスライドスイッチを直付けしてしまいました。
写真9. ケースに穴をあけて、ワイヤーでコイルを固定しました。
4.調整
受信機で聞きながら、トリマーを回して最大感度に合わせるだけです。試しに図2のようにして感度というより、選択度を測って見ましたところ、測定結果1のようになりました。写真10がこの様子です。結構シャープになるようです。簡単に選択度をチェックしたという程度ですので、ゲインが何dBiでなどというレベルの測定ではありません。
図2. FRMSをこのように接続して特性を測ってみました。アッテネータがないとレベルオーバーとなります。(※クリックすると画像が拡大します。)
測定結果1. 測定した結果です。このような特性となりました。
写真10. FRMSのRF-OUTが左側のクリップになります。
実際の信号を受信しながらの調整になりますが、人や建物が近くにあるのが当然のアンテナですから、場所を移動すれば若干の調整ズレが起こる事は当然です。あまり神経質になっても仕方がないと思います。
5.使用感
もちろん、フルサイズのアンテナと比べてはいけません。どれだけ小型な室内アンテナで受信できるかという事ですので、ノイズ源の影響がどの程度あるかの方が重要かもしれません。測定結果1は思ったより良い選択度かと思います。ちなみに室内のパソコン等に近づけるとノイズが増える事は増えますが、思った程のレベルではありませんでした。
このアンテナにトランシーバを接続しても良いのですが、送信はできません。余程のQRPならともかく、10Wも入れてしまえば瞬時に壊れる事でしょう。なるべくなら、受信機に接続する方が安全ですが、トランシーバに使用する場合は、キーやマイクは意識的に外しておく等の安全対策をしておくと良いでしょう。
最近では当然のように近くにパソコンが置いてあります。パソコンが近くにある場合は、どうしても不利になります。パソコン以外でもテレビやエアコン、湯沸し等、PLCは最悪でしょうが、外に置いたフルサイズのアンテナに比べてはいけません。条件的には、モービル用のホイップアンテナよりも不利でしょう。それでも、簡単にHFがガンガンと受信できるこのアンテナは、なかなか存在感がありそうです。