1.はじめに

 以前、No.48で~5μHのLメータを紹介しました。今回はその続編の第2弾として、〜1μHと〜30μHを測定するLメータ2台を紹介します。写真1と2のようなLメータで、基本的には前回と同様の作り方をしていますので、外観もほぼ同じです。というよりも、同じシリーズですので同じデザインにしています。

 これら3台のレンジは重複したり、抜けていたりています。使ってみると解りますが、レンジの下端の方ではディップが取り難くなります。

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写真1. ~30μHを測定します。

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写真2. ~1μHを測定します。

2.〜30μH

 図1に回路を示します。No.48の回路とほぼ同じになります。このレンジの測定ではインダクタンスが大きくなりますから、発振器の周波数は低くしました。4.27MHzの手持ちがありましたので使用しました。良くある3.58MHzとか5MHz程度でも良いと思います。それに合わせて、同調させるコイルとコンデンサは微調整して下さい。

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図1. ~30μHの回路です。(※クリックすると画像が拡大します。)

 製作は写真3のようなバラックで動作をチェックする事から始めました。目盛はありませんが、このままでも十分に使う事はできます。写真4はカットしたアルミ板です。それに合わせてパソコンで作った化粧パネルが写真5です。

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写真3. このようにバラックで動作確認をしています。

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写真4. アルミ板をカットして作った簡易ケースです。

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写真5. パソコンで作った化粧パネルです。

 ポリバリコンの容量も大きめのものを使用したところ、構造がNo.48と異なってしまいました。ツマミ側に固定用のネジがないのです。写真6が生基板上に作ったユニットです。写真7のように本体側に主な回路部分を置きました。パネル側には電源スイッチとLEDだけです。見た目は同じなのですが、構造は全く異なりますし、スペーサーも少し長くなりました。この構造については、使うポリバリコンによる事となります。

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写真6. 生基板に切れ端上に回路を組み立てました。

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写真7. このような構造になっています。

 この位の値になりますと、クリップの長さによる浮遊インダクタンスを無視する事ができます。標準のインダクタンスを用意し、測って目盛を作って行きます。他のインダクタンス計と比較する方法もあるでしょう。そこで、写真8のようなチップのコイルを概ねE12系列で揃えましたので、これを標準として校正してみました。リード線のコイルは種類を集めると結構な金額になってしまいます。チップの場合には以外と安く市販されている事に気が付きました。最近ではこのようなコイルを揃えています。写真9のように、チップとはいっても製品は統一されていません。なお、このようなチップのコイルは、誤差が5%や10%程度のものが多いようです。なるべく正確な製品でまとめたいところです。

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写真8. 調整用に作った「基準インダクタンス」です。

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写真9. 銅箔側にチップのインダクタンスを付けています。

 このような調整に使うには便利です。写真10のようなメモ書きを元に、新たにパソコンで目盛を作っています。

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写真10. ポストイットを貼って目盛を作る準備をします。

3.〜1μH

 図2が〜1μHの回路になります。41MHzの発振器を使用しました。67MHzや90MHzも試しましたが、逆に使い難い感じとなりましたので、この位が良いのだと思います。この場合にはNo.48と全く同じ構造としました。部品を集めたのが写真11になります。写真12がパネル側に組み立てたところです。写真13のようにパネル側は完全に分離していますので、作りやすい構造です。

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図2. ~1μHの回路です。定数以外に違いはありません。(※クリックすると画像が拡大します。)

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写真11. 部品を集めたところです。この後でポリバリコンは交換しました。

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写真12. 組み立てたところです。

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写真13. 回路側が単独ですので、作りやすく保守には便利な構造です。

 この位の小さなインダクタンスの校正はやっかいです。だいたい、クリップを使って測定しようと考える事がナンセンスです。使いやすさを第一として、目安と割り切った方が良いかもしれません。校正は写真8の標準コイルを使ったり、ディップメータを使って共振周波数を計算したり、多角的に行いました。できる事を試せば良いと思います。極端なところ、50MHzのコイルの範囲はここからここまで、80MHzのコイルの範囲は・・という表示だけでも充分に約に立ちます。

 ディップメータを使った場合は、クリップの部分のインダクタンスも含めて測ってしまいますので、この点は考慮して少なめの目盛を作る必要があります。

4.使用感

 3台揃って写真14ですが、自作で普通に使う範囲のコイルは測定できるかと思います。0.15〜1μH,1.5〜5μH,2.5〜30μHとなっていますので、一部抜けてしまいました。特段不便はなさそうですが、ひと工夫しても良いかもしれません。

 このようなものを作っていて、また別のアイデアも出て来ました。別の機会に紹介できれば・・と思っています。

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写真14. 3台揃えてみました。