1. はじめに

 秋月電子で入手した、CPUを使ったCメータのキットを作ってみました。写真1のようなキットで、実は中国製です。今後は、このようなキットも中国製が増えて来るのでしょうか。私の場合は個人で楽しんでいるだけですが、ふと複雑になってしまいます。

 今までもCメータはありましたが、安くて面白そうなCメータとなりましたので紹介します。

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写真1. このようなデジタル表示のCメータキットです。


2. このキットについて

 動作の説明等は全くありませんので、どのような方式で測っているのかは良く解りません。測定中にコンデンサの両端の電圧を測ってみると、2.5Vのノコギリ波が加わっています。ノコギリ波というよりも、間隔を置いて単発を繰り返すのでサメのヒレ状態です。充電時の時定数をA/D変換して割り出すのかなと思います。

 回路構成としてはAVRのATmega48Vと4桁LED、あとは周辺の部品です。LEDは3桁の容量表示とpFのP、μFのu、nFのnを表示します。どうもnFだけは親しみが無くて苦手なのですが、少ない桁数で有効に表示するためには仕方ないのでしょう。


3. 作成

 写真2がキットの全部品です。お世辞にも立派な説明書とは言えません。A4の紙1枚の片面に説明と図面と部品表が書いてありますのが、全く量が足りません。しかも英文ですが、英語の苦手な私でも苦痛になるほどの量もありません。内容もありません。とにかく、部品表と図面を見ながら、自己流で作成しました。

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写真2. 部品はまとめて袋に入っており、抵抗の値を読む必要があります。

 10kΩは2つのはずが、3つある?・・と思ってテスタで確認すると、1個は120Ωでした。1%の抵抗だと、ほとんど「山本山」状態になってしまいます。良く確認する事はもちろんですが、抵抗などは後々でもチェックしやすいように、基板上には左から第一数字を並べるようにしましょう。

 多めに入っている部品があり、端子は?・・タクトスイッチは?・・と思ってしまいました。ある程度は融通のある部品の入れ方をしているのかと、良いほうに解釈しました。端子を使ってクリップをつなげるようになっているようです。なかなかカユイところに手が届くような部品の入れ方です。但しクリップは入っていません。このあたりは説明書になにも書いてありませんので、あくまでも私の推測です。

 最初はニッケル水素4本の電池で動かそうと思っていましたが、電圧変化の影響があるかもしれません。また、基板上にレギュレータICとDCジャックが載っていますので、そのまま使う事にしました。余計なアレンジはしませんでした。

 ケースに入れると使いにくくなりそうですし、DCの入力もやり難くなります。そこでアルミ板をカットして載せるだけとしました。この方が使いやすいと思います。何かしらの台に載せておかないとちょっと不安です。アクリルや木にでも載せておけばショート等のトラブルは避けられるでしょう。


4. トラブル

 電源を入れると写真3のように、3個のLEDのfセグメントが明るく点灯しっぱなしになっていました。当然ですが、どこかのハンダ付けをシクジッタ!と見るのが妥当です。しかし、散々探しましたが不良箇所は見つかりません。CPUをソケットから抜いて、テスターで電圧をかけてみても同様に異常な光り方をしてしまいます。これはLEDの不良か、LEDのハンダ不良しか考えられません。

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写真3. 組み立てた時、このように異常な表示をしてしまいました。

 そこで大変面倒な作業ですが、LEDの取り外しをする事にしました。スルーホールの基板ですので、すこしずつ抜くしかありません。そして外してみると、やはりLEDのfとC4間が3Ω位でショートしていました。外から覗いてみても、ショートの原因は解りません。写真4のペンで抵抗を書いた部分です。

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写真4. 抵抗のシンボルと3Ωと書いてあるとおりに、LEDの内部でショートしていました。

 その後秋月電子に行った時に状態を説明し、LEDを交換してもらいました。取り付けは簡単ですので、写真5のように簡単に動作しました。

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写真5. 交換すると、すぐに表示しました。

しかし、実は取り付け前に仮に差し込んでみて動作チェックを行いました。こんな荒っぽいチェックはご法度ですが、取り外しの作業は2度としたくありません。(当然ですね)次の交換は基板のパターンがダメになるでしょう。この部品がどう壊れているのかを明確に説明できれば、交換に応じてもらえるようです。「何故か動かないんだけど」というクレームでは「ハンダ付けを良く確認して下さい」と言われるだけです。私が同じ立場でも同じ事を言います。以前はDDSキットのラダー抵抗が壊れていてビット欠けという事があり、基板ごと新しいキットに交換という事もありました。

 キットの組み立てよりも、LCDの取り外しに時間がかかってしまったキットです。でも基板がタフなのには驚きました。良く剥がれずに残っており、一箇所も銅箔に剥がれはありませんでした。


5. 使用感

 LEDの表示がちょっと見にくいので、スモークのアクリルを小さく切って両面テープで直接貼り付けています。簡単な作業ですが、写真6のように格段に見やすくなりました。

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写真6. 10μFのケミコンですが、15μFと表示しています。uはμを表します。



写真5と比べると違いが解ります。表示をしない時でも白黒のコントラストが強いLEDですので、ここに赤く表示しても白黒赤が混じって見にくく感じてしまいます。そのため、このようなアクリルは結構重要です。まあ、私がこのLEDにあまり良い印象を持っていないのは事実ですが・・

 今までもデジタル式のCメータキットはありましたが、ボタンを押した時に測定を開始するものでした。例えば、バリコンのような測定には不便といえば不便でした。このキットは、連続で測定しますので測りやすいです。しかもオートレンジで1pF〜500μFまで測定します。実質的には数10pF程度からの測定になるとは思いますが、快適です。但し、最終桁が少々不安定にチラつくのが気になりました。微小容量では仕方ありませんが、10μFでもチラつく事があります。逆に連続で測定するからチラつくのであって、単発の測定ではないメリットもあるのだから・・と勝手に納得しています。誤差の範囲内と思ってしまえば、それほどの問題にはならないでしょう。

 ゼロ調整も簡単にできます。0.1pF単位で完全にゼロになりますので、微小容量も思ったよりも安定して測定できます。むしろ、今までのキットよりも安定です。写真7は2.7pFを表示していますが、全くチラつかずに安定しています。

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写真7. 微小の容量でも、このように表示します。




6. おわりに

 作るだけで、充分に楽しめたキットでした。しかし、それ以上に使えるようにも思います。スペックでは誤差2%以下となっていますが、今まで使ったCメータの中では一番正確そうです。