エレクトロニクス工作室
No.72 CQ Parrot
1.はじめに
2010年のハムフェアも東京ビックサイトで開催されました。毎年ここで部品や情報を仕入れ、アイコムの担当の方には挨拶をします。そして、恒例としてキットを買ってBEACONで紹介する事にしています。といっても私が勝手に恒例と決めているだけです。
今年はA1クラブで入手した写真1のようなCQ Parrot(オウム)を紹介します。オウムのように、同じ信号を繰り返すという意味かと思います。このキットはA1クラブのWEB(http://a1club.net/project/2010/kit.htm)から今でも入手できるようですので、問い合わせてみて下さい。
写真1. これが作成したCQ Parrot(オウム)です。
2.このキットについて
縦振れやバグキーなど、個性がでる手動電鍵での打電内容も、あなたのキーイングをそのまま記録再生をします。という歌い文句のキーヤーです。メッセージメモリーが2チャンネルあり、CH1に記録したメッセージはEEPROMに入るため電源をOFFしても消える事はありません。CH2のメッセージは消えます。
無線機から出るサイドトーンと本機のトーンが被らないように、ミュートモードがあります。待機モードで電鍵を操作すると、透過モードでスルーしたりします。このように、かなり細かいところまで気を配って、設計されているように思います。私などと違って、相当にCWに詳しい方がプロデュースされている事は間違いありません。
たいていは構成とか回路を説明してからなのですが、このキットは部品の実装図しかありません。という事で、大体は解りますが回路は謎です。CPUにはAVRのATmega328Pが使用されており、あとは入出力のコネクタとブザー、イヤホンジャックです。
キットは写真2のようにケースに入っていました。写真3がキットの部品です。基板は部品も印刷された立派な両面基板です。部品位置なども良く考えられている、しっかりとした設計です。
写真2. このようなケースにまとまって入っていたキットです。
写真3. キットの部品です。
3.作成
このキットに限りませんが、あまり大きい部品を先に取付けないのがコツです。この場合、一番大きいブザーは最後にするのが鉄則ですが、あまり神経質になる事もありません。写真4が作成途中の写真です。このようにブザーは後になっていますが、小さいコンデンサはもっと先に付けるべきでしょう。あまり良い手本ではありません。
写真4. 途中までハンダ付けした様子です。
基板が完成したところで、写真5のように配線して動作確認をしました。一応の動作確認をし、この段階で使い方を覚え多少でも慣れてからケースの事を考えるのが良いかと思います。その方が早道だったりします。
写真5. 基板が完成し、電池ボックスを接続して動作確認をするところです。
このように、基板を作ってからケースをどうするのか考えました。付いてきた写真6のプラスチックのケースは、容量的には十分な大きさです。ただ、写真7の電池ボックスの下側にあるスイッチをどう動かすの?とか、イヤホンジャックの穴を開けるとしても、タクトスイッチの操作はどうするの?と問題が出てきます。考えてみると、基板をケースに入れるのは結構難しそうです。スマートにケースに収めて、しかもスマートに操作するのは相当に気合を入れた工作が必要です。
写真6. キットに付いていたプラスチックのケースです。
写真7. 電池を取り出すのと反対にある電源スイッチです。
そこで一番簡単な方法で、基板を電池ボックスの上に載せる事としました。写真8のようにアルミ板を50mm×50mmにカットして、カラーを止めるネジは皿ネジとました。これなら凹凸ができません。この面を両面テープで電池ボックスに貼り付けました。写真9のように電源スイッチはちゃんと使えますし、タクトスイッチもイヤホンジャックも問題なく使えます。なお、タクトスイッチは外付けのスイッチも使えるように基板に端子が出ていますので、これを使って別のスイッチに配線することは簡単です。
写真8. アルミ板を50mm×50mmに切断し、シャーシにしました。
写真9 これで電源スイッチも全て問題なく使えます。
4.使用感
まず、音が大きいのに驚きました。ハムフェアの会場ならこの程度の音量がないとアピールにならないとは思いますが、一般の家庭では大き過ぎるでしょう。ブザーのシールは剥がさない方が良かったかもしれません。
自分の打ったCWをもう一度聞いてみると、あまりの下手さ加減にガッカリしてしまいました。私の場合には、まずは練習に使えという感じです。