3.11東日本大震災による計画停電についてOnlineとーきんぐNo.128「計画停電対策、照明装置の組み立て」の中で、ランタン風懐中電灯の連続点灯(約2時間)により豆球が断線した事例から、自動車用バッテリー(12V)とインバーター(DC-ACコンバーター)、100V用LED電球を組み合わせた照明装置を作るに至った話をしました。今回は安価なLED(発光ダイオード)を使って、手元にある携帯ライトのフィラメント式豆球をLEDに差し替える試みを紹介します。

用意したLED

事は高輝度LED(100円)を秋葉原の千石電商で見つけたことに始まります。

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写真1. φ5白色広角LED 日亜化学工業 NSPW570GS-K1(b2W)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

順電圧 順電流 光度ランク 色調ランク 指向角
3.1V(typ) 20mA W1.75〜2.53cd b2 130°

このLEDは店頭限定の商品のようでWebサイトで型名を確認できなかったものの、LEDは日亜化学工業製とありましたから、上記の商品に近い仕様と判断しました。観察すると高輝度LEDに共通の特長である「内部素子の黄色」が確認できました。以前の高輝度 LEDは内部の構造体が旧来の「点接触の素子」で、点灯させても輝度は電球に及ばなかったが、 入手した高輝度LEDは3.1Vの順電圧なので、通常の乾電池2本の携帯ライトの 電球に差し替えてもそのまま使えます。

試しに単一乾電池3本(4.5V) の懐中電灯に装着しても明るさは変わりなく、点灯時の素子の温度がそれほど変わりません。電池が減ってきた場合でも電球に 比べて輝度は落ちないように感じます。結果としてLEDは低消費電力と動作電圧が低下した場合の輝度低下が無いことで、電球型よりも長い時間安定して使うことができます。

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写真2. 口金に装着したLED。(左)従来型LED、(中)低輝度LED、(右)高輝度LED

2種類の口金

口金は回しこみタイプE10(φ10mm)と差し込みタイプBA9s(φ9mm)の2種類を購入しました。値段は30円。LEDのリード線の長い方がアノード(+)、短い方がカソード(-)です。逆につなぐと点灯しないので注意が必要。もし誤ってつないでもLEDは壊れない。

電流制限

電流制限のためにLEDと直列に抵抗や定電流ダイオード(15mACRDなど)を挿入しない。乾電池には内部抵抗(アルカリ電池で0.5〜0.6Ω)があるから、LEDが壊れるほどの大きな電流が流れないが、充電型のリチウム電池の場合は、大電流が流れる恐れがあるから抵抗や定電流ダイオードを挿入すると良いでしょう。

豆電球とLEDの消費電力

LEDはフィラメント式豆球の約7割の消費電力で済み、結果として電池の長持ちにつながります。もちろん低輝度実験用LEDなどLEDの種類により消費電力が異なるのは当然です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

豆球とLED 駆動電流 消費電力
2.5V 豆球 500mA 1.25W
3.5V LED(白・青色) 25mA 0.88W

拡大鏡の豆球をLEDに

ずいぶん前になりますが、ホノノル・エレクトロニクスに立ち寄った際に、照明付き拡大鏡(USA製)を見つけて基板上の細かな部品を見るのに便利そうなので手に入れました。当時のお店には雑誌「QST」やアマチュア無線機、電子パーツ類がたくさん置いてあり、パケット通信のモデムを米国本土から取り寄せてもらいました。後年、再び立ち寄ると先代の父親から息子さんの代に変わり、取扱商品が電機・電子装置・部品に変わっていました。

拡大鏡は2種類あり、いずれも単4乾電池2本、豆球(MAGNA L1TE222WIDE BEAM)をLEDに変更します。回しこみタイプの口金に写真のようにφ5白色広角LED を挿入してアノードとカソード半田づけするだけです。前述のように電流制限の抵抗や低電流ダイオードを入れないので作業は簡単に終わります。

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写真3. どちらもLED球に差し替えた照明付き拡大鏡。

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写真4. LED照明付き拡大鏡を点灯。

懐中電灯の豆球をLEDに

中国製の「スリム懐中電灯」単3乾電池×2本、豆球(2.5V、0.5A)をLEDに入れ替えました。口金はフィラメントが断線した差し込みタイプの豆球のガラスを割って再利用し、その跡にLEDを半田づけしました。Can Doで購入の懐中電灯100円、LED 100円の計200円でLED懐中電灯に装いを変えました。

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写真5. 中国製の懐中電灯にLED球を装着した。

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写真6. LEDに替えると100円懐中電灯に見えない。

Can Doで携帯ライトのハロゲン球(4.8V 0.5A)を探している時に面白いランタンを見つけました。単4乾電池×3本使用の「4 LED スタンドランタンライト」です。内部を覗くと白色・高輝度LEDが4個入っていました(100円)。乾電池を入れてスイッチオン、おもちゃと言い難い明るさで輝いていました。

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写真7. 「4 LED スタンドランタンライト」

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写真8. 「4 LED スタンドランタンライト」を点灯するとこのように。

まとめ

今回は[夏休み自由研究]のような内容に終始しましたが、簡単な工作を通じて、LEDの電流制限や消費電力などの知識を得ることができました。ここでは紹介しませんでしたが、ランタン風懐中電灯(単三乾電池×4本)は乾電池を2本(他の2本はダミーを装着)にして、豆球をLEDに差し替えました。GaN LED(単結晶窒化ガリウム)の輝度半減寿命は10万時間、連続通電4千時間は携帯ライトとしては十分な寿命です。参考までにLEDの製品寿命は封止樹脂の劣化により透光性が落ち、発光量が一定以下になった時点をいいます。