「プロユース・パソコン」「ハイスペック・パソコン」「ゲーム・パソコン」、この中でもっとも性能が高いパソコンはどれでしょうか?いずれもパソコンを用途別に分類した呼び方になりますが、これだけではパソコンの性能を推し量ることができません。そこで、次のように読み代えるとわかりやすいと思います。

「プロユース・パソコン」あるいは「ビジネス・パソコン」は事務系の用途に使われます。ビデオ性能に3D映像(3次元映像)の必要が無く、多くはマザーボードに標準搭載のビデオチップで画面表示を行います。メモリの搭載量もOS(オペレーティング・システム、基本ソフト)が快適に動作する容量より若干少なめの場合もあり、価格を抑えたモデルが多い特徴があります。

「ハイスペック・パソコン」に明確な定義がないため、「ビジネス・パソコン」、「プロユース・パソコン」の何かの機能をグレードアップしたものと考えられます。たとえば電源容量が大きく余裕があり、メモリが多く、大容量のHDD(ハードディスク・ドライブ)の内蔵を示す場合があります。価格は当然のように高目に設定されます。

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写真1. (上)ASUS GT440と(下)ATI Radeon HD 4870

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写真2. (左)ASUS GT440と(右)ATI Radeon HD 4870の出力端子

ゲーム用パソコンに目を付ける

「ゲームをやらないから関係ない」という方がおられますが、高い負荷の信号処理を長時間かつ安定動作を約束する高性能なパソコンとわかると放っておけなくなります。ゲームを楽しむ人は画面の精細な美しさにこだわり、シーン(場面)の切り替え時の乱れを許さない。もちろんゲーム中にハングアップや電源がOFFになるのを嫌います。

※動作していたソフトウェアが停止し、コンピュータが操作を受け付けなくなる現象や状態のこと。「フリーズ」「ストール」も似た意味。

「ゲーム用パソコン」に求められる性能としては

1)通気性が良いケース

2)容量が大きな高効率電源ユニット

3)高性能CPU(パソコンの中央演算処理装置)

4)高性能グラフィックカード

5)十分な量の搭載メモリ

※映像を信号として出力または入力する機能を、拡張カード(拡張ボード)として独立させたもの。

などが挙げられます。ところが、「ゲーム用パソコン」として専門店以外で売られる時、ごく稀にビジネス用パソコンと並んで陳列されることもあり、この場合、割安にて販売されることがあります。パソコンのケースにゲーマーが好む派手な絵柄が施されていて、事務所など仕事場では使いにくいため敬遠されます。

※gamer:ゲームを趣味とする愛好家たちの呼称。

高性能パソコンが欲しい

アマチュア無線用に使い方を限定するなら、それほど高性能CPUを搭載したパソコンを必要としませんが、ハイビジョン仕様になったビデオ映像の編集時に、一世代前のパソコンでは処理速度が遅くてイラつくことが多くなり、高性能パソコンが欲しくなりました。ある時、高性能ゲーム用パソコンの売り出しを知り、事前に電話予約をした上でパソコン・ショップに行き、Gateway(FX6800-03J)を格安な価格で手に入れることができました。

このパソコンの主な仕様は次の通りです。

CPU : インテル Core i7 プロセッサー 9201

OS : Windows Vista Home Premium 64-bit 正規版 (日本語版) SP 1

メモリ : 6144MB 1066MHz DDR3 トリプルチャネル SDRAM (3×2048MB)

ハードドライブ : 1TB SATA II (7200rpm)

スーパーマルチ : DVD±RWドライブ

ビデオカード : ATI Radeon HD 4870、1GB (GDDR5) ビデオ・メモリー

騒音に悩まされる

高性能パソコンを使い始めて有頂天になっていたのもはじめのころだけで、描画性能の向上に伴い発熱が増加するため排気の高速回転ファンの騒音が気になり始めました。排気熱の放出も想定以上で、時間の経過と共に騒音が激しくなります。同時に部屋の温度が上昇するので騒音対策と併せて対策を考えてみました。

※HD画質:操作線数が720本以上の高精細を意味する言葉。

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写真3. ASUS GT440を慎重に挿入する

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写真4. ASUS GT440を装着完了

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写真5. Gateway FX6800-03Jの背面

どこから騒音が発生しているのかを探すためにパソコンのケースを開けました。高速で回るファンからの騒音と見当をつけてCPUクーラー、電源ユニットファン、ケースファン、ビデオカード、マザーボードの順に調べます。パソコンの電源がOFFの状態でファンを指で押さえて電源スイッチをONにします。この時、騒音が減るか、あるいはなくなるかを耳で確認します。CPUファン、電源部ユニット、ケースファンの順に調べて行きましたが、いずれも無関係でした。一番疑わしいケースの排熱ファンも騒音を出していません。では、どこから騒音が発生しているのでしょうか?

騒音源を探る

最後にビデオカードの冷却ファンを手で押さえながらパソコンの電源をONにすると、あの轟音のような騒音がぴたり消えたので、ファン付きのATI Radeon HD 4870の高性能ビデオカードのファンが騒音の源とわかりました。対策としてファンレス化するためにファンを外して専用ヒートシンクを装着する方法も考えられますが、整合性など面倒な問題もあり、思い切り良くファンレス・ビデオカードに交換することにしました。

ファンレス・ビデオカードで解決

近くのパソコン・ショップに出かけてビデオカードを探しました。いろいろな製品を手に取り検討しましたが、ベテラン店員のアドバイスにより大型のヒートシンクを採用したファンレス・ビデオカードを選びました。キャッチフレーズが「0 dB Cooling」の新型ビデオカードASUS GT440(ビデオ・メモリー1GB) 9,970円です。

高性能ビデオカードのATI Radeon HD 4870からブレークダウンする形でASUS GT440に取り換えて、パソコンの電源スイッチONですぐに答えが出ました。それまでの騒音がうそのように何の音もしません。さすが「0 dB Cooling」、静かなパソコンに変身した瞬間です。これでサブ機に甘んじていたGateway FX6800-03Jが、メーン・パソコンの座に返り咲くことになりました。

※上位の目標を下位に展開していくときの1つの方法。

あとがき

下位のビデオカードに交換したことで、画像処理性能が多少落ちるリスクを覚悟しましたが、実際に操作してみると動画の編集などが全く問題なくサクサク動いています。深夜、周りに気兼ねすることなく、静かなパソコンを使ってビデオ編集ができるようになったのがうれしくてなりません。