ドイツ連邦共和国の南部に位置するフリードリヒスハーフェンのメッセ(展示場)で6月22日〜24日の3日間、ヨーロッパNo.1を誇るハムの祭典「Ham Radio 2012」を取材しました。6月27日には早々と『31カ国から14,800人の入場者と203の出展があった』『2011年の16,300人から多少減少しているものの、ハムラジオは世界のアマチュア無線家とその業界から好ましい評価を頂いている』と総括しました。

フリードリヒスハーフェンへの入り方

2010年からHam Radioを取材すること連続して3回、2002年の初取材を含めて4回目の訪問になります。ルフトハンザ航空エアバスA380-800に搭乗。09:45成田国際空港を出発、フランクフルト空港14:30着。ここでLH96便20:45に乗り継いでフリードリヒスハーフェン空港に21:35着。所要時間18時間50分の長丁場となります。

入国審査ブースの長い列に並ぶと30、40分はすぐに経ってしまうが、後の5時間はひたすら待つしかありません。近くの街に出かけて観光することも考えられますが、地理不案内の身には思い切った行動に出られない難点があります。仕方なく空港のWiFiに接続してパソコン(HP Mini 5103)でWEBの閲覧や友人たちにEメールを書いて時間をつぶすことにしました。空港にシャワー付き仮眠所などの施設はないものでしょうか。

搭乗券に搭乗口A1の記載、出発便ボードにはA4の表示がある。こうした変更は珍しくないので、そちらに移動して待っていると、なんと「SWISS」が点灯!『もしかしてA1ではないか?』 急いで移動すると搭乗口に「FRIEDRICHSHAFEN」の表示、LH96便の搭乗が始まっていて背中に冷たいものを感じました。定刻通り20:55にフライト、21:35雷雨のフリードリヒスハーフェン空港に着陸しました。

DARCとメッセの共同主催

「HAM RADIO」はDARC(Deutscher Amateur-Radio-Club=ドイツ・アマチュア・ラジオクラブ)とメッセ・フリードリヒスハーフェン(Messe Friedrichshafen)の共催というのはあまり知られていません。メッセは展示場を提供するほかに、報道関係者の登録と接遇、広報活動を行います。DARCは展示スペースをデザインします。同クラブのメンバーは約4万人、世界第3位のアマチュア人口を誇ります。因みに「デイトンハムベンション」の主催はDARA(Dayton Amateur Radio Association)、日本の「ハムフェア」の主催はJARL(一般社団法人 日本アマチュア無線連盟)です。

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写真1. 展示場の入り口に「HAM RADIO」の巨大な看板

2012年の入場料

入場料は次のように細かく分かれています。

・当日チケット:€ 9.00(€ 8.00)

・3日間チケット:€ 20.00(€ 18.00)

 (括弧内はDARCのオンラインショップで購入した場合)

・当日割引チケット:€ 6.50

・3日間割引チケット:€ 15.00

 (※ 学生、定年退職者、身体障害者)

・団体チケット(20名以上、1人):€ 6.50

・子ども(6歳まで):無料

・カタログ:€ 1.50

テーマは「デジタル技術」

DARCによる「デジタル技術」をテーマにしたパネル展示とデモストレーションがありました。日本ではJARLが主導するD-Star、そしてAPCO25、SDRs(Software defined Radio=ソフトウェア・レディオ)など。それぞれのブースに説明員が張り付いていました。

※官公庁向けデジタル無線の開示された共通規格。

ヨーロッパの新技術

SDRを組み合わせたHF/VHFトランシーバーFLEX-6000、SDRマルチバンド・トランシーバー、CATインターフェース、IFレシーバー、スペクトラム・アナライザーなどがヨーロッパの新技術として紹介されました。

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写真2. アンテナアナライザー FA-VA3(DL1SNG)

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写真3. Icom (Europe) GmbHの展示全景

JAIGと交流

JAIG(Japanese Radio Amateurs In Germany)は日独友好の目的で 1985 年に設立されました。メンバーは 545 人を超え、ドイツにとどまらず世界各地で活躍しています。代表世話人の壱岐さん(DF2CW、JA7HM)と夫人のエリカさん(DM2MCW)が、会場2階のレストランの奥まった一隅にJAIGの旗を立てたテーブルに陣取っておられます。HAM RADIOを訪問すると、真っ先に表敬する場所です。

DARCの開会式を途中で抜け出しJAIGのテーブルを目指しました。いつものように温かく迎えてくださり、久しぶりのアイボールQSOを楽しみました。今回も短期滞在の免許証を壱岐さんから受け取りました。コールサインは「DL/JA1FUY」Aクラス、免許期間1週間は、3泊5日の訪問者には十分な運用日数です。JAIGに立ち寄った(WVFクラブハウス会食を含む)に参加したメンバーは次の通りでした。

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写真4. JAIGミーティングで記念撮影。左からDF2CW、JA1IFB、JA1FUY

JA1FUY JA1IFB DF2CW DM2MCW DF5ZN&XYL DL4KBB(7J1AJV) DE1MCH DJ6DO DL7UMA

DL1FBC&XYL DH2PC DJ0OQ DF2MC DJ9WA DJ4SG&XYL DJ0FX DJ7KJ DN2MC DL4FCF

DO6JF(JJ3TLA) DH5JR DJ8OT DH1PAL DK1HE DL2MAJ DK5JI LUSO/SHIMODA OE3MPC

DH1MAM DJ1TE SWL(6月22日〜24日、名簿記載順)TNX DM2MCW

RSGBの書籍

RSGB(Radio Society of Great Britain=イギリス・ラジオ協会)のブースで「The Amateur radio Mobile Handbook」2nd Editionを€ 14.00で購入しました。著者:Peter Dodd G3LDOA5判128頁、約1,400円。次に目次を紹介しておきます。

「モービル局の現状」「モービル操作」「無線機の搭載」「アンテナ搭載」「凧とバルンのアンテナ・サポート」「マリタイム・モービル操作」「HF自転車モービル」「徒歩モービル」「モービルの実験活動」「測定と測定機器」巻末に「APRS」「D-STAR」の解説付。

ARRLのストラップ

ARRLのコーナーは「DXCCフィールドチェック」の長い列ができていました。N3KN(ARRL会長)KAYさんが、アイボールQSOコンテストの署名を丁寧に行っている様子を横目に、友達に頼まれたARRLのストラップ(Badge Lanyard)を1本€ 3で4本購入しました。青地に[◆ARRL◆ Amatur Radio ◆]が白色でプリントしてあります。帽子のVEパッチを見つけて『あなたはARRLのメンバーか』『イエス、しかもVEだよ』『ちょっと待て』奥に引っ込んでごそごそ、『QSTのバッチを上げるよ』とWJ1B(Kramer氏)がほほ笑んだ。

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写真5. ARRLブースでWJ1B

USライセンス・テスト

6月23日(土)午前10時、プレスセンター棟5階会議室でARRL/VEC ライセンス試験が行われました。代表者はDJ0QN(Mitch Wolfson氏)、VEはイタリア、ドイツ6人のチーム。ここにJA1IFB/KA1ZとJA1FUY/NV1JがVE証を付けて表敬しました。受験者は17名、当日受験もOK。受付を済ませて席に着く頃には、所定のテーブルは満席に。英語による[受験の際の注意]が簡潔に述べられて試験がスタートしました。

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写真6. QSTとARRL/VECのバッジ

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写真7. ARRL/VEC 独チームのDJ0QN

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写真8. HAM RADIOの案内冊子に告知

KA1Zは電卓のメモリチェックを始め、DJ0QNに『問題なし』と報告。採点が進む中、NV1Jに採点のチェックと署名を求められ、次いでForm605(申請用紙)とCSCE(合格証)の署名を行いました。はからずも独チームのセッションに参加して、黒地に金文字が映える【ARRL VECバッジ】がプレゼントされ、再会を約束して退室しました。

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写真9. デイトンハムベンションをPRするDARAのブース

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写真10. 珍しい真空管の展示

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写真11. IC-7000、AT-180、電源をカメラケースワンパッケージ(DL7KJS)

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写真12. バドダイポールのデラックスキットが€ 60値引きして€ 430

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写真13. YL会議の寄せ書き

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写真14. フレアマーケットの光景

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写真15. 高周波関連のパーツが豊富に売られている

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写真16. 250ワットのダミーロードが€ 55(約5,500円)

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写真17. 東欧諸国から持ち込まれた高周波関連のパーツ

おわりに

いつもと違った視点からレポートをまとめました。メーカーや販売店、並びにフレアマーケット(のみの市)の様子は写真でご覧いただきたいと思います。前年比1,500人減にもかかわらず、Ham Radioはデイトンハムベンション、日本のハムフェアと共に存在感を増して行くものと期待されています。成田空港から20時間前後の遠い距離にありますが、ヨーロッパNo.1のハムの祭典に理解を深めていただければ幸いです。