9月2日、九都県市(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、千葉市、さいたま市、相模原市)防災訓練は埼玉会場(飯能市岩沢運動公園)にて合同防災訓練が行われました。会場に消防自動車や救急車、警察、自衛隊などの車両や大勢の人が参加する大規模なイベントになりました。同時に防災フェアが併設され、携帯電話各社の無線中継車や非常食の試食や救急救命の講習など興味深い展示がありました。

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写真1. JF1TOI松本氏のモービルに指揮者(JA1EPO)同乗

中でも数台の白バイを展示したコーナーでは警官が見守る中、幼稚園児たちがバイクのシートに乗りライダー気分を楽しむ光景が印象に残りました。そして、会場の一隅にJARL埼玉県支部のテントがあり、そこに埼玉県電波適正利用推進員協議会が間借りする形で出展し、電波適正利用推進員13名が「STOP不法電波」のスローガンのもと、リーフレットを配布するなど啓発活動を行いました。

※宣伝広告、案内や説明などのために、一枚の紙に刷られた印刷物。

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写真2. 九都県市防災訓練・防災フェアに出展のJARL埼玉県支部と埼玉県電波適正利用協議会

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写真3. 「STOP!不法電波」のリーフレット

電波適正利用推進員制度

電波適正利用推進員は、従来、総務省が行う業務のうち、電波の適正な利用に反する不法・違法な行為を未然に防止する活動や、混信・妨害に関する相談等の比較的平易な業務に限って、一定の資格を有する民間ボランティアに委嘱し、総務省の電波の監視機能を補完する形で、草の根レベルから電波利用環境の保護・改善を図る組織として、平成9年度から導入されました。

電波適正利用推進員(以下「推進員」と略)は、総務省から電波利用環境の維持・改善に関する活動について委嘱されたもので、国が行う電波の適正な利用に関する活動に協力する民間のボランティアで、総合通信局長等(沖縄は総合通信事務所長)から委嘱状と身分証明証及び推進員記章が交付され、都道府県毎に設置する電波適正利用推進員協議会に加入して活動を行います。推進員の委嘱総数は、平成23年11月1日現在、全国で715人(平成23年11月)が活躍しています。

推進員の活動

推進員は次の(1)〜(3)の活動を行います。

(1) 電波の適正な利用等の電波に関する知識について広く社会に周知啓発を行うこと。

(2) 混信・妨害等に関する相談窓口の紹介や解決策のアドバイス。

(3) 総合通信局長に対する必要な協力。

電波工作教室

推進員としての初仕事は九都県市防災訓練・防災フェアで専らリーフレットを頒布することから始めました。続いて10月28日、「所沢市民フェスティバル」に参加しました。場所は日本航空発祥の地として知られる所沢航空記念公園で開催され、団体PRコーナーに埼玉県電波適正利用推進協議会が出展し、「STOP不法電波」のスローガンのもとに周知啓発活動および電波工作教室、混信相談を行いました。担当推進員9人が参加しました。

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写真4. 電波工作教室の受付

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写真5. AR-5 AMラジオキット

AMラジオキットAR-5

「電波工作教室」では小学1年から6年生の子供たちを対象にラジオキット作りを開きました。同教室に参加するには名前と小学何年生かを申込用紙に書き込み、2種類のキットを選ぶことができます。テントの中に長机2卓が向かい合わせに2組、1卓に椅子2脚を用意したので8人が同時に工作教室に参加できます。机の上には半田ごてと、ラジオペンチ、ニッパー、ドライバー(+)などの工具を備えてあります。

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写真6. 完成したAR-5 AMラジオキット

教材は「AR-5 AMラジオキット」が36個用意されました。ラジオ専用IC(F-501T)とTR(2SC1815)を各1個使ったストレート式ラジオです。回路は簡単なのに受信感度が高いので実用性は十分のようです。電源は単4電池1個、クリスタルイヤホンで聴く方式です。

工作に入る前に半田ごての操作の有無を確認して、未経験者には「こて先が高温になるので絶対に触らないように」と説明しました。

小学生の低学年には、工作を始める前に「半田付けの見本を見せるね」と前置きしてお手本を示すことにしています。こて先を基板のどの部分に当てると半田が溶けるか、熱の回り方や半田の盛り方を学習してもらい、後は自力で工作ができるようになります。高学年になると「学校で半田付けをしたことがある」という女子が現れて、工作を手際よく進めて驚ろかされました。

半田付けを終えると、アンテナ端子にクリップ付ビニール線をつなぎ、クリスタルイヤホンを端子に挿します。単4電池のプラスとマイナスを確認して電池ケースに取り付けると放送が大きな音量で聴こえます。このキットには音量調節がないので、アンテナのビニール線を伸縮することで代用する、動作を止めるときは単4電池を外すことなどを説明しました。時間に余裕があるときは、放送電波の良く聞こえる場所、効きにくい場所などを体験してもらいました。

電波教室教材1ラジオライト

「電波教室教材1ラジオライト」は商品名「ハンディーAM/FMラジオライト」でスペア電球1個付、サイズ:15×5.5×4.7(cm)、単4電池3本使用、AM/525〜1650kHz、FM/76〜90MHzの仕様(中国製)。市場価格は500円〜1,000円。ライトとサイレンの多機能に人気が集まり、40個用意したこのキットからなくなりました。工作は電解コンデンサ×1、抵抗×3本をカラーコードで区別しながら基板に挿して半田付けする内容です。

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写真7. 電波教室教材1ラジオライト

特設テント内の机上で推進員が付きっきりで半田付けのお手伝いをします。AM-5キットの工作と同じように、半田ごての取り扱いを説明して工作を始めました。キットが完成してラジオが鳴ると子供の目が輝き、素直に喜びを表してくれ、親御さんが見守る中「ありがとう」と律儀に頭を下げてテントを後にする後ろ姿を見送りながら、理系に進むきっかけになると喜ばしいと思いました。

あとがき

推進員の新任研修会と防災フェアでは知人ら3人に出会い、アマチュア仲間の隠れたボランティア活動を知る幸先の良いスタートとなりました。また、関東の推進員は190名(平成24年6月1日)と公表されていますので、推進員の中に多くのアマチュアが参加しているものと推測しています。電波の適正な利用のため、電波という資源を「全ての人」が、「無駄なく」利用できるように微力を尽したいと思います。電波適正利用推進制度の詳細について、下記URLを参照ください。

電波適正利用推進制度の詳細について:http://www.cleandenpa.net/01/