ロー・コスト・キャリア(Low Cost Carrier)の頭文字からLCCと略称され、機内サービスの簡素化と運行の効率化、運行費用の徹底削減などから、運賃を低価格に抑えた格安航空会社の人気が上昇傾向にあります。成田空港にLCCのための第3ターミナルが開業して話題になりました。3月初旬、開業間もない第3ターミナルにジェットスター航空(Jetstar)で来日する友人を迎えました。車を第2ターミナルの「P2」駐車場に置いて第3ターミナルへの連絡通路を600m歩きました。第3ターミナルまで「後300m」「後200m」の標識が恨めしいほど道のりが長く感じられました。

真新しい第3ターミナルの到着出口はエスカレーターを登り切ったところで、通路を隔てた壁際で迎える簡素なレイアウトでした。待合室はフードコートを兼ねていて飲食しながら到着を待つことができます。モダンな雰囲気を醸し出しているものの、景観に目が慣れると配管がむき出しの天井や質素な施設が、高速道路のパーキングエリアのフードコートや土産物売り場の雰囲気に通じるものがあると気づきました。

首都圏、第三の空港

ふとしたことから茨城空港(いばらきくうこう)と上海浦東空港を運航する春秋航空(Spring Airlines)を知りました。運賃は最安値で6,800円! 航空機はエアバスA320を使って一般の航空会社と変わりません。「往復13,600円で上海に行ける?」燃油サーチャージを加えても2、3万円です。「飛行機も乗り合いバスと同じ!」と誰かが言っていたのを思い出しました。そして、首都圏に東京国際空港(羽田)と成田国際空港の二つの基幹空港に加えた第三の茨城空港の存在を再認識しました。今後はベトナムへのチャーター便(ベトジェット航空)や中国南方航空の就航が予定されています。

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茨城空港の旅客ターミナル

茨城空港は国内便のスカイマークとスプリング・ジャパン(春秋航空日本)が運航しており、国際線は、唯一春秋航空が茨城-上海を運航しています。国内各空港からは大阪→上海、高松→上海、佐賀→上海、札幌(新千歳)→上海の路線があり、大阪発の運賃は天津、武漢、重慶、成都、西安、鄭州、青島をつなぐ便で5,000円~6,800円です。そのほか、高松と佐賀からの運賃は上海へ3,000円~、札幌が10,000円~となっています。詳しくは同社のWEBサイトをご覧ください。

交通アクセス

関越自動車道を経由して東京外環自動車道・三郷ジャンクション(JCT)で常磐自動車道に入り、石岡小美玉スマートインターチェンジで降りました。そこから一般道を走行して茨城空港まで約60分の距離にあります。成田空港までの走行時間とほぼ同じ印象でした。他に関越自動車道で高崎へ、そこから北関東自動車道にて茨城空港北ICへ走行するルートがあります。また、東京駅から高速バスの運行があり、片道1,000円のところ搭乗客は500円に割引されます。バスは東京駅から乗車する場合、事前予約制なのでご注意ください。

航空自営隊と共用飛行場

茨城空港は茨城県小美玉市百里・与沢にあり、百里飛行場に隣接する共用飛行場です。 元々は防衛省・航空自衛隊が管理する飛行場で、2010年に民間共用化されて茨城空港としての営業を開始しました。 滑走路と自衛隊施設は百里にあり、茨城空港の旅客ターミナルビルは隣の与沢にあります。因みに茨城空港の住所は〒311-3416 茨城県小美玉市与沢1601番55号です。

駐車場が無料

茨城空港は1,300台の無料駐車場を完備しています。成田空港近くの民間駐車場に車を預けて7~10日の旅行に出かけた場合の駐車料金はネット割引を適用しても数千円になります。それと比べても茨城空港の無料の駐車料金がうれしくなります。旅客ターミナルは目前なので歩いて2~5分の利便性の高さに巨大空港との違いを再認識しました。

アイボールQSO

6月12日~14日の2泊3日の日程を組み、上海を訪ねて友人たちの安否確認をしたくなりました。"上海万博"の閉幕直後に開催した「2nd 上海HAM EXPO」を取材したのが2009年ですからあれから6年が経過しました。友人のBA4AA徐儒さん(元BY4AA台長)は当時80歳でしたから今年は86歳のはず。そんな折にBA4CA(103歳)、BA4CH(92歳)の両オールドタイマーの訃報が伝えられました。弔意を伝えるとともに受け入れの可否を伺うと、「歓迎する。」の返信がありました。短い滞在なので、友人のドクター郭徳文さん(BA4AD)、元BY4ALCの教師、鄭正文さん、SRSA前会長の顧安義さんとのアイボールQSOを希望して日程のアレンジをお願いしました。

いつも最安値とは限らない

6月は繁忙期を外れているらしく、どの日をとっても片道6,800円の最安値で予約が可能でした。結局、支払ったのは運賃6,800円×2、空港使用料1,800円、燃油サーチャージ2,500円 + 5,500円、これに付帯サービス料900円×2、他の税金520円など計25,200円でした。

付帯サービスとは座席指定(フロントシート)3C(3列目の通路側)とクレジットカード決済時の手数料(300円)のようです。予約時にフロントシート(600円)を指定しました。これは2・3列目の足元がゆったりした前方の席で搭乗・降機がスムーズでお得感がありました。ほかに機内で一番足元の広い座席コンフォートシートは+1,000円(インターネット予約時)や16,17列目(非常口座席)のレッグシート800円、スタンダードシート(5-15・18-33列目)400円などの設定があります。

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春秋航空の搭乗券(半券)

WEBから予約できない?!

通常は春秋航空の公式サイト(http://j.springairlines.com/jp) から航空券の予約ができます。茨城→上海は9C8988(13:20)と9C8796(19:30)の2便が毎日就航し、上海→茨城は9C8987(08:40)と9C8795(15:00)の2便(日によっては1便)が毎日就航しています。運賃は毎日変わります。Eチケットは姓名・生年月日・国籍・パスポート番号などを記入の上、申し込むのはどこの航空会社も同じですが、情報入力欄で生年月日を入力する段になり問題が発生しました。

西暦のプルダウンの下向き矢印をクリックすると2015から1944までしか下がらず、その下が表示されません。何度繰り返しても同じです。数字を削除してキー入力を試みるも徒労に終わりました。つまり1944年以下を表示しない仕組みです。これはどういうことを意味するのでしょうか?

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搭乗者の個人情報を書き込むWebサイト

春秋航空股份有限公司 コールセンターの日本国内通話専用(0570-666-1880570-666-188)でその理由を尋ねました。その答えは「70歳以上は過去3か月以内の搭乗証明、あるいは医師による健康証明が必要です。」とのこと。そのためにWEBサイトから「特別旅客申込書(ご高齢者)」の提出が求められました。

同意書には「上記フライトをより快適に乗るために、以下の通り声明いたします。私の健康状態をかんがみて、航空旅行中病気が重くなること、傷害、傷害或いは死亡が発生した場合、春秋は一切の責任及び損害を負いません。春秋航空及び当社係員又は代理人に賠償請求、申し立てを行われないことをお誓い申し上げます。」そして署名と申込期日を記入しました。

幸いなことに、4月2日のJL413便の搭乗券(半券)を持っていましたので、特別旅客搭乗申込書と半券(PDF)をメール添付にてhttp://j.springairlines.com/jp に送ると、ほどなくして「お送り頂きました資料を確認させて頂き、問題ございませんでしたのでインターネットでご予約の際、ご入力させて頂きます。」の返信があり、パスポート番号:XXXXXXXX(8桁の数字)と生年月日:19XX-XX-XXを指定されました。つまり、これらを入力して初めて航空券の予約を完了しました。

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70歳以上に求められる「特別旅客申込書(ご高齢者)」

搭乗手続き

茨城空港の駐車場は満車に近い混み具合でしたが、空きを見つけて駐車しました。今回は2泊3日の短い旅なので小型のキャリーカート一個のみの軽装です。こぢんまりした旅客ターミナルには中央の搭乗口を挟んで左側にスカイマーク航空、右側に春秋航空の2つの航空会社のチェックイン・カウンターがありました。ターミナル内部を観察するとスカイマークに自動チェックイン機がありましたが、春秋航空にはそれが見当たりません。

すべてチェックイン・カウンターで搭乗手続きを行なうため、エアバスA320の定員150~180名がチェックイン・カウンターに並ぶと長蛇の列になります。実際に行列は5重くらいに曲げられていて待ち時間が1時間以上かかりました。上海浦東空港第2ターミナルのチェックイン・カウンターも同じように待ち時間が長くて閉口しました。今後は自動チェックイン機の導入や自宅パソコンによるEチケットの発券が課題と思われました。

あとがき

座席指定は乗り降りが便利で足元が広いので正解でした。片道3時間半の空の旅はエアバスA320の3C(往復共に)に座り快適な飛行が楽しめました。ターミナル内にレストランがないのでコンビニで軽食を求めてお腹を満たしておきました。チェックインの手続きの後、保安検査場で手荷物検査とボディチェックを受けます。続いて税関検査、出国審査を経て搭乗口へ進み、免税店でお土産を買いました。機内サービス(飲食)は有料なので、待合室の自販機でミネラルウォーターを買って機内に持ち込みました。機内は清潔で笑顔で応対する乗組員に信頼がおけました。次はLCCのジェットスター航空で成田空港から新千歳空港に飛び「北海道ハムフェア」(9月5日、6日)を訪ねる計画です。

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復路搭乗券

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上海浦東空港の第2ターミナル