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No.68 USB接続メモリー転送ケーブルをI/FにIC-7000をコントロール
「超簡易USB to CI-Vインターフェースの製作」の記事(JA2HYD/1山越さん)に触発されて、アイコムの新鋭機IC-7000のリモート・コントロールに取り組んでみました。この試みが面白いのは、パソコンとIC-7000のREMOTE(リモート)ジャックをUSB接続の簡易インターフェースをつないでパソコンのディスプレイ上でトランシーバーを操作するところにあります。めんどうな設定や特別の技術を必要としない点でUSB接続インターフェース(I/F)が優れていますので、その概要を紹介して参考に供したいと思います。
インターフェースはドコモ「携帯電話用USB接続メモリー転送&充電ケーブル」(MOVA、CDMA)をインターフェースとして使うもので、ケーブルの携帯端末側をばらしてミニジャックに変更するだけの改造でアマチュア用に転用できる点がすぐれています。パソコンのUSB接続がいよいよ万能になって来ましたので、そういう観点からもお薦めしたいI/Fといえましょう。無線機制御のソフトはフリーウェアのHam Radio Deluxe(HRD)を使いますが、完成度の高い操作性に助けられていきなり使いこなすことができました。パソコンにより周波数やモード、VFO-A/VFO-B、メモリーチャンネルなどを思いのままにコントロールできることから、いろいろな用途に使えそうで大いに期待が持てます。
携帯電話用USB接続メモリー転送&充電ケーブル(未改造)
IC-7000とリモート・コントロールのHam radio Deluxe
超簡易インターフェイス
DC(MOVA)用の「携帯電話用USB接続メモリー転送&充電ケーブル」を一部改造して使います。筆者は秋葉原のパソコンショップでCDMA用(980円)を購入しました。携帯電話がMOVAからFOMAへの移行が進んでいますから、MOVA用のケーブルがいずれ市場から消える運命にありますので、見かけたら買っておきたいと思います。購入先をGoogleで検索してみると、とあるオンラインショップでCDMA用のケーブル(3,127円と)を売っていました。秋葉原のショップで買った値段より少し高いのですが、いまだに手に入ることを確認してあります。なお、「FOMA用」と単なる「充電用ケーブル」は使えないので注意してください。
改造後のUSB接続メモリー転送&充電ケーブルとディスケット・ドライバー
山越さんの記事を要約すると次のようになります。
- 1.ケーブルの携帯端末側を分解
- 2.赤・黒・白・緑の4線とシールドの網線が出てくる
- 3.白と緑の線がTxdかRxd信号なのでより合わせてミニジャックの中心に半田付け。
- 4.黒色をミニジャックのアース側に半田付け。
- 5.赤色は不要なので先端をエポキシ接着剤で固めて絶縁する
携帯端末側を分解する
以上が改造方法です。ケーブルの途中にインターフェースがあり、この中にICのMAX232が入っています。ケーブルの両端をテスターで導通を調べたりするとICを壊す恐れがありますので、ご注意ください。「携帯電話用USB接続メモリー転送&充電ケーブル」には、フロッピーディスクが付属していますのでドライバーをパソコンにインストールする必要があります。このドライバーはWin98、WinME、Win2000/XPに対応しています。
Ham Radio Deluxeのダウンロード
Ham Radio Deluxe(以下HRD)は、HB9DRVとPH1PHが開発しているフリーウェアの無線機コントロール・ プログラムです。 このプログラムの特長はWebクラスターに連動し、レポートされたコールサインをクリックするとUPされた周波数にトランシーバーのバンドが変わる点にあります。ソフトウェアのダウンロードは、Ham Radio DeluxeのWebサイトを開いてDOWNLOADSをクリック、HRD v 3.2のDownload the kit via http or ftp, size 7.5MB.のどちらかをクリックしてインストールします。
IC-7000のリアパネル リモートジャックの位置
HRDのアイコンをクリックするとコントロール画面が展開されるので、CONNECTの窓で
Company(Icom Kenwood Yaesuなど)を選択、
Radio(IC-706MKⅡGMなど)を選択
Comport(COM4 ← PCにあわせて)
Speed Auto-detect
CIV-Add 58(IC-706MKIIGMのとき)
以上を確認して、CONNECTをクリックするとHRDとIC-7000がつながりHRDのリモコン画面になります。USBケーブルのI/F(ケーブルの途中に入っている長方形のケース)の[TX RX]が点滅して通信のやり取りが確認できます。HRDの操作はボタンをいじり倒す?と結構わかりますので、果敢に操作することを勧めます。バンド 周波数 Mode VFOA/B Split Preアンプ NB などがリモコンできました。CIV-Addは機種を選択すると自動的に選択されて「58」(IC-706MKⅡGの場合)です。
HRDのRadioを選ぶ
HRDのCOMポート、Speed、CIV-Addを設定
IC-7000のアドレス、ボーレート、トランシーブの設定
- 1.[AF/SET] を短く押して、「SET MODE(セットモード)」画面を表示。
- 2.「SET MODE(セットモード)」画面を表示中に、[F4](OTH)を短く押すと「OTH ERS SET」(その他のセットモード)」画面を表示。
- 3.[DIAL]を回して、項目の内容を設定する。
- 初期値は以下のようになっているので、CI-V Addressを変更する。
CI-V(ファイブ)のボーレート設定 CI-V Baud Rate Auto
CI-Vアドレスの設定 CI-V Address 70h (58に変更する)
CI-Vトランシーブの設定 CI-V Transceive ON
IC-7000とパソコンの接続
はじめにインターフェースをUSBポートに挿入します。Windowsは自動的にケーブルを検出しますので[ドライバの場所を指定する]をチェックして[次へ]、Windowsはドライバのある場所を聞いてきますので付属のフロッピーディスク(FD)を挿入し、ドライバのある場所を指定して[次へ]をクリック、ドライバは自動的に組み込まれ導入が完了します。最近はFDドライブのないパソコンが増えてきましたので、そのようなときはFDドライブのあるパソコンを使ってUSBメモリーに取り込んでドライバをインストールするとよいでしょう。アイコムの新鋭機IC-7000は発売されて間もないために、Ham Radio Deluxeの対応するトランシーバーの一覧(3月末日)にIC-7000の記載がありません。開発者のHB9DRVに尋ねることも考えましたが、直ぐには間に合いません。そこでアマチュア的にIC-706MKⅡG を選択してみました。IC-7000はIC-706MKⅡGの後継機という位置づけですからなんとなくいけそうな予感がありました。リアパネルのリモートにミニジャックを挿入して、ケーブルの片側をパソコンのUSBに接続しました。[Connect]をクリックするとコントロール画面が展開してみごと接続に成功!勘は当たりました。
Ham radio Deluxeの操作画面
HRDの操作についてはWebサイトで英文の説明書がありますのでご一読ください。日本語訳は吉池さん(JA0SC)の記事「CATシステム パソコンで無線機を制御する」(http://www.qtc-japan.net/2001/ )にPDFファイルがあります。HRDのメイン画面でボタンを適当に押しても操作ができますのアマチュア的な使い方でも問題がありません。バンド 周波数 Mode VFOA/B Split Preアンプ NB などがリモコンできました。いろいろ操作しているうちに帯状の周波数の上にマウスポインターを置いてマウスのUP/DOWNツマミを回すと周波数が変わるのを見つけて喜んでいます。
あとがき
IC-7000のリモート・コントロールになれたところで、 SSTVのフリーウェアソフトMMSSTVとHRDを一つのディスプレイに展開してみました。左側にHRD、右側をMMSSTVに展開してみました。キーボードとマウスの操作のみでSSTVの運用ができるのはおもしろいと感じました。USB接続のインターフェースはHF帯のノイズが全く気にならなかったのは収穫でした。なお、「携帯電話用USB接続メモリー転送&充電ケーブル」の改造は、各自の責任で行っていただきたいと思います。
HRDとMMSSTVを同時に展開
なお、IC-7000の取扱説明書の134頁に「リモート機能」の項目があり、別売品のCI-ⅤレベルコンバーターCT-17(¥12,600)についての解説があります。IC-7000とパソコンをRS-232Cケーブルで接続することにより、周波数、モード、VFO A/B、メモリーチャンネルなどをコントロールできると書いてあります。IC-706MKⅡG(GM)(GS)についても同じで、取扱説明書の71頁に「REMOTEジャックについて」の項目がありますので、それぞれ参考にされてください。
- 初期値は以下のようになっているので、CI-V Addressを変更する。