恵山、地球岬を回り北湯沢へ(5日目)

空は朝から雨模様、函館YGH(ユースゲストハウス)を出発して恵山岬を目指す。戸井町で衝突事故の見物渋滞に巻き込まれる。軽自動車とワンボックスカーが出会い頭に激突、悲惨な現場を通過、改めて安全運転を誓う。この日は亀田半島を周回して内浦湾を北上、洞爺湖に近い北湯沢YH(ユースホステル)まで走る。恵山が近づくにつれて濃い霧が立ち込めて視界が効かなくなってきた。

霧に埋もれた国道278号をドライブ、人気のない集落をいくつも通り抜ける。HFトランシーバーのIC-706MKⅡGMはこの日も沈黙するばかり。コンディションの回復を待つことにしよう。鹿部温泉を過ぎたあたりでフロントを大破した車に遭遇、居眠り運転か?

長万部・室蘭を経由して「北海道の自然百選」で第一位に選ばれた景勝地の地球岬へ。地球の丸さを実感できるパノラマが広がり、運がよければ、回遊するイルカやクジラが見えるというが、深い霧に覆われて何も見えない。灯台を背景に記念撮影して離れる。この後、オロフレ峠を経由して北湯沢YHへ。天然100%の温泉と露天風呂が自慢のユースホステル。ツインベッド3,800円、朝食600円、夕食1,000円、山菜料理を満喫した。函館~北湯沢の走行距離358キロ。

襟裳岬から黄金道路を経由して十勝川温泉へ(6日目)

北湯沢から苫小牧を経由して国道235号線をたどる。この日も14MHz~50MHzの各バンドはアンテナがつながっていないような静けさ。コンディションが悪い! 庭先で昆布を干す集落をいくつも通り抜けて襟裳岬に到着する。想像以上に美しい景観に感動。日高山脈の南端が太平洋に没している様子が手に取るようにわかる。岬の岩礁にゼニガタアザラシの生息地があり、テーマ館「風の館」から双眼鏡で間近に見ることができるらしい。残念ながら霧が邪魔してアザラシを見ることができない。

襟裳岬

駐車場の端に軽ワンボックスカーを停めて移動運用中のアマチュアに出会った。帯広市のJJ8FRD佐々木誠さんがその人で「今日で5日目の移動運用さ」「日曜日まで居て帯広に戻る」と1週間の野営の話をしてくれた。周りにHF帯のダイポールやVHF・UHF帯の八木アンテナを立てて本州方面と7MHzと144MHz帯のリクエストに精力的に応えていた。 「21メガと50メガのコンディションがまったくだめ」に、やはりそうだったのかと納得する。別れ際に「家内が愛国町で郵便局をやっているから寄っていくか?」と誘われた。

襟裳岬で移動運用のJJ8FRD 佐々木 誠さん

えりも町と広尾町を結ぶ31.7kmの「黄金道路」は昭和9年に開通。難工事で経費がかさんだことが名前の由来。途中、フンベの滝(アイヌ語でクジラの意)で停車、湧き水が水源の珍しい滝を眺めカメラに収める。国道236号線を北上、1969年に虫類村の工事現場で発掘された約12万年前のナウマン像の骨格標本を復元展示する記念館に立ち寄る。

黄金道路

幸福駅を通り過ぎて帯広市内へ。カーナビの誘導で“かんぽの宿 十勝川”に無事到着。お風呂は日本で唯一の植物性の湯「モール温泉」。地中深くから植物の堆積層を通り湧き出る温泉は、肌を刺激しないやわらかくすべすべになると女性に人気がある。1泊2食8,025円。北湯沢~十勝川の走行距離358キロ

足寄峠から知床国立公園、屈斜路湖YH(7日目)

かんぽの宿を8:18出発。足寄国道から阿寒国立公園を通り世界自然遺産に登録の知床国立公園へ。昨年は熊の出没で展望台のみの散策に終わったいきさつがあり、今回は知床五湖を歩きたいので斜里町役場商工観光課(℡01522-3-3131)に尋ねると「大丈夫ですよ」期待を膨らませてして行ってみると、「熊の出没により一湖と二湖の遊歩道のみ散策できる」とあり、またもや三湖~五湖の散策はお預けになる。

知床・羅臼岳

14:36 50.260MHzにダイヤルを回すとJA9RBZのCQをキャッチ、待望のEスポの発生だ。コールして交信成立。14:46 JE3ASBと50.245MHzで交信。14:51 14.170MHz JA1BZJ、JJ1HKSとそれぞれ交信できた。北海道に上陸して7日目、ようやくコンディションが回復したようだ。この分なら28MHz帯も期待できるに違いない。

今夜は屈斜路原野YGHに宿泊。屈斜路湖は周囲57kmの日本最大級のカルデラ湖。透明度の高い真っ青な湖水で冬にはオオハクチョウが飛来することで有名。3人部屋を2人使用で5,730円、朝食630円、夕食1,050円。食事は料亭やホテルで和食を基礎から学んだオーナーが、オーソドックスな献立からオリジナリティあふれる創作和食まで提供して評価が高い。

知床を後に樹海をドライブ

以前「無線LANが無料で利用できるYGH」と紹介した経緯があり、今回もインターネットの接続を期待してフロントで[ネットワークキー]を教えてと申し出ると、コンピューターに詳しいと称する人が出てきて「ネットワークキーを教えられないが、ノートパソコンを預ければ無線LANがつながるようにしてあげる」という。トラブルが起きないことを念じてパソコンを差し出し無線LANの設定を待つこと1時間、「新しいパソコンは良くわからない」と言って厨房に消えてしまった。

[ネットワークキー]を教えてくれればこちらで設定するのに・・・。パソコンを立ち上げるとAVGフリーエディション(アンチウイルスソフト)が消えている。AVGを知らないか、怪しいソフトと決め付けて削除したらしい。パソコンを不用意に預けるべきでなかったと反省! 十勝川温泉~知床~屈斜路湖の走行距離460キロ

屈斜路湖の足湯めぐり、石狩樹海ロード、そして夕張へ(8日目)

屈斜路湖湖畔に無料の野天風呂が点在する。はじめにYGHから近い「コタン温泉」を訪ねた。国道243号線のアイヌ民族資料館を目印に脇を通って駐車場(無料)へ。湯船は巨岩を真ん中に配し左が女性、右が男性になっているが基本的には混浴。男女別に簡易脱衣所が設けられているので水着に着替えることもできる。湯船の周りに腰をかけて湖を見ながらの足湯も楽しい。次に和琴半島の付け根にある野天風呂「和琴温泉」を訪ねた。池のような湯に藻が浮かんでいて入浴に勇気が必要。温度はやや高め。

コタン温泉 野天風呂(無料)

阿寒縦断道路を走行中、09:50 28.640MHz SSBでCQを出すと旧知のJA1INY/1笠原さんからコールがあり、ロサンゼルスからから里帰り中のWA6FPK竹前さんを交えて栃木県那須の友人の別荘で親睦会を開いているという。11:00 足寄峠あたりで近くの温泉に出かけていた竹前さんのモービル局とRS59で交信する「一ヶ月前から日本に来ている」とお元気そう。サイクル22のピーク時には10Wのモービル局同士が日本と米国の間でらくらく交信した思い出を語りながら旧交を温めた。

和琴温泉 人の目が気になって入りにくい

パンケトーとペンケトーの二つの湖が見える双湖台に到着。ここで揚げジャガイモ(200円)を食べる。北海道はジャガイモがうまい。岩のり(525円)が目に付いてお土産に買う。13:00 14MHzでJA1BZJとRS57で交信。このとき18MHz、28MHzの交信を試すがコンディションはNG。このあと帯広の真鍋庭園(入園料500円)に立ち寄り、日勝峠を経由して石狩樹海ロードを走行。北海道ナンバーの車に追い立てながら夕張を目指す

夕張フォレストYHに宿泊。17ヘクタールの畑の一角に立つ木造ログハウス('99年築)・宿泊15名・P20台のYH。周りにはシラカバの林があり、かおりヒバが並木になって囲んでいる。会員3,360円、朝食630円、夕食1,050円。料理はボリューム満点で美味しく味わえた。デザートに大玉メロンの4分の1が惜しげもなく出て、栽培農家ならではのサービスに皆大喜び。寝室も清潔で申し分なく、道内のYH上位にランクされるだろう。屈斜路湖~夕張の走行距離359キロ。

白樺林やヒバに囲まれた夕張フォレストYH

夕張フォレストYHのダイニング

ファーム富田、麓郷、新栄の丘、苫小牧へ(9日目)

朝から雨模様。夕張は「石炭歴史村」や「幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば」など見たいところがあるが、激しく降る雨に見学を取りやめて国道452号線を北上して富良野を目指した。行き交う車がほとんどない中、フロントを叩きつける雨で視界が効かない。135号線に分岐するあたりから雨が上がってきた。中富良野に着いてみると雨が降った形跡がなく朝から晴れ模様。最終日の強運に感謝して観光巡りを始める。

富田ファームを訪ねてラベンダーの花畑を散策、そしてジェットコースターの道、中富良野公園、新栄の丘、四季彩の丘、拓真館などを駆け足で回る。最後は「北の国から」のロケ地として有名な“麓郷”へ出かけて農協の直売所に立ち寄り特産のメロンをおみやげに買い、これで北海道旅行の締めくくりとしました。

ファーム富田の花畑

苫小牧を目指して国道38号線から237号線を走行中の14:40 28.640MHz SSBにて横浜を走行のJA1HIN亀井さんと交信。15:03 JJ1HKS、JA1BZJに連日のお相手にお礼を申し上げる。さらに15:55 50.240MHzでJA5GJN/9と交信。日高樹海ロードを走り抜いて苫小牧が目前になった17:23 28.640MHzでJA1CVFとRS59で交信して「これからフェリーに乗船する」と伝えてファイナルを送りました。23:45 商船三井の”さんふらわあ みと”の1等A個室に収まり帰途に着きました。夕張~富良野~苫小牧+大洗~所沢の走行距離500キロ

まとめ

まっすぐ地平線にまで伸びた道路をドライブできる爽快感は本州ではなかなか味わうことができません。北海道の観光とドライブ、Eスポの発生を当てにしたモービル運用が旅の後半を十分に楽しませてくれました。豊かな自然と野天風呂、整備された道路網、家族的なおもてなしのユースホステルが気に入り、今回もまた来ようという気持ちにさせてくれました。旅行を振り返ってみて交通事故に遭うこともなく3千キロを無事に走行できたことを喜び、安全なドライブが最大の収穫と振り返っているところです。&