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No.57 関東平野を一望できる筑波山で移動運用を楽しむ
先日も関東を一望にできて無線運用に最適な山の一つ“筑波山”(標高876m)にアマチュアが集まり移動運用を行いました。といっても戸外にキャンプして発動発電機を回す本格的なスタイルでもなく、携帯型のトランシーバーとアンテナをリュックに詰めて高い山に登るタイプでもない、かなりイージーな移動運用を行いました。筑波山ケーブルカーの発着場の隣に建つ「筑波山京成ホテル」(標高630m)のエアコンの効いた部屋にシャックをつくり、オペレートの後に温泉につかるという余裕の移動運用となりました。
「8873」か「7388」か?
平成10年5月にクルマの「希望ナンバー」が取れるようになってから、ミーティングなどでナンバーを見るのが楽しみになりました。三々五々ホテルの駐車場に駐車するベンツAクラスに「73-88」を見つけました。ほかに「88-73」が2台、「59-73」「・5-95」が各1台、こだわりのない普通のナンバーが1台でした。
「7388」ナンバーのベンツAクラス
「8873」ナンバーのレガシー
「88」=YLに敬意を表した「さよなら」、「73」=敬意を表した「さよなら」の組み合わせが人気で、ついで「59」、「59-59」、「5-95」、「5-99」などが続きます。「88-73」か「73-88」のどちらにするか悩むところでしょうが、数字の小さい順にならべるか、それともYLに敬意を表して「88-73」になりますか?
因みに「希望ナンバー」がなんでも取れるわけでなくて、次の15通りの番号は抽選になります。「・・・1」「・・・7」「・・・8」「・・88」「・3-33」「・5-55」「・7-77」「・8-88」「11-11」「20-00」「30-00」「33-33」「55-55」「77-77」「88-88」など、ひと目で縁起のいい番号とわかり人気が高いのもうなずける話です。しかしながらアマチュアが好きな「88-73」「73-88」「59-73」「・5-95」「61-46」「・8-07」「・7-06」などの番号は、抽選の対象外ということでいまのところ希望するナンバーがつけ放題ですから利用しない手はないと思うのです。
NVCGのSSTVコンテストに参加
「NVCG SSTVコンテスト」は西日本画像通信グループ(代表:JA6AP 清水さん)が主催する催事の一つで、毎年4月の第2週、3週の土曜と日曜の計4日間、「コンテスト」を開催してSSTVの普及と発展に貢献しておられます。筑波山移動運用グループは、「SSTVコンテスト」の日程にあわせて4月第2週の土曜日曜と決めてホテルの手配や移動運用の準備に取り掛かりました。次に移動運用に用意した無線機材を紹介しましょう。
ホテルの部屋の中でNVCGコンテスト参加のJH1VVW
手作り50MHz帯ヘンテナとIC-706MKⅡ+ノートパソコン
手づくりの50MHz帯ヘンテナを建てたJJ1HKS川島さんは、IC-706MKIIGM+ノートパソコンを搭載したクラウンから運用して、50.3MHz付近でSSTVによる鮮やかな交信を見せてくれました。SSTVのソフトはMMSSTV、手づくりのインターフェースを組み合わせました。クルマに「59-73」をつけたモービル・ステーションです。
WFFアンテナとIC-706MKⅡ+ノートパソコン
W3FFアンテナ(Buddipole)は、W3FFのBudさんが開発したダイポールアンテナです。今回は21MHz帯にあわせてカペラワゴンの脇に高々と上げたのはJA1XVY平野さんでした。折からマカオからXX9TSCのコールサインでNVCGコンテストに参加の吉池さん(JA0SC)のCQ画像を受信してコール、鮮明な画像による交信に成功しました。
W3FFアンテナの耐入力電力は250Wもあり、短縮コイルが燃える心配がありません。周波数範囲は7MHz~54MHz、プラス144MHz~148MHzをカバー範囲です。SSTVのインターフェースはJASTA(日本アマチュアSSTV協会)推奨タイプを使いました。
自作の50MHz帯ヘンテナ(JJ1HKS)
50MHz帯HB9CVとIC-706MKⅡ+ノートパソコン
コメットのHB9CV型(CA-52HB4)をホテルの許可を得て庭に立てました。移動用小型ローテーターの用意もありましたが、運用時間の制約もあり、ビームを東京方面に向けて固定しましたのでローテーターを使わないまま終わりました。コンテストで交信したのはJA1CJB、JA1DWQ、JA1HHL、JA1HCF、JA1EYMのベテラン各局でした。
トランシーバーは日ごろクルマに搭載しているIC-706MKIIGMを外して部屋に持ち込みました。これ1台で1.9MHz~430MHz帯をカバーし好きなバンドに出られ、オールモードに対応した本格的な性能を有するトランシーバーとして本当に使い勝手がいいと思っています。MMSSTV(SSTVのフリーウエア)をノートパソコンにインストールして自作のインターフェースを使いました。いつもの移動運用に確実な動作で実績のあるインターフェースが、ついにトラブルを起こしてしまいました。
IC-706MKIIGMのACCコネクタとパソコンのサウンドカードを接続する単純な回路なのに故障が回復しないままいたずらに時間を浪費してしまいました。そんな中、友人の機転でケーブルをダイレクトに接続して急場をしのいでコンテストに参加したのはさすがでした。後日、落ち着いて故障を追及するとすぐに故障箇所が見つかりました。なんとACCコネクタ[13ピンコネクタ2番ピンGND]の外れかかりでした。コネクタの抜き差しでもろくなっていたのが原因です。
50MHzHB9CV(左)とW3FFアンテナ(右)
10MHz帯ダイポールとK2トランシーバー
Elecraft のK2トランシーバーをJA1KJW中山さんが部屋にセットしました。これは160-10m、SSB/CWのキットで、RS-232Cコントロールポートを備えたトランシーバー。10MHz帯のダイポールアンテナはワイヤーで作ったてづくり。SWRアナライザ(MFJ259B)を携帯しアンテナ調整に万全を期していました。今回は10MHz帯と7MHz帯のCWを運用して300 QSOを軽くこなしました。
EchoLinkで筑波山と対馬市を結んで
JI1FOL矢田さんは筑波山から1200MHz帯ノード局(アクセスポイント)を経由して、長崎県対馬市のJA6VAG小田さんと交信を行いました。小田さんはハンディ機を携帯して市内を走りまわり、仕事の空き時間にノード局からインターネットを経由して遠く離れた対馬から筑波山の移動運用に参加することができました。
あとがき
都合で移動運用に参加できなかったJF1GUQ日置さんが、後日、インターフェースのトラブルをきっかけに「新しいインターフェース」を試作して友人たちに提案したことから、メンバーの製作意欲をがぜん掻き立てることになりました。フォトリレーを使った回り込みに強い回路と、データの入出力にACCソケットを使い、送受信のPTTにRS-232Cポートを使うというコンセプト(概念)から作り上げたシンプルなインターフェースです。
試作機を中心に「元ラジオ少年」の8人がWebサイトで自慢の作品を競い合っていますので、興味深くご覧いただけると思います。
試作したインターフェース・ユニット(JF1GUQ)