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No.55 公衆インターネット端末、おもしろ体験 in ギリシア
ギリシアの首都、アテネを観光してホテルに到着したのが午後9時過ぎでした。部屋に入るなりいつもの癖でインターネットの接続口を探してみたが、それらしい端子が見つからなくて残念! ツアーは星の数の少ないホテルから始まり、宿泊を重ねるにグレードが少しずつ上がっていくらしく、初日は寝るだけの部屋からのスタートになりました。
高さ150mの丘に広がるアテネのシンボル、アクロポリス。
乗客が一緒になりダンスの輪が広がった
モジュラーコードの接続口が用意されていない場合を予想してモデルダブラープロを持ってきました。ノートパソコンに「@nifty海外接続アシスタント」をインストールして、ダイヤルアップによるアクセスポイントへの接続に備えました。このソフトをデスクトップに展開して国・州・市町村の順に進み、最後に場所(アクセスポイント)を選ぶと後は接続ボタンを押すだけになります。
使い方は電話機のハンドセットがモジュラージャックで本体につながっていることを確認したらハンドセットのモジュラージャックを外してモデムダブラープロのTELEPHONE端子につなぎ、MODEMの端子からパソコンに、HAND SETの端子からハンドセットのモジュラージャックに接続するだけの簡単な配線です。
実はパーツ類を広げ始めて嫌な予感が頭をよぎりました。モジュラーケーブルをどう探しても見当たらないのです。これではインターネットの接続をあきらめるしかありません。ありふれたモジュラーケーブルなら街のショップで手に入るかもしれないと、ホテルの周辺を歩いて見ることにしました。夜の遅い時間のためか、ほとんどの店が閉まっていて都合のいい希望はかないませんでした。
憧れのエーゲ海1日クルーズ
ギリシアに世界遺産が16カ所も登録されているために、もっぱら神殿・遺跡・修道院をめぐるツアーの印象が強いのですが、中でも天空に突き出た岩山が異様な「メテオラ」に惹かれるものがありました。ギリシアには大小3000以上もの島があり、そのうちの76%がなんとエーゲ海にあるそうです。昔、ギリシアの海運王オナシス氏がジャクリーヌさんと再婚して話題を振りまいたことを思い出しながら、多くの島を往き来するところから海運業が栄えたに違いないと思うに至りました。
「エーゲ海1日クルーズ」の大型水中翼船
早朝、パレオ・ファリオ港へ行き、大型の水中翼船に乗り8時30分出港、ポロス島、イドラ島、エギナ島の順に1日クルージングに出かけました。パレオ・ファリオ港を出港して船上の人となりました。明るい太陽が降り注ぎ青い海がどこまでも続く中、客を飽きさせない船内エンターテイメントが始まりました。リズミカルな演奏が間断なく続き、乗り合わせた人々による踊りの輪ができてお祭り騒ぎになりました。約2時間で最初の寄港地ポロス島に上陸、みやげもの店やレストランが立ち並ぶ通りを散策しました。
イドラ島は18~19世紀にかけて海上貿易を独占し、富を得た海運の島。独特な石造りの白い家々が美しく、色鮮やかな花が白い壁に映えて写真に収めたくなる。美しい風景に誘われるように住宅街をさまよっていると荷を運ぶ馬と行き交うことがしばしば。聞いてみると島内は自動車やバイクの乗り入れが禁止らしく、環境が美しく保たれていました。
イドラ島でモジュールコード買ったお店
とおりを歩いていると窓越しに各種の電線が見えるお店を発見して中へ。店のおばちゃんに挨拶して当たりを見渡すと、なんなく各種モジュールコードを見つけて短めのコードを2ユーロ(280円)で購入できました。船に戻るとすぐにランチタイム(ギリシャ料理)がはじまり、ギリシア料理を味わいながら音楽演奏と伝統的なダンス楽しみました。
エギナ島は近代ギリシアの首都が置かれたこともあり、重要な建造物が残っていました。アフェア神殿(紀元前480年建造)とアギオス・ネクタリオス修道院を巡りました。紀元前480年の日本は縄文時代ですからね、文明の違いに愕然としたのも事実です。修道院を出たところで名物ピスタチオ・アイスクリーム(3ユーロ)に挑戦、香ばしい味わいが美味でした。つられて特産品のピスタチオをお土産にまとめ買い。
メテオラ聳える巨岩の群れ
アテネから北へ370km、バスに揺られて5時間30分、前方にそそり立つ巨大な岩の群れがパノラマ写真のように圧倒的な迫力で迫ってきました。バスが曲がりくねった道を進むにつれてそそり立つ巨大な岩の頂上(400m余)に修道院が張り付いているのがクローズアップの写真のように見えてきました。
メテオラの巨岩群が聳える異様な光景
メテオラに静寂を求めて苦行者が住み着いたのは10世紀にさかのぼり、洞窟や岩のくぼみの中に住み、祈りと教本を読むための小さな礼拝堂を作ったのが始まりといわれています。現在も5つの修道院が開院して観光客を受け入れています。(ギリシア政府観光局のWebサイトでご覧ください)
公衆インターネット端末に出あう
メテオラの巨岩群のすぐ足元に開けた小さな町「カランバカ」が今夜の宿。オルフェス・ホテルはシーズンオフとあってロビーが閑散としていました。辺りを見回していると壁に張り付いたインターネットの端末を見つけました。14インチくらいのディスプレイとキーボードが突起して、公衆電話のインターネット版といった感じ。キーボードをあちこち操作すると Scratch and enter the code number of the card in the screen. という英文がディスプレイに流れました。
カランバカのホテルで見つけた公衆インターネット端末
「スクラッチってなに?」ファーストフードでカードをもらってコインで引っかくと「アタリ・ハズレが出てくる、あれ」と想像しているだけでは先に進めないので、フロント嬢に尋ねてみることにしました。こちらの質問にテレホンカードのようなものを取り出して「これがタイムカードね、2ユーロからあるわ、ここを引っかくと15桁の数字が出るからそれを入力してEnterを押すのよ」早口の英語でぺらぺらとまくし立てました。
タイムカードを2ユーロ(280円)で購入して、裏面の ▲Scratch hereの部分をコインで引っかくと80220 22878 98469の数字が現れました。「ふむふむ これを入力すればいいのか」キーボードを操りEnterを押すと、画面の右側に英語で「閲覧」「チャット」「メール」などの項目が現れました。とりあえずQTC-JapanのURLを打ち込むと見慣れた表紙が出てきましたが、写真とタイトル以外の日本文字はすべて化け字になりました。
Timecaradの表。2ユーロの記載がある
Timecardの裏面。左下のマスクされた部分をスクラッチ!
I.E.(インターネット・エクスプローラ)なら[表示]→[エンコード]で日本語を選択できるはずとブラウザーのツールバーを探してみましたが、マイクロソフトのI.E.とは違う独特(あるいは専用)のブラウザーのようで勝手が違います。言語はギリシア語のほかに英語・ドイツ語・フランス語・イタリア語に対応していることがわかりましたが、日本人による使用をまったく想定していません。それはともかく280円で面白い体験ができました。
あとがき
ホテルの部屋のグレードが低いためにインターネットの設備がなくて苦労した話を書いてみました。おまけにモジュールコードを忘れて接続ができないまま3島巡りに出かけ、イドラ島で偶然にも手に入れた喜びをご紹介しましたが、この次からは携帯品リストを作りチェックを厳しくしなくてはと大いに反省しました。
次回はパトラス港からフェリーにて憧れの「アドリア海1泊クルーズ」に出かけ、イタリアのバーリーへ向かいます。そして「@nifty海外接続アシスタント」の失敗例とイタリア・テレコムの「Wi-Fi Area」を偶然に見つけて、快適に使いこなせた話などを交えながら観光で訪れた岩穴都市「マテーラ」と古代都市「ポンペイ」などを紹介したいと思います。