今年も夏の北海道に魅せられて茨城県の大洗港から東日本フェリー(商船三井と共同配船)の"さんふらわあ みと"11,782トンの夜便(23:59発)にスカイライン250GTと共に乗り込み、約20時間後の翌日19時45分、苫小牧港に上陸しました。

北海道の7月中旬は、梅雨とは無関係の気温15℃~20℃のからりとした気候がさわやかで原生花園の花が咲き乱れる季節に本州から観光客がどっとなだれ込むのも、雄大な北海道の山野に魅せられてのこと。かく言う筆者も昨年に続いて2度目の北海道ドライブにやってきました。今回は苫小牧から道央自動車道を走り抜けて石狩市へ。

「石狩温泉番屋の湯」に21時30分に到着、閉館まであと30分の慌しい中、入場料600円を差し出して駆け込み入浴、2千キロ余の長旅に向けてここで英気を養いました。この温泉は海底付近に閉じ込められた1000万年ほど前の海水を汲み上げて温泉にしたそうで、成分は「ナトリウム塩化物強塩水」、湯をなめると塩辛く身体によさそうな印象でした。

閉館の"蛍の光"に送られて番屋の湯を出たのが22時過ぎ、そのまま車の中で6時間ほど仮眠をとりましたがセダンの室内は狭くて寝るには不向きと分かりました。翌朝、6時ごろにはオロロンラインを北上して小平町の「旧花田家番屋」(重要文化財・鰊番屋)に立ち寄り、豪壮な建造物に往時の隆盛をしのびました。その先には風力発電施設が何十基と立ち並んだ風景は圧巻でした。国内最大の風力発電の基地ということで8J8WIN(苫前町)のQSLカードにもなっています。

日本海を望む国道232号線沿いに風力発電機の群れが見える

いまどきのユースホステル

今夜の宿は「羽幌遊歩YH」(羽幌町栄町260)、ここは町立の公営YH(ユースホステル)で施設が真新しいツインベッドの部屋に通されて、清潔なシーツと室内に洗面台を設けた気配りに驚いてしまいました。昔のYHをイメージすると想像できないかもしれませんね。一般的なYHのイメージは4人ないし8人の男女別部屋、2段ベッド、一緒の食事、酒類の持ち込み禁止、居合わせた人すべてが友情を深め合う、マネージャー(ペアレント)という親代わりの管理者がいて親切にめんどうを見てくれる、宿泊料金は超低廉、それなりの施設というのが大方のイメージではないかと思われます。

羽幌遊歩YHの3階から眺める夕焼けは絶景

最近のYHは、家族あるいは夫婦で個室が利用できる、YHに自動販売機が設置されていてビールなど酒類が飲めるようになったこと(一部に飲酒禁止のYHもある)、朝夕食に食べ放題のバイキングが特徴の「ろくごう・ふらりんYH」(富良野市東麓郷の1)のようなYHが出現しましたし、板前さんがつくる本格和食の「屈斜路湖原野YGH」(弟子屈町字屈斜路湖原野443-1)など、食事が美味しい上に新しい施設で人気を集めるYHが増えてきました。宿泊料金は1泊2食つきで最高4,800円(諸税別)、ただし個室利用の場合は一人1,000円程度の追加が必要、それでも一般のホテルや旅館の1泊2日の料金と比較しても半額から3分の一という安さから連泊しても支払いが全く気になりません。

ただ、老巧化した施設のままに運営しているYHに宿泊したことがありますが、これは2度と泊まりたくないと思うほどひどいものでした。廊下や階段が歩くたびにきしみ、大きな浴槽の中に小さな浴槽を置いた奇妙な光景を目の当たりにして笑ってしまいました。節水のために浴槽を小さくする、浴槽の使用を禁止してシャワーだけというみみっちいYHもありました。このような時は「全国ユースホステル一覧」の当該YHに「×」印をつけて自衛することにしています。

屈斜路湖原野YGHの全景

屈斜路湖原野YGHの内部、2階客室からみた食堂スペース

YHの入会と利用方法について

JYH、日本ユースホステル協会(http://www.jyh.or.jp/)にアクセスしてオンラインで入会の手続きが行えます。会員証の種別は少年パス、青年パス、成人パス、家族パス、団体パス、サポータ会員、終身パスなどがあります。詳しくはJYHのWebサイトをご覧ください。私は夫婦または親子で利用できる家族パス(登録会費3,500円、継続登録会費3,000円)を取得しました。

YHの予約は90日前から予約を往復はがき等で受け付けていますが、手取り早いのは宿泊前日までに電話で問い合わせるか、遅くとも当日の午前中に問い合わせて空いていたら予約するという方法をお勧めします。今回はインターネットで4つのYHがインターネットで予約ができ、2つのYHに電話で予約しました。人気の高い「美馬牛リバティYH」(美栄町字美馬牛市街地)と「美瑛ポテトの丘YH」(美瑛町大村村山)は、満室で予約が取れませんでした。このシーズンは2ヶ月先まで予約で一杯だそうです。甘かった!

無線LANの利用できるYHに仰天!

街中のYHの場合に携帯電話が使えるので、FOMA+ノートパソコンでEメールの送受信やWebサイトの閲覧ができますが、「網走原生花園YH」のようにサロマ湖畔という原野の一軒では携帯電話が通じにくく、アンテナのインジケータが立つところを探して部屋の中を歩き回りました。それでも携帯電話が通じるところはよいとして、次に紹介する「屈斜路湖原野YGH」は、屈斜路湖に近いロケーションから携帯電話が圏外ということで、インターネットの接続ができる環境にありません。

「屈斜路湖原野YGH」の食堂の片隅に小型のノートパソコンが備えてありインターネットにも接続できて自由に使うことができました。残念ながらCPUが非力でWebサイトの閲覧も遅くていらいらしながら操作を中断して部屋にもどりました。ベッドに横になって何気なく「宿泊の規定」を手にとってページをめくると、『無線LANが利用できるので希望者は従業員に声をかけて欲しい』という書き込みがあり目が釘付けになりました。

持参したノートパソコンの電源スイッチをオンにしてみると、無線LANの電波を受信しているではありませんか。ただし[ネットワークキー]が必要のようで、このままでは無線LANを利用することができません。そこでフロントに出向いて無線LANを利用したい旨を告げると、快くネットワークキーをメモ用紙に書いて渡してくれました。そこには「abcde_____123」(本物ではありません)のような英数字の配列が書いてありました。はやる気持ちを押さえながら部屋に戻ってパソコンにネットワークキーを入れてみました。

インターネット・エクスプローラをダブルクリック、お気に入りのホームページに接続できません。おかしいな、そうそう「次のIPアドレスを使う」になっているために接続できないと気づいて、TCP/IPのプロパティをクリック、「IPアドレスを自動的に取得する」に変更して再びI.E.をダブルクリック、今度はインターネットに接続して無線LANが自由に使えるようになりました。

早速、友人達にEメールを書いて生存証明を行いました。長野市の吉池さん(JA0SC)から「SSTV DX NEWS」の記事が届いたので、DREAMWEAVER(Webサイトの編集ソフト)で編集してサーバーに上げました。無線LANは速度が速くて課金の心配がないので快適なのは言うまでもありません。念のためにフロントで無線LANの利用料金を尋ねると、「サービスの一環で無料」とのこと、YGHの新しいサービスに感激した一幕でした。

まとめ

昨年6ヶ所、今年6ヶ所の計12のYHを利用しましたが、この経験から部屋には電話機がなくてインターネット接続の環境にないと知っていました。こうした中で無線LANの使える「屈斜路湖原野YGH」に初めての出合い、施設が新しい上に食事が美味いときてはご紹介しないでいられません。YHではなくてYGH(ユースゲストハウス)の見慣れない略称は30歳以上の会員の要望に応えて開発した"ゆとりとくつろぎのユースホステル"というコンセプト(概念)で、1泊2食付き 5,000~6,500円(+消費税)は利用しやすい料金といえましょう。

道央、道東の2,500キロをドライブして28.640MHz SSBを中心にJA1JJV小栗さんと毎日のように交信して北海道の観光情報や留守宅の気象情報をいただきました。そしてJA1BU小野さん、JH1RBL佐藤さんにもお相手をいただきました。トランシーバーはアイコムの名機"IC-706MKⅡGM"を車に搭載して、今回もまた故障知らずの安定した動作を見せてくれ「2nd北海道ドライブ」がいっそう楽しいものとなりました。

雄大なジャガイモ畑を背景にスカイライン250GT