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No.43 中欧4カ国周遊、ブダペスト&ウィーンのインターネット事情
前回はチェコ共和国の首都、プラハのホテルに滞在してインターネットの接続を体験する傍らプラハの旧市街の風物にも触れました。実はプラハでは観光に一日中走り回っていましたからパソコンを操作する時間が限られていました。それでも時間を作ってEchoLinkを覗いてみますと、数局のOK局に混じって「OK1OGA-L Wien 145.300MHz」を見つけました。2mFMハンディで呼びかけるとインターネットに接続して超遠距離交信ができると思いましたが、免許がありませんのであきらめるしかありません。
国際列車でプラチスラヴァへ
プラハ本駅から国際列車に乗り込みスロヴァキアの首都、プラチスラヴァへ向かいました。約4時間の旅を楽しみました。新幹線並の幅広の軌道とゆったりと座れる座席は思いのほか快適でした。社会主義時代のいわゆる東欧諸国を覗き見るように車窓の景色を飽きることなく眺めていました。雪化粧をしたモノトーン景色から経済活動に今ひとつ活況を感じられませんでした。建物のいたるところで壁と塀に落書きされてひどい状況にありました。社会主義の長い抑圧から開放された反動からくるものでしょうか。
プラハ本駅のプラットホーム
ブラスチラヴァの旧市街地広場で子供たち
列車はチェコとスロヴァキアの国境で停車し、車内で待っていると係官が乗り込んできて出国審査が行われました。列車がゆっくり進行してスロヴァキアの国境に差し掛かるとまた別の係官が乗り込んできて入国審査が行われました。1993年にチェコと連邦制を解消するまでは同じ国だったのに国境通過の手続きはそれなりに厳しいものだと思いました。係官はスロヴァキア人のパスポートを取り上げてなにやら話していましたが、日本人にはパスポートを一瞥するだけで何事もありませんでした。
スロヴァキアは北海道の5分の3の面積に人口約540万人という小国ながら立派な独立国家です。首都のブラチスラヴァ中央駅に到着後、バスに乗り換えて旧市街地の観光に出かけました。開設されたばかりの日本大使館に掲げられた日の丸を眺めながら旧市庁舎が立つ旧市街広場を経てオペラハウス、ブラチスラヴァ城などを観光して、宿泊することなく再びバスに乗って一路ハンガリーの首都ブダペストを目指しました。
ハンガリーの首都、ブタペスト
ブラチスラヴァからバスに乗って190km/約3時間30分時間、ハンガリーの首都ブダペストへ入りました。ここではグランドホテル・ハンガリア(4星)に泊まります。部屋に入いるといつもの癖で電話機とモジュラージャックを探しますが、残念ながらインターネットの専用端子は見つけられませんでした。電話機につながっているモジュラープラグを外してパソコンのモデムをつなぐということのようで、これでもかまわないわけです。
12インチのノートパソコンをカートから出してデスクの上に広げてダイヤルアップ用のケーブルをモジュラージャックに接続しました。例によって@niftyの接続アシスタント画面を立ち上げて[お気に入り]に登録のハンガリーをクリック、"オールカントリー"を選択して接続を試みたもののつながりません。こういうことは良くあるので、アクセスポイントをUUNET社のブダペストに換えて一回で接続に成功しました。友人から届いたメールに目を通して返信を送りました。このホテルでは2泊してダイヤルアップで7回の接続で1762フォリント(916円)になりました。
市内観光では王宮やマーチャーシュ教会、漁夫の砦、ゲッレールトの丘など見るべきところがいっぱいですが、期待するのはゲッレールト温泉とドナウ川クルーズでししょう。ゲッレールト温泉は1918年に建てられたアールヌーヴォ様式のホテル・ゲッレールト内にある温泉で、ガラス天井の屋内プールとタイル張りの風呂が特徴的です。ハンガリー式は水着をつけないで入浴するのだそうです。
ブダペストの郊外で見つけたアマチュア局
キラーイ、ルダッシュ、ラーツ、ゲッレールのお風呂では水着不要とのことでした。ただし温泉プールでは水着と水泳帽が必要で温泉ホテルのスパに入るときも水着を着けなくてはなりません。水泳帽と水着を着けて温水プールと温泉風呂を交互に入りましたが、25メートルプールを4往復してご機嫌でした。流暢な日本語を話す現地のガイドさんが「温泉がたくさんあるのに地震がないのはハンガリーの不思議なところ」と教えてくれました。因みに入場料は温泉プール+温泉で2,000フォリント(約1,000円)でした。
ブダペストから北へ約19キロ、センテンドレを訪ねました。ここは中世からセルビア人を中心とする交易商人によって発展した町で旧市街に7つの教会と15以上の美術館やギャラリーがひしめいていました。折から小中学校の下校時に重なり、カメラを向けると人懐っこくポーズを決めてくれました。続いてドナウベントのエステルゴムに回りました。ここはハンガリーにおけるキリスト教の総本山で、大聖堂の天井の高さはヨーロッパで三番目だそうで、ドナウ川を見下ろす丘に建つ壮大な建築に圧倒されました。
ブタペストにもどり夕食を済ませてからドナウ川クルーズに出かけました。ドナウ川の船上の人になる頃に辺りはすっかり暗くなっていました。両岸にはブダの王宮や国会議事堂、くさり橋がライトアップされていて美しい夜景を飽きることなく眺めていました。ハンガリーが観光客の誘致に力を入れていることが良く分かりました。翌朝、バスにて高速道路を走行すること240km/4時間、ハンガリーの国境で無数の風力発電塔を見ながらウィーンに入りました。
オーストラリアの首都、ウィーン
オーストリアは日本の4分の1の面積に810万人の人口です。バスが首都に入るにしたがって重厚な石造りの建物が連なって見え、あの中欧に栄えたハプスブルク帝国を髣髴とさせるに十分の景観でした。昼食を済ませてウィーンの市内観光に出かけました。夏の離宮のシェーンブルン宮殿、王宮、国会議事堂、市役所、ボディーフ教会などを見学して、今夜から2泊するラディソン・サス・パレ・ウィーン(5星)に落ち着きました。
今夜はウィーン国立オペラ座でギリシャ悲劇の「エディプス王」を観劇することになっています。この日は1月17日、あの音楽家の小沢征爾さんが観劇に訪れていました。翌、18日はこのオペラ座でタクトを振るったそうです。そして、後で知ったのは16日に小沢征爾さんの額面1ユーロの切手がワンシート買えたそうです。結局、空港ターミナルの郵便局で一人5枚の制限付きで10枚を手に入れました。小沢征爾さんのオーストリアでの人気の高さがよく分かりました。
ハプスブルグ家が650年間居城とした王宮
サウンドオブミュージックの舞台になったザルツブルグの庭園
ラディソン・サス・パレ・ウィーンはヨーロッパスタイルの格式のある重厚なホテルでした。部屋に入るなり、例によってインターネットのアクセスを調べました。電話機の右側にモジュラージャックがあり、デスクとベッド脇に2台あり、ダイヤルアップ接続に使えると分かりました。続いて壁にACコンセント(220V)と電話モジュラージャック、とLAN端子があり、さすが5星ホテルの部屋の設備でした。
とりあえず、ダイヤルアップでウィーンのアクセスポイント(iPass)に接続してみました。いつものように電子メールの送受信を済ませて、QTC-Japan.comに接続しました。続いてYahooメッセンジャーを立ち上げてみました。するとVK1ARAのコールサインが見えましたので、コネクトしてお相手をお願いしてみました。文字チャットから始めてボイスチャットに移り、オーストリアとオーストラリアのおしゃべりが1時間近くも続きました。電話代が気にならないと言うとウソになりますが、アクセスポイントはウィーン市内ですからたいしたことはないと腹を括っていましたが、後で請求書を見て驚く羽目に・・・。
EchoLinkで東京と交信!
この後、EchoLinkを立ち上げて、ロケーションをWienと書き込んでいると、突然、コネクトがありました。コールサインはJA1FQFとあり、東京・江東区の川上さんと分かりました。スペースキーを押して応答すると、「ウィーンってあのオーストリアの首都ですか?」と問いかけできました。EchoLinkはコールサインを言い合って交信しますのでアマチュア無線と同じ雰囲気の中でおしゃべりが続きましたが、先方の驚いている様子が手に取るように分かりました。もちろん、こちらも遠距離交信に興奮していました。
ここでLANの接続にも挑戦してみました。結果はブラウザによる閲覧や電子メールの送受信が快適にできてもEchoLinkのLAN越えができませんでした。LANの利用料金は1回の接続が19ユーロ(2,470円)でした。切断と接続を繰り返したために38ユーロをカウントされてしまいました。ダイヤルアップの接続料は1時間近いボイスチャットにも関わらず、わずか3.5ユーロ(455円)で済んだのに、支払い総額が48.78ユーロ(6,341円)になったのは、利用規定をよく読まずにがさつに使ったためと反省しています。
ウィーンのラディソン・サス・パレ・ホテルでインターネット三昧
むすび
今回もまたノートパソコンを携行してホテルの部屋からインターネットに接続して電子メールの送受信やEchoLinkを楽しみました。ノートパソコンにマイクをつなぐだけでアマチュア無線ができる時代がやってきました。今回はリピーターに接続はしませんでしたが、相互運用協定を結んでいて申請不要のフランスやアメリカ合衆国のアマチュア無線局とならインターネット+リピーターを通して無線交信ができる時代が現実のものになりました。
フランス系の企業に勤務のKさんは、出張先のパリのホテルからハンディで近くのEchoLinkに接続して、米国のシアトルに滞在が長いFさんと交信したと話していました。日本でも遠隔操作が許される(申請が必要)ようになりましたので、さまざまなシーンでインターネットを仲介にした無線交信が展開されるものと各方面から期待されています。外出の際はいよいよもってノートパソコンとハンディ機が離せなくなりました。