Onlineとーきんぐ
No.24 海外からメールの送受信とeQSOに挑戦
日本人の海外旅行熱は観光ツアーから個人旅行まで高まる一方でとどまるところを知りません。新東京国際空港あるいは関西国際空港を飛び立ち1週間から10日、長い旅行なら2週間以上20日という長いツアーがありますので、その間は電話代を気にしながら留守宅へ何回も国際電話をかけることになりますが、これからはインターネットの利用を大いに考えていただきたいと思います。日常的に電子メールの送受信に明け暮れている方が、旅行に出かけてインターネットから離れていると何かしら気が晴れませんね。現代人はインターネットに束縛されているという見方がある中で、旅行中だからといって情報から遮断されていいという理由にはなりません。
最近のノートパソコンはコンパクトで持ち運びが楽になりました。B5判ノート型なら観光ツアーに持ち歩いても苦になりませんし、A4判ノート型でも目的がきちんとしていれば、多少重くても苦痛にはならないと思います。ということでノート型パソコンを持ち歩いて宿泊先からインターネットに接続して電子メールの送受信を行いたい、つまり家にいるときと同じスタイルを守り、できたらホームページのメンテナンスをやってみたい、このような思いを満足させるために多少大型のノートパソコンをはるばるヨーロッパまで運びました。結果は上々、留守宅とのスムーズな連絡と友人達との電子メールのやり取り、そして日本の新聞ニュースが手に取るように読めたのは予想以上の効用でした。
ホテルの部屋で電子メールの送受信をしている様子
出かける前の準備
先ごろドイツ南部のフリードリヒスハーフェンで開かれた"HAM RADIO 2002"に出かけた際に、電子メールの送受信とWebサイトのメンテナンスをやりたい一心でA4判ノートパソコンを持って行きました。ノートパソコンは56kモデムを内蔵していてAC100~240Vに対応していること、もちろん電子メールアドレスとプロバイダに加入していることなどが条件になります。今回はミュンヘンとフユッセン、そしてフリードリヒスハーフェンのアクセスポイント(電話番号)をプリントしてパソコンと一緒にしておきました。
地元のアクセスポイントに接続することを「ローミング」といいます。プロバイダのひとつ@nifty(アット・ニフティ)の海外ローミングサービスは、提携先が強力でアクセスポイントが多いことで知られています。ローミングが不得意なプロバイダもありますので、出かける前に海外ローミングサービスをWebサイトで調べておきます。 日本で使っているモデムコードのモジュラーは、日本と米国に限っては電話機や壁のコンセントに問題もなく差し込むことができます。しかし、ひとたびヨーロッパに出かけますと国の数だけモデムアダプタと呼ばれる変換アダプタが必要になります。今回の訪問国ドイツでは写真のような"ドイツタイプ"を使います。アダプタの側面には国旗が貼ってありますので間違えることはありません。ほかにフランスタイプを参考までに掲げておきますが、ずいぶん形が変わっていてショックを覚えるほどです。いずれも近くのパソコンショップにて千円位で購入できます。
ドイツタイプのアダプタを電話端子に差し込んだ
左から日本、フランス、ドイツのモデムアダプタ
アクセスポイントの接続設定
海外ローミングをなんとなく難しく感じるのは、アクセスポイントの接続設定にあるとみています。せっかくパソコンを持参していてもアクセスポイントにつながらなくてはインターネットへの接続ができません。Windows Meならマイコンピュータ→コントロールパネル→ダイヤルアップネットワーク→新しい接続 からアクセスポイントの電話番号とIDとパスワードを入力します。Windows XPならスタート→新しい接続ウイザードで必要事項を入力するだけで、難しい操作を必要としません。
ホテルの部屋にモデムアダプタの接続端子がない場合、あるいは接続口があってもモジュラーがLANコネクタの挿入口があったりしますとまるっきりお手上げです。電話コードがコネクタ無しでしっかり壁に吸い込まれている場合も困りますね。このような場面を想定してModem Doubler Pro(城下工業製、14,800円)※1 を持ち歩いています。これを使うと交換機経由のビジネスホン、ホテルの多機能電話でもFAX、パソコン通信、インターネットの接続が可能になります。
モデムダブラープロ
使い方は簡単で電話機のハンドセットと電話機本体は必ずコネクタでつながっていますので、ハンドセットを外してここにモデムダブラープロのTELEPHONE端子をつなぎ、MODEMをパソコンに、HAND SETにハンドセットをそれぞれ接続すれば完了です。
ハンドセットを上げて外線発信の"0"を押してツー音を確認したらパソコンの接続をオンにするだけです。サーバーとの間でIDとパスワードが確認されるとハンドセットは切断されますので、電話機に置いてかまいません。
インターネットでアマチュア無線
近頃、話題になっているeQSOやEchoLink※2 などのソフトウェアをパソコンにインストールしておくと、ホテルの部屋からアマチュア無線が楽しめるのです。オンライン上にライセンスを持つ世界のアマチュア無線家が集まっておしゃべりを楽しんでいて、もしオンラインがレピータに接続されていると無線の送受信が可能になります。つまりMSNメッセンジャーやYahooメッセンジャーで文字&音声通信ができるパソコン環境なら、eQSOやEchoLinkを今すぐに始められということです。
インターネットは国の壁を取り払ったところに大きな意義があるわけで、実際にeQSOを体験してみると国際的な広がりを感じることができます。eQSOのソフトウェアをダウンロードする際に参加条件として"アマチュアライセンスの所持していること"が求められます。コールサインがなくてはダメということですね。パソコンのサウンドカードに小型のパソコンマイクを挿すだけで世界中のアマチュアとおしゃべりができるのは、インターネットとアマチュア無線の融合を端的に分かりやすく示していると思われます。
有線と無線を区別した時代から融合へ向けて確実な歩みが始まりました。パソコン一台で電子メールの送受信からWebサイトのメンテナンスまで、さらにはインターネット+アマチュア無線の融合は、情報の伝達に大きな革命をもたらしました。たかがインターネットと侮ってはいけません。アマチュア無線とインターネットの融合はプロの世界では決して真似のできない有用性を高め、アマチュア無線の真価を実証しようとしているからにほかなりません。中でもJARLが推進しておられる"D-STAR"に大きな期待を寄せています。ということで、どこにいてもインターネット&アマチュア無線の世界にどっぷりと浸っていたいという行動の一端をご紹介しました。
ご参考
※1 Modem Doubler Proのホームページ http://warrior.co.jp
※2 eQSO 接続ソフトのダウンロード http://www.eqso.org/
EchoLink 接続ソフトのダウンロード http://www.synergenics.com/el/