ヨーロッパ最大のハムフェスティバル「HAM RADIO 2002」が今年もドイツ南部のフリードリヒスハーフェンで愛好者多数を集めて6月28日~30日の日程で華やかに繰り広げられました。雑誌の記事などで垣間見たヨーロッパのハムフェスティバルをこの目で見たいと思いついて幾十年、なかなか訪問する機会が巡ってきません。それだけ日本からの距離が遠いということに加えて、ドイツの主要都市で開かれるということではなく、かなりの田舎でイベントが開かれるということで、飛行機の乗り継ぎや交通の便が全く分からないまま縁遠くしていたように思えます。

フリードリヒスハーフェンはドイツの南部に位置して、スイスとオーストラリアに国境を接する地域を地図の上で探して見ますとボーデン湖が目に飛び込んできます。この湖沿いに小さな町"フリードリヒスハーフェン"があります。簡易な世界地図、例えばJAIAが発行した「ハム用ワールドマップ」にはフリードリヒスハーフェンの地名が見当たりません。たまたま手に入れた「るるぶ情報版ドイツ02~03」JTB刊のドイツ全土の地図に"フリードリヒスハーフェン"の地名を発見!有名なファンスティック街道がボーデン湖に到達する辺りとわかりました。

フリードリヒスハーフェンには、隣国のチューリッヒから入るのが近そうですが、ホテル事情を考えてミュンヘンからレンタカーで入る道を選びました。フランクフルトからフリードリヒスハーフェン空港までの飛行時間が1時間というのも魅力的ですが、バイエルン地方の首都ミュンヘンに惹かれて、ここからレンタカーでフリードリヒスハーフェンに入ることにしました。距離はおよそ200キロ、ミュンヘンの王家ゆかりの建造物や途中、人気のノイシュヴァンシュタイン城に立ち寄ることも可能です。

ICOMブースの全景

ICOMの大看板が頭上高く回っているICOMブース

HAM RADIO 2002

会場はフリードリヒスハーフェンのメッセです。例年開かれてきたHAM RADIOは次回から空港近くに建設中の新メッセに移されるということで、手狭と老巧化により今回のメッセが最後の開催となりました。日本では東京近郊に "幕張メッセ"という展示場がありますので、これをイメージすれば分かりやすいと思います。このメッセがHAM RADIOを主催し、DARC(ドイツアマチュア無線クラブ)が後援するという形で運営していました。実際に見て回った感じでは、入場券(1日券7ユーロ、3日券13ユーロ、1ユーロ:約120円)の発売から入場整理、ファーストフードの販売、大小のレストラン経営などの管理は手馴れていましたし、駐車場(1日5ユーロ)への誘導もきびきびと進められました。

取材に当たってPRESSセンターが大きな支えになります。開会式の写真を配布するほか、電話、FAX、インターネットの接続サービスが万全でした。喧騒から逃れて静かな環境が提供され、飲み物や軽食のサービスまで受けられて至れり尽せりです。一番ありがたく感じたのはPRESSセンター前に駐車を許されたことでした。初日、ミディアの登録を済ませる前は2キロほど離れた駐車場から、カメラを持って会場に向かいましたので、特にありがたさが身にしみました。ハムフェアの報道登録が入場札の手配だけですからHAM RADIOの報道に対する姿勢の違いを改めて感じた次第です。

HAM RADIOのパンフレット

ICOMヨーロッパ in HAM RADIO 2002

ドイツのハム雑誌"CQDL"のICOMの広告にはIcom(Europe)GmbHの記載がありますので、ここではICOMヨーロッパとご紹介することにします。展示ホール1~10のうちホール6がアマチュア無線のメーカー、ICOMをはじめとする有名会社が展示ブースを開設していました。販売店、コールサインを刺繍する帽子屋さん、DARCのマーク入りコールサインプレート、DARC、RSGB、ARRLをはじめ、ヨーロッパの各国アマチュア団体がブースを設けて、その数30以上がお国柄を反映して盛り上がりを見せていました。日本のハムフェアとデイトンハムベンションとも全く違う独特の雰囲気を醸し出していて、さすがヨーロッパ、陸続きの国々がすべて寄り集まったそんな印象を抱きました。

ICOMヨーロッパはARRLやRSGBのブースに程近く、ホール6のほぼ中央に大きなスペースを占めていて、大勢のICOMファンに囲まれて熱気ムンムン、中日の29日は人垣が最高潮に達し写真撮影どころではありませんでした。愛好者はIC-756PROⅡやIC-7400、IC-910Hなどに熱い視線を送っていました。中でも発表されたばかりの50/144/430MHzマルチバンドトランシーバーIC-E90(日本ではIC-T90)、デュアルバンドFMモービルトランシーバ-IC-2725Hなどが注目の的でした。

アマチュアとのトークが楽しいICOMブース

28日(金)に始まり30日(日)の午後3時の閉幕までHAM RADIO 2002を十分に堪能しました。ロシア、東欧諸国からイタリア、ポルトガル、イスラエルなどあらゆるヨーロッパ諸国が参加するヨーロッパ最大のハムフェスティバルといわれるだけの大掛かりで国際色豊かなHAM RADIOに参加して久しぶりにアマチュアスピリットを感じ取りました。

高周波関連のパーツが多数出品されました

会場と周辺にキャンプ村が出現しました

JAIG(Japanese Amateurs in Germany)の壱岐さん(DF2CW)とは本コラムがご縁となり、会場内のJAIG昼食会でお目にかかることができました。壱岐さんをはじめとするJAIGメンバーと親しい交流ができました。国際交流が当たり前のHAM RADIOに身を寄せてアマチュアコードに謳われている「アマチュアは、国際的であること」の真の意味を理解できたように思えました。