Onlineとーきんぐ
No.16 フリーソフトウェアMMSSTV Version 1.05
中国第一の商都、上海を訪ねる時に、今評判のMMSSTVをCD-ROMに収めて友人達にプレゼントしようと計画していましたら、ソフトはともかく使い方を教えてほしいという要望が寄せられました。はて?使い方はMMSSTV.TXTを読めばわかるはずなのに、もしかして日本語が読めないために操作方法がわからないのかも知れないと想像を巡らせていました。上海はもちろん中国語ですから、MMSSTVの中国版はあるのかしら?
事前の知識では日本語版と英語版だけと思っていましたから、「基本マニュアル」*1を読めないのかな、と一人合点して上海に行ってみると中国語によるMMSSTV Ver.1.0が存在していました。後でわかったのは、各国語のMMSSTVが存在しているのですね。英語をはじめ独語、仏語、スペイン語、露語、伊語によるMMSSTVのダウンロードが可能なWebサイトが、協力者により世界のあちこちに点在していることがわかりました。ただし、中国語版の同ソフトの存在を知ったのは、今回の上海訪問が初めてです。
MMSSTVはJE3HHT森誠さん(高槻市在住)が開発されたパソコンのサウンドカードを使ったスロースキャンTV(以下、SSTV)送受信ソフトウェアです。アマチュア無線用トランシーバーのアクセサリー端子とパーソナルコンピューターのサウンドカードを接続して、MMSSTVを使う方が日本を始め世界の各地に広がりを見せてきました。送信画像のヘッダー(上部)にMMSSTV Ver.1.05と書き込まれていますから、すぐにMMSSTVを使っていることがわかります。
MMSSTVは受信時の起動感度が高いこと、受信終了後でもスラント(傾き)調整が可能なこと、ログの作成が同時に行えるほか、送信画面に相手のコールサインなどの文字挿入がすばやくできることなど、そして、QSLカードの発行も簡単作業で済むなど、多機能な操作性が特徴です。そして、爆発的な普及の主な原因の一つに、このプログラムがフリーソフトウェアであることが大きく貢献していると思われます。Ver1.00でスタートしたMMSSTVはバージョンアップを経て、現在はVer.1.05とVer.1.05β版がリリースされています。人気が高い理由がうなずけるというものです。
MMSSTVのメイン画面
MMSSTVの動作環境
MMSSTV Ver.1.05は783kB、インストールは簡単であっけなく終わります。アンインストールはフォルダごと削除すればOK。OSはWindows95、98、98SE、ME、NT、Windows2000に対応、サウンドカードは16ビット11025Hzまたは22050Hz、256色以上(16ビットまたは24ビットカラーが望ましい)のビデオアダプタ、32MB以上のRAMとマニュアルに記載があります。
旧世代機に属するK6-2 400MHzのCPUと160MBのRAMのデスクトップパソコンにインストールして動作を試してみましたところ、サクサクと快適に使うことができました。できればCPUのクロックは早いほうが良いようです。MMSSTVのプログラムは、JE3HHT'sホームページ からダウンロードすることができます。
トランシーバーとの接続は、新型のIC-7400に例にしますと、次のようになります。
後面パネルのACC(1)ソケット(8PIN)とサウンドカードを接続します。
C-7400 ACC(1)ソケット(8PIN) | パソコン・サウンドカード |
8PIN[4] 信号入力 | SP出力 |
8PIN[5] オーディオ出力 | LINE INまたはMIC IN |
8PIN[6] PTT | パソコンのRS-232C(RTS/GND DB25 pin4/7) (RTS/GND DB9 pin7/5) |
IC-7400とサウンドカードの間にアダプタ*2を挿入してお使いになられるとよろしいでしょう。新型のIC-7400は高い送信S/N、低ひずみの送信音質、高シェープファクターのデジタルIFフィルターなどのデジタル機能を実感できる32ビット浮動小数点DSP、24ビットAD・DAコンバーターを採用した上に、大型LCDディスプレイに簡易バンドスコープなどの各種情報を集中表示した、高機能HF/VHF帯オールモードトランシーバーです。もちろんPSK31/SSTV/RTTYの運用には最高です。
MMSSTVのSSTVモードは、日本でよく使われているScottie1と2、Martin1と2を含むほとんどのモードに対応しています。通常は「Auto」ボタンをONにしておくと、起動信号を受信して自動的にモードを選び画像の受信を開始します。もし運悪く自動スタートができないときでもメイン画面のRxModeのいずれかのボタンを押して手動でスタートすることができます。送信画像は、他の編集ソフトからロードするか、メイン画面下側のストック画像ギャラリーからドラッグ&ドロップでロードすることができます。
送信画像に文字を挿入するには、テンプレートを選び、LogにCallなどをキー操作で書き込み [T]をONにするだけでOKです。 送信画面の任意の場所をポイントしてクリックすると「テキストと色の設定」ウインドウが現れますから、ここで文字列の選択、グラデーションや影などを指定するほか、Fontをクリックすると別ウインドウでフォントとスタイル、サイズを選ぶことができます。メイン画面の[ヘルプ]からMMSSTV.TXTをクリックして「基本マニュアル」を一覧でき、プリントするとA4判30ページにもなりますが、必要に応じて読むことで操作方法を覚えることができます。
MMSSTVのスラント調整後の画面。左下の[記憶]ボタンを押すと完了。
*1 JE3HHT's ホームページ、MMSSTVソフトウェア基本マニュアル
*2 OnlineとーきんぐNo.14に掲載のアダプタ