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No.33 IC-706MKIIGMを国境の島“対馬”に持ち込む
離島ブームに乗って、国境の島“対馬”に出かけて自然を満喫しながら友人達※1と移動運用を楽しんできました。対馬は本土から132キロ、韓国の釜山まで49.5キロ、東西約18キロ、南北82キロの細長い島で総面積は708.47km2、大きさでは佐渡、奄美大島についで3番目ということです。厳原、美津島、豊玉、峰、上県、上対馬の6町の人口は約4万1千人。来年の3月1日には6町合併により対馬市が誕生する予定です。
IC-706MKIIGMによるSSTVの運用風景
福岡空港からB-737に乗り約30分、対馬空港に降り立ちました。機内持ち込みサイズのバッグにICOMの小型HF帯トランシーバーのIC-706MKIIGMとスイッチング安定化電源(30A、重量2kg)を納めて対馬まで無事に運んでくることができました。空港でレンタカーを借りて走り始めた直後、ハングル併記の交通標識を見つけ、韓国との交流の深さを知りました。そして「ツシマヤマネコ飛び出し注意!!」の標識にも興味津々、この珍しい交通標識をカメラに収めてSSTVの画像として使って好評でした。
持ち運びが楽なIC-706MKIIGM
トランシーバーは小型で高性能なIC-706MKIIGM(50W仕様)に決めました。このトランシーバーは普段、オートアンテナチューナー(AT-180)と組み合わせてモービル運用に使っている一台です。もちろんこのトランシーバーには別売の受信DSPユニット(UT-106)やCWナローフィルター(FL-101、250Hz/-6dB)を装着して使いやすさを一段と向上させてあります。愛用のIC-706MKIIGMを車から取り外して対馬へ運ぶことにしました。
今回はSSTVの運用を予定しているために、トランシーバーとノートパソコンを結ぶケーブルを作らなくてはいけません。 色々考えてSSTVのアダプタとIC-706MKIIGMのACCソケット(13ピン)をつなぐことにしました。車載時はAT-180をACCソケットに接続するために塞がっていて使えませんが、今回は屋外設置型HFオートアンテナチューナー(ロングワイヤー用) AH-4を用いるためACCソケットが空くので都合がいいことに気づきました。ACC側13ピン------SSTVアダプタ側5ピンの接続ケーブルをIC-706MKIIGM取扱説明書の69頁[パケット(AFSK)の接続]を参考にして30分ほどで接続ケーブルを完成させて接続テストを済ませました。
カート付きバックに入れて運ぶ
飛行機の中に持ち込みが可能なバッグに以下の無線機類を収めて運びました。
1.HF/VHF/UHF オールモードトランシーバーIC-706MKIIGM
2.直流安定化電源(30A)
3.SSTVアダプタ
4.電鍵、予備のヒューズ、ACテーブルタップ、トランシーバーの取扱説明書など
5.免許状・免許証、業務日誌
もう一台のIC-706MKⅡG
他のメンバーがもう一台のIC-706MKIIGMと電源、アンテナ、同軸ケーブルなどを1週間前に上県郡峰町の白水旅館(しろず・りょかん)※2宛てに宅配便で送りました。
1.IC-706MKIIGMと小型外部電源PS-85
2.アンテナチューナーAT-180
3.屋外設置型HFオートアンテナチューナー(ロングワイヤー用) AH-4
4.MFJグラスファイバーポールMFJ-1910と屋根ウマと同軸ケーブル、ビニール線
5.免許状・免許証、業務日誌
7MHz CWで長崎県上県郡峰町をサービス
空港から1時間ほど走って上県郡峰町の旅館に到着。すでに地元の小田さん(JA6VAG)により7/21MHzダブレットが上がっていて、同軸ケーブルが窓まで届いていました。部屋に入るなりバッグからIC-706MKIIGMと電源を取り出して各部を接続、電源スイッチをオン、7MHz帯と21MHz帯を受信するといずれも良く聞こえました。先発の3人(JA1CVF、JI1FOL、JA1FUY)は手始めに、7MHz帯のCWで長崎県上県郡峰町(JCG42002C)のサービスを始めました。
一方では、翌日のNVCG(西日本画像グループ)SSTVコンテストに備えて、デジカメで撮影した写真をパソコンにインストールして準備完了。この後、後発組(JF1GUQ、JH1VVW)の到着を待ってオールバンド・バーチカル・アンテナを上げました。このアンテナは米国製のMFJ-1910※3といい、グラスファイバーの繰り出し式のポールで全長10m、ベースにAH-4を入れてオールバンドに対応。7MHzで1/4 λ、21MHzで3/4 λ、5/8 λを狙ってみました。IC-706MKIIGMの[TUNER]ボタンを押すとAH-4がどのバンドにも素早くチューニングしてくれ、ストレスを感じることが全くありませんでした。
全長455mのオメガ鉄塔のモニュメント
交信中に「対馬は何県ですか?」とたびたび聞かれました。正解は「長崎県」、車のナンバーも“長崎”とご紹介しておきました。それはさておき移動運用の計画段階からIOTA(AS-036)サービスを希望していましたが、コンディションに恵まれないままJCGサービスに終始してしまいました。2日目の午後8時過ぎ、夕食から戻るとSSTVのモニターにSM5EEPのCQ画像が残っていたが、時すでに遅しで交信に至りませんでした。
ここで隣の部屋に第2シャックを作りましたので、2つのシャックを紹介しておきます。
第1シャック:
IC-706MKIIGM、MFJ-1910、AH-4のオールバンドバーチカル・アンテナ、ノートパソコンとSSTVアダプタ、デジカメ、マイクと電鍵
第2シャック:
IC-706MKIIGM、PS-85、AT-180、7/21MHzダブレットアンテナ、ハムログ用ノートパソコン、マイクと電鍵
木造2階建ての壁を隔てた隣のシャックで送信出力50Wの運用が始まると、抑圧や混変調がどんなものか心配しながら始めたところ、結果は2局が交信できる範囲にとどまったのは幸いでした。これは2つのアンテナの距離が20m程度ではある程度の影響はやむを得ないところ。やはりここは思い切ってアンテナを遠ざけるのが最良の策のようです。第1シャックでは14MHzのバンドパス・フィルターを持ってきたことを思い出して、アンテナ端子と同軸ケーブルの間に挿入すると、第2シャックからの影響が全くなくなり、その効用に驚く一幕もありました。
CWオペレート(JI1FOL)
まとめ
5人による対馬滞在のコンセプト(概念)を「観光+JCGサービス+NVCGコンテスト」と欲張りな目標を掲げたために、交信局数は思ったより伸びませんでした。それでも7/10MHz CW 212、7MHz SSB 67、7/14/21MHz SSTV 23・・・計302 QSOを達成して移動運用の面目をなんとか保つこととができました。大掛かりなDXサービスと違い、どちらかというと観光もアマチュア無線も楽しみたいという軟弱なDXバケーション的側面から、今回の対馬移動運用が成功に結びついたと総括しています。滞在中、快適に動作してくれたIC-706MKIIGMに感謝! QSLカードの発行は5月下旬を予定しています。
QSLカード
※1 JA1CVF JI1FOL JA1FUY JF1GUQ JH1VVWの5人
※2 白水旅館(しろず・りょかん) 長崎県上県郡峰町佐賀537 電話0920-82-0006 収容人員15名 一泊2食5千円
※3 MFJ-1910は最短で1m位、軽くて移動運用向き、値段はUS79.95ドル。