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No.82 デイトンハムベンション2007ハイライト
「デイトンハムベンション2007」の一人旅を実践しました。5月17日、成田14時10分発、シカゴ/オヘア11時47分着のUA884が定刻より少し遅れて到着。ターミナルに着いても、かなりの時間、機内に留め置かれて降ろしてくれません。こんなときに限って入国審査に長い列ができて、先に進めないのですから気持ちがあせるばかり。デイトンへの乗り継ぎ便は、遅れた客のために待機しているという甘い期待を裏切り、無情にも定刻に飛んで行きました。ユナイテッドが推奨する旅行日程でシカゴまでやってきたのに、乗り継ぎ便に連絡しないやり方に納得できないまま、次の便に乗ればいいと能天気に考えていましたが、これが苦行の始まりになるとは本人も気づいていません。
「デイトンハムベンション2007」公式ガイドブック
[手荒な歓迎!]
保安上の問題が遅れた理由なら苦情を言っても始まらないので、ここは耐えるしかないようです。次の便に乗れるという見込みがことごとく外れて、悪くすると明朝6時発の一番機に乗るしか他に方法がないと気づいて出発カウンターに詰め寄ってみても「ウェイティングリストに入っているから待つように」、カスタマーサービスに相談しても「最終便に乗れるだろう」というばかりで頼りにならない。ウェイティングリストの優先順位はブッキングクラスやFFP(常顧客優待制度)の会員レベル等に大きく左右されるため、早くからキャンセル待ちしている人が必ずしも有利とは限らないため、エコノミーはいつまでたっても後回しにされる事情がありました。
1150便以降の2便とも満席、泊まりを覚悟して最終便(21時15分)のカウンター前に日本人3人と白人の計4人の男性が、わずかな望みを託して立ち尽くしていました。係員が座席表を見ながらぺちゃくちゃ、その中で「空き6席」をヒアリング。パソコンのキーボードをせわしなく打ち、ディスプレイを見ていた一人が機内に入り空き席を確認。ここで係員に促されてようやく機内へ。8時間のウェイティングに終止符を打った瞬間でした。
23時、デイトン空港に着陸。シャッターが閉まったみやげ物店を横目に寂しげな通路を通り、バッグの保管庫に直行してスーツケースを受け取り、Hertzのカウンターでカーナビ付きフォード・トーラスを借りて深夜のフリーウェイへ。30分ほど走行してホリデーイン・エクスプレス・トロイに到着。時刻は24時ごろ、フロント嬢の「予約を受けていない」という想定外のひと言に仰天! 粘り強い交渉を経て部屋に入ったのが午前1時。明日の取材に備えてカメラの点検を済ませ、試練の一日を思い返しながら2時ごろ就寝しました。
[18日開幕]
午前7時、Haraアリーナに到着。メディアサービスで顔見知りのJerry(WD8QAI)から緑地のMEDIAパスと駐車証、ガイドブックをもらい取材の開始です。フレアマーケット(Flea Market=蚤の市)は午前8時開場、早くも入場を待つ列ができていました。屋内会場は9時からなので、それまでフレアマーケットを回ることにしました。早くも出展者同士によるショッピングが始まっていました。フレアマーケットはクルマ1台、ハッチバックのドアを開けてビンテージものを並べて買い手を待つのが基本のスタイルになります。
クルマのナンバーがおもしろい「QSL 73」
SQシリーズアンテナ(50MHz〜430MHz)
フレアマーケットでは思わぬ掘り出し物に出会うことがあります。目効きができるとガラクタも宝の山に見えるのでしょう。大型キャンピングカーを乗り入れてクラブ展示や大がかりな商品販売の展開も見られます。アマチュアの出展が圧倒的に多いのは当然ですが、電子パーツや工具類を売るプロの店も少なくありません。来場者の胃袋を満たすのは、ハンバガーやホットドックのお店が繁盛していました。なぜかビール売り場は、目立たない場所にひっそりと営業していました。米国でも酒酔い運転の取締りが厳しいようです。
Haraアリーナの入り口左方向にSteep IRのタワーがそびえています。ファイバーグラス製、3kWキーダウン、バンド内どこでも1:1SWRのアンテナが上がっていました。www.steppir.com また、古谷さん(WB6Z)がいう”なんちゃってアンテナ”のKU4ABのSQシリーズアンテナがおもしろく、水平偏波の6m〜430MHz帯アンテナが日本人ハムに好評で、手ごろな価格と丈夫な構造に興味をそそられました。
[衝撃のデビューIC-7700]
アイコムから新しいHFトランシーバーが参考出品されると知ったのは開幕前夜。ベールを脱いだのは”THE CONTESTER'S RIG”と銘打ったIC-7700 HF〜6mバンド、オールモードトランシーバーでした。IC-7800(,050,000)のフロントマスクに酷似、外形寸法424×150×420mmも同じ。このことからIC-7800の姉妹機と推測しました。
アイコム・アメリカのブース全景
参考出品のコンテスターズ・リグIC-7700
IC-7700はプラスチックのケース越しの撮影なので、照明が反射して良い写真が撮れません。その上、たくさんの人が周りを取り囲んでいるため、カメラを構えるスペースがないほどでした。それでも夢中でシャッターを切ったのがここに掲げる1枚です。その際、IC-7700の英文のカタログをもらって来ましたので、スキャニングしようと考えていましたが、その前にGoogleで検索することを思いつき、型名を入力してGO、なんとRigPixのWebサイトにIC-7700の鮮明な写真と主な仕様が載っていてびっくり。
IC-7700はHF〜50MHz帯をカバーするコンテスター向けのトランシーバーで出力200W、フロントパネル左下(マイク端子の右側)にUSBポートが2つあり、ひとつはUSBメモリドライブ、もうひとつはUSBキーボードをつないでPSK31やRTTYを運用できると分かりました。現地で入手したIC-7700の英文カタログをPDFファイルにしましたので、カタログの写真をクリックするとA4判4頁の詳細がご覧になれます。アイコムのブースではほかにICOM World Maps、UNITED STATES FREQUENCY ALLOCATIONS、U.S.A. Amateur Radio UHF/VHF Band Planを配布して人気がありました。
[美女軍団と二足歩行ロボット]
Haraアリーナのエントランス・ホールにアイコムの美女軍団が来場者にせがまれて記念写真に応じていました。撮影が終わるのを見届けて、「メイアイ・・・」と声をかけて、写真を撮らせていただきました。その直後、ゴールドとシルバーの2体の女性ロボットが出現して衆目を集めました。歩き方も言葉もデジタルな動作に、周りを取り囲む人の顔が自然にほころびました。映画「スター・ウォーズ」に登場する二足歩行ロボットC-3POを見ているような感じです。美女軍団がカタログを配り始めました。ICOMブランドの楽しいイメージと重なる見事な演出に感心するばかり。06年はピンクのバスローブを着た美女たちが、ICOMの名入り帽子を配るパフォーマンスがおじ様方に人気がありました。
ICOMの美女軍団
2体の二足歩行ロボットが人気を集めた
[その他の新製品]
成長著しいBUDDIPOLE Inc. W3FF、Buddさんのブースは、No.16の広いスペースに陣取っていました。ポータブル運用の最適サイズに設計したHFバンドダイポールアンテナは、アマチュアの心をしっかりつかみ売り上げを伸ばしたと分析しています。ほかにエレクラフトのニューK3、フレックス・レディオのFlex-5000、HiberlingのPT-8000、Ten-TecのOmni-VII、そして日本勢の新製品もハムフェアより一足早く見ることができました。
一方、ARRLが総力を挙げた「ARRL EXPO」はBALLARENAで開かれ、18日はNASA宇宙飛行士のKC5ACR、Bill McArtherの講演が人気を博しましたし、書籍、ロゴ入りTシャツなどの販売でにぎわっていました。おなじみのDXCCカードのチェック、インターネットカフェ&WiFiなど、K1ZZサムナー氏を先頭に職員総出の催事に魅了されました。持参のVE(ボランティア・エグザミナー)申込書を窓口に提出したほか、かねて目をつけていた近刊の「RFI BOOK」と「Low Profile Amateur Radio」の2冊を購入しました。有用な本なのでいずれ紹介してみたいと思います。
ARRL EXPOの書籍販売コーナー
[あとがき]
あこがれのハムベンションに出かけること5回目にして、アクシデントに遭遇しました。といっても災害や事件に巻き込まれたわけではないので、とりたてて騒ぐことでもないのですが、万一を考えて乗り継ぎに2時間ぐらいは見込んでおいたほうが良いという教訓が残りました。たとえ航空会社の都合で到着が遅れても乗り継ぎ便は待ってはくれないし、次の便に優先的に乗せてもくれません。マニュアルどおりに応対する係員にもどかしさを感じ、温かみの欠ける航空会社と言いたいところですが、ブッキングクラスやFFPの会員レベル等にも左右される上に、運行が狂うのは保安上のやむを得ない事情と察するあたりで、エコノミー症候群を発症しそうになりました。帰りのワシントン/ダラス乗り継ぎ、成田行きユナイテッド便は何ごともなく定刻に着陸しました。