『MFJ Cubは07年10月に本と一緒に注文したところ、1ヶ月後に本のみが送られてきて肝心のMFJ Cubトランシーバー・キットが届かないので問い合わせると、「40mのキットは12月11日に送りました」というメールが届き、船便で1月8日に送られてきました。一日置いて10日に組み立てを完了、ただいま快調に動作しています。W6、JTなどが聞こえています。CWオフセットの600Hzはパソコンのソフトウェアで行い、送受信がずれないように調整しました。』

ここでいう本は、「ARRL's Low Power Communication」(19.95ドル)のことでARRLのWEBサイトに注文しました。キットはMFJ 40mバンドCub Transceiver Kit (99.95ドル)で、基板はICとトランジスタが実装済み、これにコンデンサー・抵抗・コイル・水晶振動子・ボリューム・チョーク・ケース・組み立てマニュアルを含みます。Cubはクマやライオンの子を指し、可愛いという意味から「小さくてかわいいトランシーバー」となります。

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書籍とCub CW QRPトラシーバー・キットの広告(ARRLの機関誌QST)

同じ時期に注文

『私の場合、07年11月3日に注文して1月21日に本とキットが届きました。約80日もかかったわけでしびれを切らして2回ほど催促しました。2日間で組み立てを終えたところで、リアパネルの孔に気づきました。インターネット検索で調べるとBNC接栓とわかり、部品箱をかき回して取り付けました。明日、もう一度点検して通電と調整を行います。』

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完成したCub CW QRPトラシーバーと縦ぶれキー(ロシア製)

『随分待たされましたね。BNCコネクタはconstruction manual p.39の囲み記事にありましたので、最初からBNCにしました。それにしても日本では、このキットやK1、KX1など食指を動かしたくなるようなキットを出してくれるところが無くて残念です。それとCubの完成品が日本で2万3600円ですので、キットの100ドルは得した気分になります。』

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Cub CW QRPトラシーバー・キットのパーツ

作る前にマニュアルを読む

『マニュアルをあまり読んでいないことがバレましたね、p.39の記事を確認しました。これから半田付けの忘れがないか、部品のつけ違いはないかを点検します。完成品を買うなんて「もったいない」。作る楽しみを放棄する人もおられるのですね。かつて日本にはMIZUHOのP-7DX、MX-28S、MX-21S、MX-6SなどQRPのSSB/CWトランシーバーがありました。いずれも送信出力は1〜2W、QRPマニアから熱烈な支持を受けていましたが、現在はキットの入手が困難のようです。今なら送信出力の設定が10W/5W/2.5W/1W/0.5Wに切り替えられるICOMのIC-703がお勧めです』

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組み立てマニュアル

『さすが生き字引ですね。ジャンクを集めてリグを作って始めたハムも、仕事で長いブランクがあり、MIZUHOのキットを知りませんが、リグやアンテナに自分で手を加えて交信がしたいものですから、目をしばたかせながら半田付けなどしています。』

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基板にボリュームなどを装着しているところ

出力は0.5W〜2.2W

『40m Cubトランシーバーは調整を終えて送受信共に快調に動作しています。出力電力は最大2.2W、最小0.5Wまで絞れました。測定はDAIMONDのSX-9000+ダミーロードによります。VFOのキャリブレートはディップメーターを持ち出して、HFトランシーバーで受信しながら所定の周波数に合わせて調整し、CWが聞こえるようにしました。この後、Rx BPFを最大感度に合わせて調整を終了しました。Tx Offset(600Hzサイドトーン・ピッチ)はまだ調整していません』

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完成したCub CW QRPトラシーバーの内部

CWオフセットの調整法

『私の調整法を書いてみます。RITがついていないのでキャリア・オフセットが重要なのでp.37の4.の手順に従って調整しました。秋月電子のDDS発信器出力を可変アッテネータで十分絞って入力しています。次にパソコンにフリーウエアの「WaveSpectra(Vectorでダウンロード)」をインストールして、スペアナ画面で横軸をリニア目盛りで100Hz-1500Hzにセットしておき、Cubの「PHONE」出力をパソコンのLINE INまたはMIC INに入力してCubのTUNEつまみで600Hz付近にスペクトラムピークがくるよう合わせます。ここはTUNEに多回転ボリュームが欲しくなります。実際の受信でも3〜5回転くらいのボリュームが欲しい感じです。すでにTUNEつまみをわずかに大きい日本製のつまみに交換しています。

『調整の1と2項はOKなのでアンテナ・コネクタにダミーロードを接続してキーダウンします。画面上にスペクトラムが現れますので受信したときの600Hz付近にピークが合うようC40を調整します。プラスチック棒の先に5ミリくらいの金属片を付けたドライバーで調整しますが、離すと周波数がずれるので何度か繰り返して追い込みました。ディップメーターをRF信号にして調整したことはありませんが、できたら少し安定なものがよいかと思います。他のリグのCW出力をダミーロードに与え、近くからビニール線でピックアップして入力するのもよいかと思います』

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CWオフセットを600Hzに合わせる(※クリックすると画像が拡大します。)

『WaveSpectraは解凍するとWS、WS NEWなどのテキストファイルで説明がでますが安直に使うには起動して画面右上のスパナのようなボタンを押して各種設定をします。今回の用途には「Specteum」タグを選び、横軸の窓でリニアにクリックを入れて表示したい低周波、高周波数を入れます。適用を押し、縦軸はあとでスペクトラム画面をみながらレンジやシフトを変えて見やすいところで使います。次に再生/録音タグを選び「録音」のVolumme Ctrl.ボタンを押すとRecordingControlの窓がでますので、入力のLineまたはMicrophoneをクリックしてスライダを動かしてスペアナ上で見やすいレベルに設定します。「設定」ボタンで確定して画面左上の灰色地の赤ボタンを押すと入力信号の録音状態となりスペクトラムが現れます。Cubのphone VRなども調整しながら画面に現れるようにします。画面左上の赤丸の左に保存してある音声ファイルのスペクトラムなどを見る場合に使えます』

部品の差し違えに注意!

『組み立ては誰が作っても間違いなくできますので上手下手はないと思います。問題は調整がすまないと魂が入らないということ。一応の調整を経てCWが聞こえても、所詮、無手勝流のなせる業。OMに指摘された「周波数がラフなディップメーター」を発信源に調整したことを反省して、「HFトランシーバーを発信源にする方法」に変えました。WaveSpectraの解凍から使い方までを教えていただきありがとうございました。マニュアルの調整の項を読まずに突き進んだ悪い癖を反省して、P.30〜39を読み返しています。』

『バーニアダイアル付きの100Ω〜100kΩが秋月電子で1,500円、マルツパーツで1,764円と知人から聞いています。いじり壊す羽目にもなるかと思いますが試してみます。WaveSpectraの画面例を添付してみます。7,020kHzを入力しています。画面4分の一上にはオシロの画面のような波形が出ますが、入力信号は小さいので表示されていません。』

『前のメールでは横軸設定を100Hz-1,500Hzにと書きましたが最初はこのくらいに広めにして信号を捕らえ100Hz-1,000Hz位にすると見やすいかと思います。画面左上の黒角ボタンは現在録音中を表し、このボタンを押して録音中止となり、左2つ目のボタンが赤丸になり録音可能状態となります。画面左下にMain,Peak,Ovl1,aveなどのボタンがありますが、それぞれ押して試してください。必要に応じピークホールドやノイズがある場合の平均化などができて便利な場合もあります。

周波数カウンターでVFOの調整

今日は周波数カウンター(MFJ-259B)を使ってVFOの調整を行い、これによりに7,000kHz〜7,060kHzが送受信できるようになりました。実は部品の取り違いをしていまして(R14 500ΩとR4 10kΩ)、周波数レンジが取れないのでおかしいということで気づきました。VFOを4.940-5.000MHzに合わせて調整を終了しました。感度も良好でCWが良く聞こえます。これでようやく最終段階の、キャリア・オフセット調整に進むことができますます。昔のラジオ少年もいまやボケ気味で周波数カウンターを持っていることも忘れて、大事にしまってあったTRIOのディップメーター(DM-800)を持ち出してHFトランシーバーと鳴きあわせしたというお粗末でした。キットは完成したものの変更申請を済ませなければいけないので、しばらくは受信を楽しみたいと思います。』

『ついに周波数カウンターの登場ですね、これでCW、PSK、STV、LSBが受信できていると思います。部品の取り違えはダブルチェックをしても防げませんね。壊さない程度であればいいと諦めています。またマニュアルp35-36のオフバンドの注意を受けて下を7,003kHzに合わせました。VFOがスチコン(スチール・コンデンサー)を使って温度補正をしているようですが、所詮LC発信器なので安定度はよくありません。昨日、測っていましたら、室温18〜23℃でLC発信器が600Hz程度の変化でした。』

改良に取り組む

『多回転ボリュームはネット検索で見つかりましたが、胴長で後ろのコイルケースに邪魔されて搭載不可のようであきらめました。後は現在のボリュームを使いR3、R5を大きくして可変範囲を狭める案ですが抵抗がSMD(表面実装部品)でとりはずしが怖い。またオペレーション・マニュアルにQRPの呼び出し周波数が7,040kHzとありますが、このあたりはSSBモードの局がいっぱいですし、夜になると強力な電波が出ていて使えません。JA相手には60kHz幅を半分の30kHzにすると周波数合わせも楽になります。受信電流は40-50mAしか流れないので0.5W程度でしょうか。ラジオと同じ感覚で電源を入れっぱなしにしています』(注:一般に空中線電力5ワット以下がQRPとされている)

『しばらくたわむれていたマイCubの格好がつきましたのでご報告します。

1)周波数範囲を約60kHzから35kHzに変更。

2)RIT追加 正面パネルはスペースが無く背面パネルにスイッチ、ボリュームを取り付けた。この改造で電源LEDを2色のLEDに取り替え、通電したとき緑点灯、RIT ONで赤色点灯にして注意を喚起。

3)まだアイデア段階ですがVFO分岐出力を空いたRCAコネクタに出力を出し、4桁表示の周波数カウンターを付けてオフバンドを防止したいと考えています。

まとめ

「QST」の広告にARRL's Low Power Communication with 40-meter CW Cub Transceiver Kitの見出しに驚きました。「トランシーバー・キット」が99.95ドル、本と合わせても120ドル(約1万3,000円)、CW送信機じゃなくてまぎれもないトランシーバーとある、受信部はシングルスーパーそれとも超再生?がぜん興味がわいてきました。バラキットあるいは部分的な組み立て?次々と疑問が沸いてきました。入手までの期間はともかくとして、組み立てた感想としては、キットの再現性が高く誰が作っても同じように作れる点で完成度が高いと感じました。友人のように改良を加える楽しみもありますが、オリジナル好きの筆者は、このまま使ってみたいと思っています。なぜならHF帯高級機をメインの設備として使っている余裕からQRP機でちょっと遊んでみたいという心境にあるからです。