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No.96 真夏の北陸路1300キロモービリング
ひとつ前のNHK朝の連続ドラマ「ちりとてちん」の舞台は福井県小浜市と大阪府ですが、小浜の柔らかな方言と魚屋食堂の焼き鯖に興味を覚え、一度訪ねてみたいと思ったのが、北陸路モービリングを決めるきっかけになりました。富山・石川・福井の3県を周ると言いましても、飛行機+レンタカーの周回を好まないのでマイカーで埼玉、山梨、長野の各県を経由して北陸路をたどり、岐阜と長野を走りぬけるコースを選びました。
モービルシャックの点検
新車から4年半、半年後の車検と長距離ドライブにあわせてバッテリーを交換しました。真夏はエアコンと無線運用でバッテリーを酷使するために、カー用品の量販店でバッテリーを購入して自分で交換しました。併せて6ヶ月点検整備も行いトラブルを避けるために万全を期しました。モービル局は、コンパクト機の名機、HF+50MHz+144MHz+430MHzのIC-706MKIIGMとAT-180オートアンテナチューナーを搭載しています。この組み合わせは故障知らずで、性能が安定してとても気に入っています。
ほかに430MHz/1200MHzFMトランシーバーを搭載。アンテナはSAGANTのホイップアンテナCM-144WをDIAMONDのトランクリッド基台K600Mに装着。周波数は7MHz〜28MHz 5バンドに対応した5本のコイル付きエレメントを用意しました。14MHzのエレメントを垂直に、28MHzのエレメントを水平に付けて2バンドに対応。全長約1.5mのホイップは50MHzの4分の1波長になるため、合計で3バンドの運用ができます。ほかに430/1200MHzのアンテナをトランクリッド基台K600Mに装着してあります。
トランシーバーとアンテナチューナーの接続ケーブル、同軸ケーブルのコネクタ、トランクリッド基台のネジにゆるみがないか、アンテナのエレメントに接触不良がないかを念入りにチェックしました。テスト運用では14MHz帯でSWRが高いので調べると、コイル付きエレメントに接触不良を見つけてねじ込み部をていねいに清掃して正常に戻しました。かつて北海道をモービリングしたときに、特定バンドの送信が不安定で苦労したことがありますので、特に注意を払いました。
宿を決める
5泊6日の宿を事前に予約しました。「北陸地方 道路地図」ダイソーマップシリーズでコースを決めて、道路に蛍光ペンを塗り、コースの全体を俯瞰しながら、1日の走行距離およそ250キロをめどに宿泊場所を選びました。今回はかんぽの宿(諏訪、富山、福井、恵那)に4泊、ホテルグランティア小松に1泊、それぞれを電話で予約を済ませ、宿泊代は一泊朝食・夕食つき一人1万円程度の予算としました。
1日目、諏訪へ
08:45 所沢を出発。圏央道-中央高速道を走行して談合坂SA(サービスエリア)で休憩。11:00長坂IC(インターチェンジ)を出て入笠山(にゅうかさやま)1955mへ。山頂付近の湿原は高山植物の宝庫。標高1,750mまでゴンドラで上がれるので、車を走らせると道に迷って、頂上まで30分の登山道口の御所平峠駐車場に到着(12:00)。辺りを見渡すとはるか下のほうにゴンドラを見つけて呆然!ここで昼食を済ませ、13:00北海道を移動中のJJ1HKSモービル8(別海町)とHF帯SSBでRS57/59で交信しました。
入笠山案内図 標高1955m
この後、諏訪大社下社春宮を訪ね、国の重要文化財の幣拝殿と片拝殿に参拝。続いて旧参道脇の田んぼに鎮座する万治の石仏(万治3年=1660)を見に行く。ユーモラスな顔と存在感を岡本太郎氏に絶賛されて有名になったという。参拝後は近くの旧中仙道の家並みに本陣岩波家(400円)を訪ね、当時のまま残る建物と美しい庭園を見学。15:40 かんぽ諏訪にチェックイン。(194.7km)
甲州街道と中山道の合流地点
万治の石仏
2日目、富山へ
08:26諏訪を出発。諏訪IC-松本IC(長野自動車道)を経由してR158を走行。安房トンネルを抜けた辺りでR471へ。栃尾から蒲田川沿いに山道を登り新穂高ロープウェイに11:00到着。駐車500円。第1ロープウェイ(新穂高温泉駅1117m-鍋平高原駅1305m)5分、第2ロープウェイ(しらかば平駅1308m-西穂高口駅2156m)7分、第1・2線区連絡往復乗車券2,800円。目前に穂高連峰が広がり、槍ヶ岳や笠ヶ岳をはじめ北アルプスの山並みが絶景。西穂高口の8月の平均気温が15℃と涼しい。しらかば平のそば処「鍋平」の山菜そば(700円)が美味。山道はトンネルが多い上に両側が切り立った山間なので無線運用はまったく向かない。
穂高国有林で記念撮影
13:00飛騨市神岡町江馬町の神岡城を訪ねる。昭和45年6月三井金属鉱業が記念として城跡に模擬天守を造った。元々は江馬館、東町城などと言われ、永禄年間に武田信玄が越中攻めに備えて、重臣飯富(山県)昌景を送り込み、江馬氏に命じて築城させたといわれる。15:00富山城に到着。滝廉太郎の荒城の月の題材になった城の一つと言われている。城跡は模擬天守が建つ「富山城址公園」として市民の憩いの場になっている。天守内部は博物館だが、この日はあいにく休館日だった。17:47かんぽ富山に到着(147km)
冨山城
3日目、小松へ
08:31出発。R8で高岡の国宝・瑞龍寺(ずいりゅうじ)へ09:13到着。加賀藩前田家二代藩主利長のために建てられた寺院。城壁のような石垣と大伽藍が当時をしのばせる。総門、山門、仏殿、法堂を一直線に配し、まわりを回廊で結ぶ伽藍配置は壮大。山門、仏殿、法堂は国宝に指定されている。拝観料500円、係りの人の勧めで「前田利長公の墓所」を訪ねる。この後、千里浜なぎさドライブウェイに向かう途中でJR7WABとRS59でQSO。11:08なぎさドライブウェイに到着。裸足で海に入り、砂浜の小石を拾う。昼食はコンビニのサンドイッチで済ます。この後、R159で金沢へ向かう途中でJA8CMCとQSO。
千里浜なぎさドライブウェイ
金沢の忍者寺で知られる妙立寺(みょうりゅうじ)13:30着。幕府からの公儀隠密や外敵の目をあざむくために装備された隠し階段、落とし穴、仕掛け賽銭箱、金沢城への逃げ道といわれる大井戸など、あちこちが迷路のようになっている寺。拝観は要予約で800円。ガイド嬢付き(40分)の拝観料は値打ちがある。この後、長町武家屋敷跡へ。武家制度の解体で辺りの多くは菜園となったが、門、土塀などはそのままの姿を残している。前田利家の直臣・野村家千二百石の屋敷(500円)を見学。続いて兼六園(300円)の中の重要文化財、成巽閣(せいそんかく)へ。入場料700円。江戸時代末期、文久3年(1863)に前田家12代奥方の御殿として建造。本棟建坪350坪、2階建て寄棟造り、こけら葺き。日本の御殿建築の様式を伝える建造物として興味深い。この後、有名な「徽軫灯篭」(ことじとうろう)をカメラに収めて16:15兼六園を後にした。17:20ホテルグランティア小松に到着。有線LAN無料、天然温泉。(110km)
武家屋敷跡(加賀藩千ニ百石野村家)
兼六園のシンボル「徽軫灯篭」
4日目、福井へ
08:10出発、R8とR305で景勝地の東尋坊(とうじんぼう)09:40着。地上50mの東尋坊タワー(500円)から絶景を見下ろし、東尋坊観光遊覧船(1200円)で海面からそそり立つ鋭い岩を眺める。JA1BZJとRS59でコンタクト。11:23東尋坊を出発、永平寺12:55着。拝観料500円。寛元2年(1244)道元禅師によって開かれた座禅修行の道場。14:15永平寺を出発、養浩館庭園(ようこうかんていえん)15:00着。福井藩主松平家の別邸で池を中心に築山や石橋などを配した優雅な回遊式林泉庭園を散策。郷土歴史博物館と共通で330円。かんぽ福井16:00着。(258km)
景勝地の東尋坊
5日目、恵那へ
08:20出発、福井市街の東南10キロの一乗谷朝倉氏遺跡08:56着。織田信長との戦いに敗北して滅亡した戦国大名朝倉氏と一乗谷の遺跡を見学。R158(美濃街道)を南下して郡上八幡13:00着。郡上八幡博覧館(八幡城など3館共通券700円)の紹介でそばや「平甚」の、めかぶそば(1,000円)、山菜そば(1,200円)、包葉すし(300円)を食べるが、どれも美味。再び郡上八幡博覧館にもどり郡上おどりを鑑賞。この後、郡上八幡城を見学して14:07出発。東海北陸道を経由して中央自動車道の恵那ICへ。かんぽ恵那16:30着。(327km)
一乗谷朝倉氏遺跡
郡上おどり
郡上八幡城
まとめ
全走行距離約1,300キロ、1日の平均走行距離210キロとやや楽なドライブになりました。無線運用は1日2回に限定し安全運転にこだわり、同乗者へ騒音を控える気遣いもできました。名所旧跡をゆっくり周れたのも幸せでした。50MHz帯はEスポでにぎわっていましたし、HFのハイバンドも徐々に回復の兆しも感じられました。長距離ドライブにHFモービルは旅の楽しさを倍増してくれるのでこれからも楽しみたいと思います。今回はじめてDELLノートパソコン(Inspiron 1526)+EモバイルDATA CARD(D02HW)を持って行き、Eメールのチェックを欠かしませんでした。冨山ではパソコンの電源を入れるといきなり友人がSkypeで呼んできて会話が弾んだのも良い思い出になりました。ともあれ今回もまたモービリングを楽しみながら観光地をまわり、無事に小旅行を終えることができました。