「デイトン・ハムベンション2009」が、5月15日〜17日の3日間、米国オハイオ州デイトン市の郊外、Haraアリーナで開催されました。14日はデイトンの天候は雷と強い雨に見舞われたが、翌15日は早朝からハムベンションを祝うように晴れ渡り、澄み切った青空のもとに午前8時、Fleaマーケット(のみの市)が開場しました。

折からニューヨークでは新型インフルエンザの発症が伝えられ、日本では不要不急の海外渡航を制限する厳戒態勢の中、成田空港を出発して12時間、ワシントンDulles(IAD)で乗り換えて約2時間半、午後7時、閑散としたデイトン国際空港に到着しました。Hertzのカウンターに行くと日本人3人がマスク姿でレンタカーの手続きをしていました。オハイオ州の一部で発症者が出たとの報道もありましたが、デイトンおよび周辺は安全とされていました。ここでネバーロスト・ナビゲーションシステム(カーナビ)を装備したブラックのフォード・フュージョン(直列4気筒、DOHC2.3リッター)のキーを受け取り駐車場へ。

スーツケースをトランクに収めて、フュージョンの運転席に乗り込み、操作パネルなどをゆっくり点検しました。特にワイパー、ライト、方向指示器を確認、座席の位置を体に合わせ、右側通行に頭を切り替えました。次にネバーロストの人工音声を日本語に、距離の単位をマイルからキロに変更して行き先を「デイトン・ノース・ホリデーイン」と入力。毎年訪ねているデイトンですから落ち着いてフリーウェーの75号線に進入、南下して57B出口で降りて目的のホテルに20分ほどで到着しました。

翌日はHaraアリーナに向けて一般道を走行、30分ほどで会場に到着しました。メディア登録を済ませて午前8時の開場と共にFleaマーケットへ入場しました。例年より空きスペースが気になります。これも経済不況のせいでしょうか。ざっと見た範囲では高周波関連のパーツやアンティーク(古物、骨董品)ラジオがいつもより多い印象を受けました。屋内会場は9時開場、今回はハムベンション併設のARRL EXPOの全容をお伝えしたいと思います。米国のアマチュア無線が活発な源をARRLの展示を通して見られるかもしれません。そんな期待を抱きながら広い展示場を見て回りました。

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デイトン・ハムベンション2009公式ガイドブック

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デイトン・ハムベンションの会場「Haraアリーナ」


ARRL EXPO

ARRL EXPOの中でもARRLとAMSATがスポンサーになって開かれたスペシャルゲストのW5KWQ リチャード・ギャリオット・プライベート宇宙飛行士の握手とサイン会が大変な人気を呼びました。2008年10月12日、ギャリオット氏は宇宙飛行を経験するために生涯の夢を実現しました。ロシアのソユーズ宇宙船で国際宇宙ステーション(ISS)に入り、ISSに滞在している間、科学実験と環境研究を行いました。ギャリオット宇宙飛行士はアマチュア無線を運用する機会があり、スロースキャンテレビ(SSTV)の送受信を行いました。


律儀な性格らしく丁寧な挨拶と笑みを絶やさず、宇宙服姿の写真にサインをして握手、写真撮影のサービスを延々と続けていました。宇宙飛行士は市民にサービスする義務を負っているのかと思わせるような誠実な態度に敬服いたしました。

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Richard Garriott宇宙飛行士(W5KWQ)の握手とサイン会。ARRL職員K1STO(右)

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Richard Garriott宇宙飛行士(W5KWQ)の自筆署名り写真


ARRLブックストア

ARRLの出版物がすべてそろっているため、お目当ての書籍を見つけてARRL職員に声をかけて求めます。クレジットカードが使えるので財布の中身を心配しなくても何冊でも買うことができます。ロゴ入りカレンダーやTシャツ、ジャンバー、帽子などのグッズもそろっています。一番人気は「ARRL Dayton 2009ボタン」で、友人へのお土産に最適です。このボタンをシャツや帽子に付けて来場歴を誇る方も多数見受けられました。今年はARRL/VECのVEマニュアル($10)とVEバッヂ($5)をお土産に購入しました。

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ARRLブックストア


ARRLプロジェクト組立ブース

1日4回(金曜と土曜)、ベテラン指導員のもとで電子機器のキット作りを体験できるコーナー。超初心者が自らマニュアルと首引きでパーツを基板に挿して半田づけを行い完成にこぎつけたもの。親子連れやご婦人の苦闘する様子が微笑ましい。


ARRLフィールドデー展示

6月27日-28日は、ARRL フィールドデーです。 野外運用を体験してください。フィールドデーは非常時の体験運用、公共的なデモストレーションであり、ラジオ・クラブは社会のイベントという位置づけがあります。

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電子機器のキット作りを体験できるコーナー


W1AW/8特別局

ARRL国民会議からオンエアできます。 運用時間と回数はW1AW/8に掲示されました。ARRL本部のマキシム記念局W1AWのマネージャーJoe Carcia、NJ1Qに会える特典も。


ハムラジオ & 緊急通信

SC HEART(サウスカロライナ緊急・健康管理アマチュアラジオ・チーム)のAmateur Radioがどのようにうまくいっているかの共同体パートナーシップを展示しました。


ハムラジオとスカウト

ハムラジオとスカウトは良い組み合わせです。リソース、プログラム、および活動が活発なスカウトとスカウトリーダーと連携して、少年と少女をアマチュア無線に関心を持たせるプログラムが興味を引きました。


ハムラジオとボート遊び

ボート遊びとアマチュア無線のインフォメーションを展示しました。


ビンテージ・ラジオ展示 

1964コリンズ・ラジオ会社のコミュニケーション・バンにコリンズのS-ラインなどを使える状態で展示して興味を引きました。 バンの運転席にも1959年発売のKWM-2を装着しHFモービルファンを喜ばせたほか、往年の名機をずらりと並べたモービルシャックを熱心に眺める人も多く、コリンズファンにたまらない展示となりました。

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1959年発売のKWM-2を運転席に装着したバン


国際アマチュア無線連合

IARUの第1地域、第2地域、第3地域のブースが並びDARC、ARRL、JA1RLがそれぞれ担当しました。IARUの新しいオフイサーVE6SH、IARU会長LA2RR、同副会長が待機。

IARU第1地域:DARC、ドイツアマチュアラジオクラブ(DL1BDF,DJ3WE,DJ3HW)

IARU第2地域:ARRL、アメリカ・ラジオ中継連盟

IARU第3地域:JARL、日本アマチュア無線連盟(JA1DM)

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IARU第3地域の海老沢さん(JA1DM)


ARRL Youth Lounge

1〜21歳に関係なくYouth Loungeは若いハムが楽しめる企画でいっぱい。 他のハムとチャットするか、音楽を聴くか、軽食などに参加できるほか、フォックス・ハンティングや動物狩り、モールス符号の楽しみやQSLカードのデザイン・コンテスト、工芸、賞など。

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ARRL Youthラウンジ


ARRL Youth呼び出し周波数

コンベンションの間、145.540MHz (107.2HzのCTCSS)はと146.430(233.6HzのCTCSS)でコールしてください。若い仲間との出会いがあります。さらに土曜日の夜、午後5時30分にARRL Youth訪ねると夕食会に参加できます。


あとがき

ARRLの展示と活動ガイドの末尾に「次回のアイデアを得るので ARRL EXPOコーディネータ、expo@arrl.org.にコンタクトしてください」と記してあり、アマチュア無線を面白くするための努力の跡が印象付けられる展示でした。中でも年少者に興味を持たせる工夫は目を見張るものがあり、若者の育成に熱心な施策の数々を目の当たりにすることができました。ユースラウンジに若い女性職員を配置して幼稚園の雰囲気を醸し出し、幼児がモールスコードや電鍵と遊ぶ姿を見るにつけARRLの年少者対策の真剣さを感じ取りました。