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No.110 「FCCライセンス試験 Extra級4人合格 in 台北」
9月13日(日)、ARRL/VEC VE東京チーム( Team Liaison: JA1TRC/KH2J)は、第2回目となるFCCアマチュア・ライセンス試験を台北市内で行うことになり、12名のボランティア試験官(以下、VE)は、それぞれ航空券とホテルの手配を済ませて試験日前夜にはダウンタウンにそろいました。航空券はVE仲間の情報からUnitedのWEBサイトで18,980円の予約に成功!往復でこの値段に驚きますが、どういう仕組みなっているのでしょうか。いずれにしても報酬を伴わないVE活動にはありがたい格安な料金で航空券をゲットできました。
試験会場は、今回も台北市内の電子機器メーカー(MINTRON ENTERPRISES CO., LTD)の会議室で18名の受験者を集めて「FCCアマチュア・ライセンス」試験が行われました。
台湾と言えば
少し横道にそれますが、真っ先にBV2A、BV2Bのティム・チェン(陳實忻)さんを思い出します。1983年12月28日、職場の旅行で訪ねた台北市内のホテルからアポなしで、陳實忻先生にQSLカードに記載の電話番号に現地の通訳氏に電話をかけてもらいました。すると「これからすぐ行く」という思いがけないお返事と共にホテルに駆けつけてくださいました。初対面にもかかわらずティム・チェンさんの笑みを絶やさない温かな人柄に魅了されたのはいうまでもありません。当時、台湾のアマチュア局はティム・チェンさんのBV2A、BV2Bだけですからアマチュア無線制度についていろいろ聞いてみたいと思っていました。
ほどなくロビーに現れたティム・チェンさんに誘われてタクシーで暗い夜道をお宅へ向かいました。シャックに入るとコリンズのリニア・アンプ30L-1が目に飛び込んできました。壁にはWACアワードと並んで縦書きの免許状が掲げてあり、交通部の文字の上に角型の朱色の印判が押してありました。免許制度やリグの話に興じて1時間はあっという間に過ぎてしまい、お礼を申し上げて辞去、再びタクシーに乗ってホテルに引き返したのは深夜を回っていたと記憶しています。
次にお会いしたのは1991年9月12日、北京で開かれたIARU第3地域総会の会場でCTARL代表団のメンバーとして参加されました。こちらはメディアとして取材で出掛けていましたから出会っても不思議ではありませんが、ティム・チェンさんとは旧知の間でしたので、しばし話が弾みました。その時にさらさらと書いてくださったアイボールQSOのカードが残っています。その後、1990年代後半、BY5RSA(福建省無線電運動協会)の建設援助で福州市に出かけた時に、折よく里帰り中のティム・チェンさん(85歳)と歓談したのが最後になりました。2006年2月22日、台北市栄民総病院で亡くなりました。享年92歳。
BV2A、BV2Bのシャックと在りし日のティム・チェンさん
アイボールQSO のカード。IARU Reg3総会(北京)にて
FCCアマチュア・ライセンス試験
話を本題に戻して、FCCアマチュア・ライセンスを始め20数名の受験が予定されていましたが、当日になってキャンセルが出て18名が試験を受けました。前回(2008年6月28日)の試験ではテクニシャン級6名、ゼネラル級7名が合格しましたので、この中からさらに上級を目指してExtra 級4名、General 級5名が合格し、さらにテクニシャン級 4名が合格しました。受験者の中に高齢者(84歳)がテクニシャン級に合格したことと、4人のエクストラ級」を輩出したことを特記しておきます。
エクストラ級の4人はVEの資格を取得して経験を積むことで、将来的には台湾のアマチュアによるFCCアマチュア・ライセンス試験を実施できる基礎ができたと思われ、日本のVEたちが喜んだのは言うまでもありません。試験の終了後、CTARL(Chinese Taipei Amateur Radio League)の役員とVEの日台交流の場があり、大いに懇親を深めました。参加したVEは12名(順不同)でした。
FCCライセンスの試験が行われたミントロン社
試験の受付風景。手前左側の受験者は84歳、テクニシャンに合格された
VEによる事前打ち合わせ
VEとCTARLの世話人たち
ミントロン社の上階にあるシャック
日本人の免許
日本人が台湾のライセンスを取得して運用する場合、事前にCTARLに無線従事者免許証、無線局免許状などの写しを提出して運用許可証をもらわなくてはなりません。VEは「BW/ホームコール」で許可されますが、日本人アマチュアが持っているアメリカのコールサインで免許申請してBW/KK6WWを許可されました。本人が希望したので、そのまま当局に申請書を送ったところ承認されたと台湾の世話人・星野さん(JP1RIW)が言っておられました。三宅さんは試験終了後にクラブ局の設備を借りて、BW/KK6WWのコールサインで運用されたということです。
ホテルのインターネット端子
友人の勧めで台北市内のKDMホテル(凱統飯店、台北市忠孝東路三段8号)に予約を入れました。料金は2泊3日で約12,000円(朝食付き)、インターネット端子が無料で使えるということでしたが、部屋に入ってあちらこちら見渡してもLAN端子が見当たりません。たいていは電話機の横か、デスクのあたりにLANケーブルがあるはずなのに。チェックインの際にフロントで確認するべきだったと後悔しましたが、後で問い合わせることにしてベッドに横になると、何と天井のへりに「網路播座Internet」の文字が目に飛び込んできました。想像を超える取り付け場所に思わず笑ってしまいました。
天井付近のインターネット端子
Unitedの9チャンネルが面白い!
飛行機の旅にノイズキャンセル・ヘッドホンがお勧めです。エンジン音が完全にキャンセルされて驚くほど静かになり、音楽はクリアな音質が楽しめるほか、映画の鑑賞にも有効で一度使い始めると欠かせないものになります。もちろん音楽や映画を見ない時でもノイズキャンセル機能を働かせると静かな環境の中で睡眠をとることも可能になります。
台湾の桃園国際空港を10時30分に離陸したB777、United 838便33Gの席でSONY MDR-NC22ノイズキャンセル・ヘッドホンを装着して、オーディオ・チャンネルで音楽を聴こうとしていると、31G席の某OM(VE)が来られて「オーディオの9チャンネルで航空管制の交信が聞こえて面白い」と教えてくださいました。以前から航空管制に興味を持っていましたし、加えて英会話のヒアリングにも役に立ちそうとひらめきました。9CHを教えてくださったOMもノイズキャンセルタイプのヘッドホンを首にかけていました。
さっそく9CHをセットすると、台北コントロールとUnited便の交信が聴こえてきて、ついで福岡コントロール、上海コントロールのやり取りが聞こえてきました。周辺を飛行するNorthwestやオールNipponと東京コントロールの交信も聞こえて興味が増します。「・・・Gooday」アットホームな雰囲気です。そういえばUnitedのオペレーターはYLの声でした。操縦室からの飛行情報が女性の声ですから、もしかしたら機長か副操縦士かもしれないと想像して親近感を抱きました。そのうちに成田アプローチに変わりYLが管制を始めました。活舌よく小気味いい管制に聞き惚れていると、3時間のフライト終わり14時15分、成田国際空港にランディングしました。
まとめ
手弁当で台北に出かけてボランティア試験官をやってきましたが、12名のVEにそうした行動をとらせるのでしょうか。ライセンスの取得を助けたい、アマチュア無線界に恩返しをしたい、根っからのアマチュア無線好き、これらの理由からボランティアに参加するのではないかと総括しています。
VEは午前10時半に試験会場に集合、会場準備と事前打ち合わせ、午後0時から受け付け、試験の注意説明、監督、採点、CSCE作成・署名・完成などを12名がそれぞれ分担、午後4時30分に試験を終え、約1時間の反省会を経てVEの務めから解放されます。翌朝7時、充実した気持ちでホテルを後にして、台北科技大学前のバス停から高速バス(140元=約420円)に乗り込み、桃園国際空港へ向かい帰国の途に着きました。