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No.118 「デイトン・ハムベンション2010ハイライト」
ワシントンDC(ダラス)のイミグレーション・カウンター(入国管理所)に長蛇の列が続く中、4:52発デイトン行きのユナイテッド 6974に乗り継げないまま、いたずらに時間だけが過ぎて行きました。幸い長い列にJA8CDG、JA8RUG、JK1KHTら顔見知りがいて心強い半面「乗り継ぎに52分は少なすぎ、乗るのはあきらめた方がいいよ」と言われて腹をくくるしかありません。
入国審査官の「デイトンはハムレディオ?」「滞在は何日?」「コールサインを持っているの?」の問いかけに応えながら右手と左手を交互に出して指紋照合、次に顔をカメラに向けて審査終了。アメリカ出国カードをホチキスで留めてもらったところで、航空券を示し「搭乗時刻が過ぎている」と訴えると「○番のカスタマーサービスに行きなさい」、行ってみると6974便が2時間後に変更されて座席番号も同じ。搭乗時刻になっても呼び込みが始まらないので危ぶんでいると、クルー(飛行機の搭乗員)がそろわないため、1時間の遅延とアナウンスがあり、力なく笑うばかりの米国の第一歩でした。
デイトン空港
デイトン空港へ3時間遅れて21時ごろの着陸になりました。バゲージ・クレーム※へ行くとベンチに座っている旧知のEMTRONルディ社長(VK2AOT)にお会いしました。久しぶりのアイボールQSOにがっちり握手して明日、同社のブースを訪問すると約束してレンタカーのHertzへ。手続きを済ませてMAZDA6(2500cc)のキーを受け取り、手荷物をトランクに納めて身軽になったところで、コンチネンタル航空EWR20便で22時15分到着の福田さん(JA1IFB/KA1Z)を出迎えて合流、深夜のフリーウェイを約30分ドライブしてRamada Plaza Daytonにチェックインしました。
※スーツケースを引き取る場所のこと。
ハムベンション2010
ハムベンション初日(14日)はデイトン名物の雷雨に遭わない晴天に恵まれました。メディア証と駐車票を受け取り入場。真っ先にThe all rounder IC-9100の展示が噂されていたICOMブースへ駆けつけるが、お目当てのIC-9100が見られなくてがっくり。それでもブースのにぎわいは例年にも増して人だかりで人気が高い。開場直後なので準備中か、それとも後で披露されるのか不明のまま、IC-7600やIC-7700など新鋭機を見てまわりました。
デイトン・ハムベンション2010の公式ガイドブック
ICOMブースのIC-7800(左)とIC-7700(右)
KENWOODでは噂のTS-590($1,800、10月発売)の展示がありました。YAESUで無料頒布の帽子をもらい、東京ハイパワーのnew HL-550FX($2350〜2550)1.8〜50MHz、500Wリニアアンプを見た後、ARRL EXPOでニュージーランドNZARTが発行する「Region 3アワード」を受け付ける海老沢さん(JA1DM)と玉真さん(JA1SLS)にご挨拶、早くも10名ほどが申請を済ませて好調と伺いました。
ARRL/VEC
VE(ボランティア試験官)の資格を有するJA1FUY/NV1J、JA1IFB/KA1Z の二人はARRL/VECのマネジャーAB1FM Sommaさんを表敬しました。米国アマチュア無線の順調な発展の理由は何ですか?と尋ねると「一般社会への非常通信の貢献です」と明快なお答えでした。そして同EXPOを俯瞰する限り、年少者の育成に、また書籍の出版とグッズの販売に熱心なこと、最高経営責任者のデヴィッド・サムナーさん(K1ZZ)をはじめとする職員の会員サービスに徹している様子を目の当たりにして経営の健全さがうかがえました。
ARRL EXPO 2010の入場口付近
ARRL/VECマネジャー(AB1FM)とJA1IFB(左)
突然、Sommaさんが「ちょっと待って」と言って、奥の方からAmateur Radio Volunteerの特製ローラーバインドを持ってこられ「どうぞ」と差し出しました。それはVE専用のボールペン付きバインダーでとても体裁のよいものです。丁重にお礼を申し上げて辞去。次いでARRLストアで「Remote Operating for Amateur Radio」$22.95、「The ARRL Field Day Handbook」$19.95の2冊、そして友人のお土産に「ARRL VEC Volunteer Examiner Manual」$10、VECパッチ丸型 $5、矩形 $3をそれぞれ購入しました。
Amateur Radio Volunteer特製ローラーバインド
KC3VOのHF電動自転車モービル
屋内会場で背中にHFアンテナを背負った自転車モービルに出会いました。KC3VO ロバート・カリーさんが首から下げた小型のHFトランシーバーと背中に500WリニアアンプとHFモービル用のアンテナを背負うスタイルから高周波を全身に浴びて大丈夫なのか、心配になるほど。電源は電動自転車のバッテリーから引いているらしい。 日本メディアの取材にポーズをとってご機嫌。2009年はこの恰好でFleaマーケットを歩き回るバックパッカーだったが、今年は電動自転車モービルに進化して人気を集めていました。
KC3VOのHF電動自転車モービル
Kansas City DX Clubのパイルアップコンテスト
5月15日(土)、Kansas City DX Club(KCDXC)の主催で午後 8時から深夜にかけ、デイトン・クラウン・プラザ・ホテル 525号室で開催されます。許可を得てパイルアップコンテストの部屋に入室しました。ツインベッドの部屋の中央に6台のパソコンを設置してヘッドホンで聴きとり、受信したコールサインをタイプする競技です。CWは毎分150字を5分間受信するもので、速いものはRTTYのように聞こえて、かなり熟練した人でなければ手に負えない感じでした。昨年までは紙にボールペンなどで書いていたようですが、世話人が交代したとかで6台のパソコンを並べてシステム化していました。
Kansas City DX Clubのパイルアップコンテストの室内
Dayton Contest Dinner
デイトン・コンテスト・ディナーに参加の諏訪部さん(JH1URT/N3UJ、武蔵野クラブ)とアイボールQSOしました。山中湖山荘(JA1ZNG)の友人から「諏訪部さんがディナーに参加しているからアイボールQSOをしては!」の連絡が入り、出口付近で張っていました。幸いなことに、このディナーに参加した日本人はJA3エリアの方と諏訪部さんを確認しましたが、ほかに数名の参加があったようです。初対面なのになんとか出会うことができました。ラウンジでおしゃべりに興じ話が弾んだところで記念写真を撮り始めると、隣のテーブルから見守っていた米国人ハムがシャッターを押してあげるとカメラに手が伸びて、3人一緒に写真に収まることができました。
左からJA1IFB、JA1FUY、JH1URT(クラウンプラザホテル)
2010のIARUアイボールQSOコンテスト
2010 デイトン・ハムベンションで国際アマチュア無線連合 (IARU) とARRL は、アイボールQSOコンテストを主催しました。 ARRLのマネジャーNN1Nデイブ パットンによると、米国外のコールサインから異なる多くのDXCC エンティティを取得する「アイボールQSO」の結果が発表されました。それによるとトップ10は、K2XYL (24)、W4RH (24)、W3GHU (19)、KB8VAO (18)、WA8IWK (14)、AC8W (14)、KB1SRO (12)、N5OK (12)、OZ1HHH (10)、AB3AH (9)、W8ND (6)の成績で ほぼ 50 DXCC エンティティに達したということです。
のどが渇いたので軽食コーナーに回ると、米国のアマチュアにアイボールQSOコンテストに参加しているのでコールサインと名前を書いて欲しいと用紙を差し出され、これに署名して「グッドラックコンテスト」と言って別れました。後日、コールサインの一覧が発表されましたので参考までに日本人の14のコールサインを抜き出して紹介しておきます。
JA1DM, JA1DQZ, JA1FUY, JA1SLS, JA1WSX, JA3KCH, JA5DQH, JE8KKX, JH1NBN, JH3GXR, JH3PRR, JK3GAD, JQ3DUE, JR5JAQ
実際のところ日本人ハムはこの何倍もいたはずですが、アイボールQSOで署名したコールサインが記録に残りました。それにしても50エンティティからデイトンに集まってきたアマチュアの多さは、さすがと言うほかはなく世界のアマチュアを引きつけるハムベンションを証明した形になりました。
まとめ
このところ連続してデイトン・ハムベンションを訪ねていますが、飽きることがありません。フレアマーケットを丹念に見て回ると珍品を見つけることがあり、刺激を受けて自分自身を活性化することができます。新たな人との出会いもありますし、青空の下での交流は自由で活気にあふれて気分を爽快にしてくれます。屋内会場ではICOMをはじめとする大手企業の新製品を見る楽しみがあり、ベンチャー企業によるアイデア商品にも注目しています。ハムベンションは、アマチュア無線の潮流を確かめる意味でバロメーター(指標)の一つになっています。次回は2011年5月20日〜22日 Haraアリーナで開催されます。
K2RJのHFモービル
おなじみのFleaマーケット風景