スカイライン250GT(ニッサンGH-V35)から同250GT(ニッサンDBA-V36)に替えて、構造等に大きな違いがあり、モービルシャック作りに大きな誤算を生じました。その一つがバッテリーの周囲に空きの隙間がなくなったこと、エンジンルームから室内へ電源ケーブルを引くには二重の隔壁に阻まれたことなどをNo.121で披露しました。

2種類のアンテナと基台の装着

前の車で使っていたトランクリッド用の基台K600M(DIAMONND)がスカイライン250GT(ニッサンDBA-V36)に装着できると考えていましたが、実際に取り付ける段になってトランクの蓋(ふた)の端に角度がついているためK600Mが装着できないことがわかりました。そこで2本のアンテナに合わせてハムショップの店頭で次のような二つの基台を選びました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HF帯モービルアンテナ HV4(DIAMOND) (廃番)
ハッチバック・トランクリッドベース K400(DIAMOND) 3,570円
車載用同軸ケーブル 2D-LFB-S 2m 2D1MR(DIAMOND) 3,150円

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

144/430/1200MHz帯モービルアンテナ AZ805(DIAMOND) 7,770円
トランク・ハッチバック用基台-可倒式 K402(DIAMOND) 4,935円
ワンタッチ分離ケーブルセット 2.5m S255MM(DIAMOND) 4,725円

HV4: 7MHzからWARCバンドを含む50MHz帯までカバーするHF帯モービルアンテナです。全長がほぼ1.5mありますので50MHzの4分の1波長に共振します。他のバンドは短縮コイル入りのエレメントを用意して、運用バンドに応じて挿し替えて使います。例えば14MHzのエレメントを垂直に挿し、21MHzのエレメントを水平に取り付けると14MHz、21MHz、50MHzのトライバンドになります。

多少トップへビーになりますが、あまり気にしないようにしています。高速道路で長距離を走行するときは水平方向のエレメントを外すこともありますが、エレメントが倒れるような事故はありません。HV4の生産はすでに終了していますので手に入りませんが、同社のHV5S、HV7CXなどが同じように使えます。

photo

基台K400とアンテナHV4

photo

14MHzと21MHzを装着HV4アンテナ

AZ805M: 144/430/1200MHz帯3バンドモービルアンテナ。全長57cm、84gと扱いやすく見た目も美しく、利得:3.8dBi(430MHz)、7.2dBi(1200MHz)、耐入力:50W FMがその仕様です。

photo

基台K402とアンテナAZ805

アンテナの調整

HV4とAZ805Mは以前から使っていましたが、念のためにMFJ HF/VHF SWR アナライザー MFJ-259Bで各バンドの共振周波数を測定して微調整しました。K400の基台は網線でボディにアースを取りテスターで導通を確認しました。

photo

基台K400のアース・ボンディング

IC-7000の前面パネル

前面パネルを本体から分離してセパレートにしました。前面パネルの裏側にコントロールブラケットMB-105(1,050円)を付け、アドニスのモービル用ディスプレイスタンドMB-03(5,040円)を装着しました。これはセパレートタイプ無線機のディスプレイ部を自動車のダッシュボードの上に取り付けるスタンドで両面テープ貼付式です。角度を変えられて固定できる上に、重量が800gまでのディスプレイに対応しています。IC-7000Mのセパレートケーブルは3.5mタイプのOPC-1443(4,200円)を使いました。

前面パネルはMB-105にMB-03を装着してセンターコンソールの下段に汎用のトレイに ディスプレイスタンドを押し込み、収まりがいいこの場所に固定しました。DIAL操作は周波数表示を見ないまま左手で回し、視線は前方を見たままで操作するようにします。

photo

ダッシュボード下段に取り付けたIC-7000Mの前面パネル

430/1200MHzトランシーバー

K社の430/1200MHzトランシーバーを搭載しました。この機種も前面パネルが分離できるので、ダッシュボードに取り付けて使うのが普通ですが、適当な取り付け場所が見つからないため運転席の左側の肘掛兼物入れに前面パネルを入れました。上手い具合に固定できたものの前面パネルを操作するには蓋を開けなくてはなりませんが、通常は433.00MHz、1298.XXMHzに合わせておくだけで不自由がないのでこの場所に決めました。

ハンズフリーのアイデア

ジャンク・ショップでパソコン用の片耳ヘッドセット形をした新品同様のTELEXマイクロホン(315円)を見つけました。イヤホンの部分は耳あてだけでイヤホンはなくモービル運用に適した構造です。両耳あるいは片耳のヘッドセットは車の運転時に両耳あるいは片耳を塞ぐので安全運転の観点から通常は使うことができませんが、ヘッドセットの形をしたマイクならハンズフリー※を容易に実現しますから積極的に利用できます。

※Handsfree 送受話器を手に持つことなく通話ができるように設計された通信機のこと。

ハンズフリーの一環としてIC-7000MとTELEXマイクを接続するアダプタを作りました。写真で見るような小さなボックスに押すとON、離すとOFFになるスイッチと、一度押すとON、もう一度押すとOFFになる2種類のスイッチを付けました。跳ね上がり型スイッチを使いたいところですが、残念ながら今は手に入りませんのでこのようになりました。

TELEXマイクの内部がECM(エレクトレット・コンデンサー・マイク)と推測して電圧荷電のみで済ませています。ECMはアンプが内蔵されているためマイクアンプが不要です。マイクとPTT※はコネクタで接続していますので、いろいろなマイクを試すことができると思います。

※Push-to-Talk「押して話す」

photo

コンソールにTELEXのマイク、側面にPTTボックスが見える

マイクプラグとケーブルはLANケーブルを使いました。RJ-45プラグは専用の工具がない場合、プラグの装着は容易ではないので、市販のRJ-45プラグ付きのLANケーブルの先をバラしてハンダ付けしました。ただし、LANケーブルは単線なので頻繁に曲げると金属疲労で断線する恐れがありますから、装着後は曲げたり伸ばしたりしないようにします。

LANケーブルはシールド線ではありませんが、実際に使ってみるとノイズの混入もなく問題なく使えることがわかりました。念のためEMC※フィルタを装着してあります。回路図を示しますがECMマイクの電源供給(2.2kΩの抵抗)のみの簡単な回路です。市販のパソコン用のヘッドセットやマイクがそのまま使えます。

photo

マイクコネクター配線図

※Electro-Magnetic Compatibility = 電磁環境両立性。電磁妨害波による機器への障害を防止すること。

おわりに

車はモデルチェンジのたびにデザインや構造が変わるために、無線機の搭載やアンテナ基台の装着に思わぬ苦労が伴うものですが、創意工夫で切り抜ける楽しみがあるという一例を紹介しました。IC-7000Mには多機能なハンドマイク(HM-151)が付属していて、手元での操作を容易にしていますので、大いにお使いいただきたいと思います。筆者も時に応じて使い分けていることを申し添えておきます。

photo

トランクルームに設置した(下から)AT-180、IC-7000M本体、430/1200MHz機本体