CQ WW RTTY コンテスト2014(9月27日~28日)、CQ WW CWコンテスト 2014(11月29日~30日)に合わせて山荘(山梨県南都留郡山中湖村)シャックにてそれぞれコンテストに参加しました。このシャックについてはNo.111「6人による無線設備共用1キロワット開局のてん末」において開局から運用の一部始終を紹介いたしました。1kW(無線設備共用)個人6局とクラブ局1局があり、JA1FUY固定もその一つです。設置済のIC-7600に加えて、このほどIC-7700を増設したほか、リニアアンプもICOM IC-4KLと自作リニアアンプ(200W)に加えてJRC JRL-2000を増設して3台体制になりました。

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山荘シャックのビームアンテナを整備するメンバー

また、従来からのPCをヒューレッドパッカードPC(Dual Core)に取り換えてRTCL等のソフトウェアをインストールしました。このPCにはHFオールバンド+50MHz 200WトランシーバーのIC-7700でPHONE、RTTY、SSTV、CW等のコンテストの重複交信チェックやログの作成など、コンテスト補助機能が便利に使えるRTCLアプリを設定しました。

※Radio Teletype Contest Log:JK1IQK鈴木功氏が作成したRTTY用のコンテストログソフトです。

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シャックに増設したIC-7700

WOYKからのメール

CQ WW RTTY コンテスト2014に参加した後、「ログとサマリーを提出するように」というメールがContest DirectorのEd Muns, W0YK から届きました。ログとサマリーを提出するのが義務なのでしょうが、オペレートを楽しむのが先になり、ついログの提出が後回しになりました。そうした時にコンテストディレクターからログ提出の催促があり、少し面食らいましたが、リクエストに応えてログを整えサマリーを作成しました。

コンテストの合計120交信は、参加各局の交信の裏付けにも必要なことを理解してログをメール添付で送りました。写真に示すのは7MHz帯でのログの抜粋になります。スタートは21MHz帯から始めてEU方面と交信し、夕刻から7MHz帯に切り替えて北米方面と交信できたことを示すログの抜粋です。

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RTTYコンテストのログ(抜粋)

その後、21MHz帯、28MHz帯にバンドを切り替えて交信を続け、翌朝、再び7MHz帯で北米方面と交信して120 QSOに到達したところでコンテストを終えました。1kWの電力とフルサイズダイポールアンテナの成果と考えています。ローバンドのビームアンテナはありませんが、RTCLとIC-7700でRTTYコンテストを十分に楽しむことができました。

次にRTCLの設定の勘所について解説しておきます。

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PCの接続準備

パソコンの設定

IC-7700とPC(HP dc6800 以下PCと言う)並びにインターフェースの接続を図に示します。PCのRS-232C端子をCom1に設定しました。次にUSB-RS-232Cケーブルを経由してCom2を追加しました。この設定はデバイスマネジャーで確認・変更できます。

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IC-7700とPCの接続図(※クリックすると画像が拡大します。)

ステップ 1

最初にTurbo HAMLOGをインストールして、周波数/モードがPCに取り込めることを確認します。HAMLOGの設定画面で周波数の取り込みをCI-V/Com2(USB-RS-232C)として、通信速度を1200bpsに合わせます。Com2としたのは、当初、RTCLやMMTTY、MMSSTVを用意したインターフェースにUSB-RS-232Cのケーブルを接続すると不具合が発生して、気が付くまで一時間ほど悩んだ経緯があります。

※Windows XP/vista/7/8等Windowsで動作する、Turbo HAMLOG for Windowsです。日本全国とDXの住所情報が登録されており、JCC/JCGコードあるいは市区郡町村の頭文字の入力だけで正確な住所を取り込むことが可能です。

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HP-PCのデスクトップ

なお、周波数/モードの取り込みはCom1、Com2のどちらでも不具合無く動作しました。また、通信速度はさらに高速を選べますが、1200bpsでストレスなく反応しますので、この速度にしました。

ステップ 2

次にMMSSTVでPCのサウンド端子とIC-7700が正しく接続されたことを確認します。MMSSTVではIC-7700の受信音を小型トランスで回り込み対策したインターフェースを介しPCのオーディオINに導きます。反対にPCで発生したSSTV信号はオーディオOUT(ヘッドフォン端子)からIC-7700のマイク端子に入力します。送信と同時にPTTがオンになり送信できれば成功です。ここまでで

1)周波数/モードの取り込み

2)PTTの制御

3)受信音の取り込み

4)SSTV信号の送出

に成功したことになります。うまくいかない場合は1~3を確認します。

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IC-7700とPCの接続確認作業

ステップ 3

RTTYはRTCLを設定する前に、MMTTY※1で接続の確認を行います。送信の設定でCom1を選び、EXTFSK※2を動作させます。これに成功したらセッティング完了です。周波数/モードの取り込みはCom2、各運用モードのインターフェースはCom1を選んで設定しました。通信ポート(Com1、Com2)を取り換えて設定した場合は、それが混乱しないように整理して設定します。

※1 JE3HHT森さんが開発されたWindowsパソコンのサウンドカードを使ったRTTY通信ソフトです。

特に各モードで使用するインターフェースは通信ポートに使用されているデバイスによっては動作しないか、不安定になることがありますから注意して設定します。ここまで動作を確認しながら設定してきましたので、RTCLが動作する環境が整ったことになります。

※2 EXTFSKはMMTTY、MMSSTV、MMVARIのPTT/FSKインターフェースを外部から提供するためのDLLファイルです。

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インターフェース (No.103「SSTV・RTTY・CWに対応 簡単インターフェース」)

RTCLで出来ること

基本的にはコンテストログですから、PHONE/CW/RTTYの国内外の有名なコンテストに対応してデュープチェック(重複交信チェック)、ログ作成、サマリー作成、HAMLOGへのデータ変換などが行えます。CWモードでは、返信の自動送出ができますから、コンテストナンバーを打たなくても済みます。特にシリアル番号を送出するコンテストでは、自動でカウントアップしてくれますからとても重宝します。

RTTYコンテストでは受信画面が開き、信号のデコードと共に、DEの後に続くコールサインを拾い上げてQSO候補としてログに取り込むことができます。もちろん返信の送出も指一本で完了する簡便さが魅力的な人気あるコンテストログソフトです。

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コンテスト支援アプリの設定完了

あとがき

最高水準の受信性能を備えた実戦派高級HFマシンIC-7700を導入してダイナミックレンジ110dB、IP3=+40dBm(HF帯)を体感しました。さらにIC-7700にはボドーRTTY、そしてPSK31用のモジュレーターとデモジュレーターを内蔵しており、USBタイプのキーボードを本体に接続するだけで即、ボドーRTTYとPSK31を運用することができます。さらに、あらかじめメッセージメモリやUSBメモリに記憶させたメッセージにより、キーボードなしでもRTTY&PSK31の運用が可能です。そのほか、受信したデータはUSBメモリに保存することも可能です。詳しくは同社のWEBサイト「アマチュア無線機器製品情報」からIC-7700の主な特長新機能仕様をご覧ください。