1.はじめに

No.28ではトランジスタを使った、電源用のダミーロードを紹介しました。12VのFANを回すのに、6~24Vの被測定電源で回すという乱暴な作り方で、これはどう考えても無理がありました。連続の使用は要注意です。もちろん始めから承知の上で、「壊れたら交換すればいいや」と気楽に作ったもので、これはこれで良いとは思っています。極めてザックリと作ったものですが、この後に作った電源のテストには便利に使いました。

次はFETを使ったものを再度作りたいと思っていたところ、ショップU (http://www.vshopu.com/item2/2152-0203/)で便利そうな電子負荷を見つけました。デジタル制御の60Wの電子負荷で、ヒートシンクとFANが見えます。さっそくポチッとしてしまいました。ポチッとしてすぐに気が付いたのですが、キットだと思っていたのが、実はモジュールでした。従って基板として完成しており、アルミ板で少々の工作を追加し、写真1のようにまとめただけです。工作教室としては「あるまじき」簡単工作ですが、なかなか使い勝手の良い電子負荷となりました。

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写真1 このような電子負荷です。

2.このモジュールについて

写真2のようなモジュールです。制御用の電源として、12V1AのACアダプタが付いています。基板に「注意高温」と表示があるので、国産か中国製か良く解りません。日本語の簡単な説明と英文の簡易マニュアルが付いています。

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写真2 入手したモジュールで、日本語の取説も付いていました。12V1AのACアダプタが付いていて、このまま使う事もできます。

このままACアダプタをつなぐと直ぐに使う事ができます。まずはロータリーエンコーダで電圧と電流の設定をします。ロータリーエンコーダを上から押すと、電圧(0.1Vステップ)→電流(0.1Aステップ)→電流(0.01Aステップ)と設定対象が移ります。電圧はこれ以下になると電流を増やさないというしきい値です。12Vの電源に対して13Vと設定してしまうと、設定時の電流が流れるだけでUPさせる事ができません。DOWNだけの一方通行になってしまいますので、測る電源の電圧よりも低く設定する必要があります。電流は測定開始時の値を決めます。細かく測る場合は0.01Aステップにしておきます。

例えば12V1Aの電源であれば、電圧はとりあえず11V付近に設定します。電流は最小値の0.02Aで、ステップは0.01Aとしておきます。そしてRUNボタンを押します。すると0.2A流れてその時の電圧を表示します。ロータリーエンコーダを回して電流を増やし、電圧を確認して行きます。1A過ぎて電圧が下がり始め、11V以下になるとRUNが点滅し、ビープ音を出して注意喚起します。それ以上電流は流せません。このような安全装置付きの制御となっています。ビープ音はうるさいので消す事もできます。

3.作成

モジュールなので完全に完成済ですが、多少は使いやすいようにしました。まず、基板の入力は写真3のような緑の端子です。この構造の端子は確実に接続し難いところがあり、何回かヒドイ目に遭ったことがあります。良く締めたつもりが確実に噛んでおらず、知らないうちに外れていたという失敗です。従って私の個人的見解ですが、あまり好きな構造ではありません。

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写真3 緑の端子がこのモジュールの入力になります。

そこでアルミ板にモジュールを載せ、アルミLアングルを加工して入力用のターミナルを別に付ける事としました。この加工したアルミ板とLアングルが写真4です。基板の端子は使わず、裏側の銅箔から直接ハンダ付けをしてしまいました。これでドライバー等の工具も不要となりますし、確実に接続ができます。端子の接触抵抗が測定結果に影響しますので、シビアに考えるなら大型の端子が有利になります。その延長線として、4線を使ったケルビン接続にするのも良いのでしょう。端子が出ているようですが、今のところ使っていません。マニュアルによると、バッテリー容量の測定時だけのようにも読めます。

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写真4 アルミ板とアルミLアングルをこのように工作しました。

このように工作を行い写真5のようになりました。これだけの工作ですが、ずっと使いやすくなりました。デジタル表示とロータリーエンコーダなどの操作部分は写真6のように基板から外す事ができますので、本体をケースに入れて前面パネルから操作する方法もあります。

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写真5 組み立てるとこのようになります。

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写真6 表示部などはコネクタで外れますので、ケースに入れてパネル面に出す事も容易でしょう。

4.使用感

No.116No.123などの直流電源のテストが簡単にできます。No.28では電圧が低い場合のテストができなかったのですが、これで1Vの電源から使う事ができます。使ってみるとなかなか安定で使いやすく、優れものと思います。機能として、バッテリーの容量測定があります。放電中の電流と電圧からAhやWhを測れるという、面白い使い方です。なるほどとは思うのですが、今のところ操作が面倒で使う気になっていません。

電圧と電流はツマミを回して設定するのですが、どうも操作した時にガタがある感じがあり、フィーリングが良くありません。一見するとアルミ風で高級のツマミに見えるのですが、あまり高級品ではありません。ローレット式のツマミですが、交換してしまいました。交換したのも高級品ではありませんが、この方がしっかり操作できる感触です。

5.終わりに

このような簡単な工作で終わってしまいました。このモジュールはなかなか面白く、参考になるところがたくさんあります。ショップUのWEBを見ると、興味のありそうなキットがあったりします。面白い事に各製品の残り数が示されています。ゼロになった場合でも暫くすると入荷するようですので、問い合わせてみて下さい。また、完全キットの電子負荷もありますので、それも作ってみたくなりました。機会があれば紹介したいと思います。