12)FMラジオについて

放送や無線通信でもFM電波が利用されています。現在のアナログTV放送も、映像信号はAM波ですが、音声はFM波です。FM放送は、1957年NHKが放送を開始し、1969年に民放が放送を開始しました。全国でNHK1社、放送大学学園1社、民放48社ほどとなっています。FM放送はAM中波放送に比べて音質がよく、音楽ソースのラジオとして普及してきました。

FM文字多重文字多重放送は、見えるラジオとして人気があり、番組情報・ニュース・スポーツ・お天気情報・一般高速道・一般道路の交通情報・催事や防災情報等が目で確認できるものです。これには、携帯型・車載型・カーナビ型等があります。


図1:FM西東京のロゴ

FM放送の小型版として、県域単位の地域密着型のFM放送局で送られる、コミュニティ放送があります。2003年4月末現在で開局数164あまりあり、出力は10W程度です。ですから、サービス・エリアも限られるわけです。歴史のある神奈川県逗子市葉山町“湘南ビーチFM”は、夏の海水浴客が聞きほれる姿が目に浮かびます。私の家近くにあるFM西東京 84.2MHz(田無市)も10W出力で、タウン情報を聞いて楽しんでいます。図1にFM西東京のロゴを示します。


写真1

超安値の100円FMラジオでも性能がよいので、一般のFM放送のほか各地でのコミュニティ放送を聞くのに最適です。今は便利な時代になりました。本当にこれは、おすすめです。100円ショップで有名なチエーン店“ダイソー”で買えるFMラジオを、写真1で示します。これでもスーパーヘテロダイン方式で、本格的なものです。

ここで、AM波とFM波について復習してみます。

《AM波FM波》
AM波とFM波それぞれの信号波形を図2に示します。AM波は振幅変調波と呼び、変調入力信号に応じて搬送波(電波)の振幅を変化させたものです。この電波を聞くには、片側の振幅変化を取り出せばよいので、ダイオード検波器などをつかうことにより、簡単に復調ができます。FM波は周波数変調波の意味で、振幅が一定で変調波の入力で搬送波の周波数を変化させるという仕組みです。したがって、FM波を聞くのにはAM波を聞くように、ダイオード検波器を使った簡単なものではだめで、複雑な回路が必要となります。


図2:(1)AM波と (2)FM波


《FMラジオの回路構成》
ごく基本的なFM受信機の回路構成図を図3に示します。中間周波増幅部までは、AM受信機と同じです。その後には、振幅制限器、周波数弁別器、デンファシス、低周波増幅部を経てスピーカーから音が出る仕組みです。

■振幅制限器
FM波は振幅が一定の電波として発射されますが、伝播する途中でのレベル変動や雑音、混信などで、その振幅が変動します。受信機側でこの変動を除去して、受信信号のレベルを改善したり、復調された信号にひずみが生じないようにする回路です。振幅制限器は、ある一定の以上の入力電圧に対して、出力電圧がほぼ一定になるように動作し、振幅の変動成分を除去しているわけです。

■周波数弁別器
FM波は振幅が一定で、変調によって周波数を変える方式ですから、周波数の変化を振幅の変化に変換してやれば、ダイオード検波で復調が可能となります。この変換機能を行う回路が周波数弁別器なのです。


図3:基本的なFMラジオの回路構成図

■デエンファシス回路
FM受信機では、周波数弁別器の特性上、高い周波数成分の雑音ほど強く出力します。この現象を抑える回路で、高域抑制で聞きやすい信号改善をします。

■その他
図3の回路構成図では示してありませんが、FM波を安定して受信する方策として、FMラジオには、AFC(自動周波数制御)が設けられています。周波数弁別器の出力を局部発振回路に帰還して、局部発振周波数が何かの原因で変動するのを抑えるためのものです。

《ヴィンテージFMラジオ》
FM受信機が登場した頃の回路を図4に示します。戦前の最先端VHF受信機回路の代表作で、1940年代の米国製ヴィンテージFM受信機です。ミキサーに“エイコーン管(956)”を使っています。この受信機の中間周波数は3MHzでした。現在のFM受信機の中間周波数は10.7MHzと高くなっています。

6SJ7段のリミッティング(振幅制限)状態は、6E5(マジックアイ)で見ています。2本の1852ペントード(5極管)で、中間周波増幅を行っています。ハムにとって、大変なつかしい真空管が並んでいます。


図4:米国製ヴィンテージ FM受信機